久々の怒涛の観劇月間の幕開けです♪
当初はあまり行くつもりもなかったのに、何となく取ったこの舞台。
会社のすぐそば、愛知県芸術劇場小ホールで19時開演と言う事で
平日公演なのに、余裕が持ててありがたいです。
 

赤い薬MONO第37回公演「赤い薬」 愛知県芸術劇場小ホール 6列目
19時開演、20時40分終演
作・演出:土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、山本麻貴

【あらすじ】
人生に行き詰った男たちが高額な報酬につられて集まってきた。それは・・・治験薬のモニター。なんなのかわからないまま、毎日薬を飲まされている。治験の期間は6ヶ月、報酬は1000万で異常に条件がいい。そして治験期間の残りが1ヶ月になった時薬が“赤い薬”に変わったら・・・ん?様子がおかしい。このままその薬を飲み続けたたら、だめになってしまうと聞かされるが、ココを出てしまうと報酬が得られない。身よりも無い孤独な身なので、戻るべき所も無い。結局男たちは看護師に促され、施設からの脱出を計画するのだが・・・



MONOってば、結成20周年なんだとか。お恥ずかしい話ですが
その存在を存じ上げず・・・。
ただ土田さんに関しては中部出身の舞台人ということで、新聞に
取り上げられていたりしたので存じ上げており、何よりも何年か前に
コクーンで観た「橋を渡ったら泣け」を書いた人と認識はしてました。


しかしこの劇場はいいですね〜。
名古屋で一番好きな劇場です。新国立劇場の小劇場を小ぶりに
したような劇場。専門的なことは分かりませんが、音の響き方なんか
とても舞台向きなんでは?と思います。
もともと舞台上演を念頭に置いて設計されていると思うのですよね。
思った以上に席は埋まっており、ほぼ空席なし。
・・・と言っても定員250人ぐらいなんですが(笑)。


 

パジャマを着た4人の治験モニターに応募した男たち。
仕事も家族もなく、日々薬を飲み診察を受けるだけの退屈な毎日。
でもこの6ヶ月が終われば、1千万が手に入る・・!それだけが
心の支えだった。といっても激しいインフレで、1000万と言っても、
今で言う300万程度の価値しかないのだけど。

・楽天的で、退屈が大嫌い。決められた事をきちんとこなすというのも

 苦手で、周りにいつも議論を吹っかけている森(水沼健
・今回の治験は補欠繰り上がりで参加。勤務先の大学をクビになって
 しまった、城マニアの城山(奥村泰彦)。
・森にだけは何故か対抗心を燃やしてしまう間瀬(尾方宣久)。
・穏やかで、割と静に場をまとめる山岸(土田英生)。

被験者はこの4人。性格もバラバラで噛みあわないものの、治験の
謝礼金を無事受け取る為に、問題を起こさないように、という1点で
大きなトラブルも起きてこなかった。
バラバラな4人だけど、共通点が一つだけ。それは天涯孤独なこと。
若干ユルイけど、いい感じにすっとぼけた雰囲気が出ています。


そしてその治験を実施する施設に勤務する医師の佐伯(金替康博)。
前の病院をクビになったらしいのだけど、とにかく凄かったね(笑)。
まさに“怪演”という言葉がピッタリ。
彼を見ていて思い出したのは、「冬彦さん」。
年代的に分からない人も居るかもしれないんですが(笑)、まさに
あんな感じ。マザコンでこそないけど、奥さんと別れることも出来ず
愛人の看護師が他の男性と親しくすると、スリッパを脱ぎ、長いすの
上でクネクネしてキモく甘えるんですよね(笑)。

何でこんなキモい男に10年もくっついている不倫相手が居るんだ?
と思わずに居られない感じ。

その不倫相手の看護師は永田(山本麻貴)。佐伯に誘われるまま
病院から転職してきて、甘ったれる佐伯に呆れつつも、突き放さない。
ただ、治験中の薬の目的や効能を知って、居てもたっても居られず
被験者たちを逃がそうとする、まあいわゆる「当たり前のことが
当たり前に受け止められる」人でもある。


飲むと異様にテンションが高くなり、薬が切れるとその反動で
抑うつ状態が酷くなる。それを繰り返すうちに、運動反応が落ちて
大人しくなる。五右衛門ロックの月生石みたいなもんですね。
クスリの危険性を説かれても、抑うつ状態が酷い時には、また
ハイになりたいために、投薬を中止したがらない。
それって、すごく怖いことだな・・と思って。


そして、あんな思いまでして逃げ出したのに、報酬目当てで
また治験モニターに応募してきちゃう人や、孤独死しちゃう人。
あんな思いまでして、逃がした佐伯と永田は、やるせないですね。
観ている私たちにも、ちょっとほろ苦い後味を残す芝居でした。
あのキモかった佐伯が、夕日を背負ったように、切なく見えちゃうんですよね。

役者の皆さんもとても脚本に合っており、また1時間半という
短時間でも、内容はかなり充実していたんじゃないかな。
チケット代も3000円台でお値打ちだし。
19時開演というのも、仕事帰りに観に行くには、とても合っている
作品だなーと。観に行ってよかった♪と心から思える作品でした。


MONOは(確か)12月にまたテレピアで公演があるとか。
土田さんが地元出身なので、結構マメに来てくれるようだし、
次もまた観に行きたいな♪でも、テレピアよりこっちの方がいいのに。

終演後はロビーで役者の皆さんがグッズを手売り。
最後の最後まで温かく、役者と観客が近い感じがしてよかったです♪