文楽というカテゴリーには興味があって、昨年「其礼成心中」を観た
のですが、スタンダードな文楽もいつかは観たいと思っていました。
なかなかタイミングが合わなかったのですが、そんな時にお友達に
教えてもらったのがこの公演。チケット即買いです(笑)。

中日劇場第一回「中日文楽」夜の部 
中日劇場2列目、16:00開演、18:30終演
【解説】文楽の魅力
・伊達娘恋緋鹿子〜火の見櫓の段
・曽根崎心中
  生玉社前の段
  天満屋の段
  天神森の段




昼の部も興味はあったけど(義経千本桜「道行初音旅、河連法眼館)
あの演目は歌舞伎で人間の身体能力を感じながら観たいなあという
思いがあって、夜の部をチョイス。

文楽初心者の私でも、この演目ならばあらすじを知っている位有名な
演目なので、初めて観るには最適じゃないですか〜♪
タカラヅカや東宝ミュージカルを上演する、キャパ1400席以上の
大きな劇場で文楽なんて、大丈夫か〜?と思ったのですが、
行ってみたら1階は満席、2階席もかなり入っている様子。
(年齢層は高いけどね〜)

まあ、いくら“観やすい”とはいえ、文楽をこの劇場の2階の後方席から
観るってちょっと・・・とは思うんですが。

まずは、豊竹希大夫さんによる「文楽の魅力」。
上演演目のあらすじの説明や、そもそも文楽の構成などについて
初めて観る人向けに説明してくださいます。
私は三浦しをんさんの「仏果を得ず」「あやつられ文楽鑑賞」を
読んでいたため、どちらかと言うと“復習”と言う内容でしたが、でも
上演予定の見どころを予め教えて頂けるのは、初心者にはありがたい。
演目の選定といい、この解説といい、文楽上演の少ない名古屋向けで
「文楽に親しんでもらいたい」という意図を感じますね。

そう言えば、文楽って、定式幕の開き方が上手→下手に開くんですね!
歌舞伎とは逆なので、思わずビックリしちゃいました(笑)。


「伊達娘恋緋鹿子〜火の見櫓の段」
豊竹芳穂大夫
豊竹咲寿大夫
鶴澤清
鶴沢清公


“八百屋お七”として、すごく有名ですよね、それこそ「ガラスの仮面」
の中でも取り上げられるぐらいに(笑)。

事前に、人形が一人で櫓に登るように見える所が見どころって
聞いていましたが、確かに見どころですね(笑)。
ちゃんと自分で登っているように見えますもん。
あんな風に人形を動かす方法もあったんですねー。

お七が情熱的な女性だというのは想像できるのだけど、
すごく迫力があって、“切羽詰まった感”がたまりませんね。
前半の「もう間に合わない」「彼は切腹してしまう」と悲嘆に暮れている
のと、「半鐘を打てばいいんだ」と決めてからの男前っぷりがねえ・・。
今回は「火の見櫓の段」だけの上演だったのですが、その前も含め
もっと長く観たかったなあ〜。
(20分上演、すぐに30分休憩で、観客が「えー」って言ってました)

そう言えば、義太夫さんの一人がイケメンさんでした(笑)。


「曽根崎心中」
 〜生玉社前の段〜

 豊竹呂勢大夫
 鶴澤清介
〜天満屋の段〜
 豊竹英大夫
 竹澤團七
〜天神森の段〜
 お初:竹本津駒大夫
 徳兵衛:豊竹咲甫大夫
 竹本子住大夫
 鶴澤寛治、鶴澤清志郎、鶴澤寛太郎


面白かった!この作品が初めて上演された時に大ヒットした
と言う話を聞いた事がありますが、分かる気がします。
何気に、九平次のいやらしさが人間臭くて、私的にはツボでした。
それにしても、人形の“足”が見えると、とたんに生々しくなるんですね。
以前に観た時にも思いましたが、お話に没頭してくると、人形の
顔に表情が感じられるようになるんですよね。
それは人形遣いさん達の手の動きや体の動きによるものが大きい
と思うのですが、本当に笑ったり怒ったりしたように思えちゃう。

心中をするために二人で抜け出したいけど、すぐ行燈に火が入る。
慌てて出たいけど、木戸の音でばれてしまってはいけない。
火打石の音にまぎれて、少しずつ木戸をあけて・・と言う所は
こっちまで「早く!」って前のめりになってしまったり、やっと外に
出た後も「何やってんの、ちゃんと戸を閉めて、さっさと行かないと!」
なんてイラっとしたりしてね(笑)。

それにしても、この徳兵衛って、イラっとさせられますよねえ。
縁談をきっぱり断ったところまでは良かったけど、あとは女々しくて(笑)。
お初の男前っぷりが素敵です。
「次は俺が可愛がってやろう」なんていう九平次に啖呵をきる所は
男前っぷりに痺れますね(笑)。

前方席すぎて字幕が見づらかろう・・と思っていましたが、まあ本当に
見づらかったです(笑)。ただ、思っていた以上に字幕なしでも平気
だったので、それ程気になりませんでした。
やっぱ文楽は前方席がいいね。義太夫さんは振り返らないと見えない
のが残念だけど。
初心者のため、どの義太夫さんが良くて・・とかは全く分からない
のですが、個人的には豊竹英大夫さんが好きでした。
義太夫さんも三味線の方も、ベテランの方もいらっしゃれば、
若い方もいらっしゃったりしたのが意外です。
舞台に上がる方はもっともっと年齢層が高いかと思っていたので。

文楽でも大向うってかかるんだなあ、とか、見台って一つずつ違う
んだなあ・・とか初めてながらの発見も色々あって楽しかった!
“第1回 中日文楽”と銘打っているので、是非今後も継続して欲しいです。
秋の地方公演、いつも観逃していたんだけど、今回は早めにチェック
しちゃおうかな〜♪
でも、スケジュール調整の厳しい10月ですかい・・・。
しかも今年も平日のみ。厳しい〜・・・。