愛知公演がありますが、愛知とは言え豊橋。なので東京で観る事にした作品。
とにかくキャストに興味があったのと、鵜山さん演出の作品だという事で。

ジャンヌ「ジャンヌ」世田谷パブリックシアター6列目
13:00開演、16:10終演
作:バーナード・ショー  演出:鵜山 仁 
出演:笹本玲奈、今井朋彦、伊礼彼方、大沢健、浅野雅博、馬場徹、石母田史朗、金子由之、今村俊一、酒向芳、石田圭祐、新井康弘、小林勝也、中嶋しゅう、村井國夫
【あらすじ】
フランスのロレーヌ地方に生まれたジャンヌは、ある時突然“神の声”を聞く。その“声”に導かれるまま、彼女はフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破った。だが、“神”と直接話す力を持つジャンヌに人びとは恐れを抱き始める。やがて異端とみなされた彼女は、宗教裁判にかけられることに…。フランスのロレーヌ地方に生まれたジャンヌは、ある時突然“神の声”を聞く。その“声”に導かれるまま、彼女はフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破った。だが、“神”と直接話す力を持つジャンヌに人びとは恐れを抱き始める。やがて異端とみなされた彼女は、宗教裁判にかけられることに…。



「ジャンヌ・ダルク」のエピソード自体は有名だし、ジャンヌを扱った
作品としては、松たか子さんが主演した「ひばり」を観たことがあるかな。
笹本さんをストレートプレイで拝見するのは初めてではないけど
主演で拝見するのは初めて。
そこもちょっと興味があったのですよね。

けど台風の接近により朝からすごい降りっぷり。
「今日私は帰れるのか?」と不安になったりもしましたが、過去にも
台風にニアミスしたのは何度かあり、東北の震災ですら1日違いで
すり抜けた私なので、きっと大丈夫!と根拠のない自信(笑)。

結局、本当に問題なく帰ってこられましたけどね(^^)v。






この「ジャンヌ」の特徴は、ジャンヌを聖女ではなく一人の等身大の女性
として描かれている事と後半が法廷劇になっていること・・でしょうか。

キャストは皆さんミュージカルも出れちゃう人ばかりだから、最初は
ミュージカルと勘違いしてしまいそうですが、バッチリストレートプレイ。
1曲ぐらい歌ったりするのか?と思いましたが、それもなく。
いくら上手くても中途半端な歌なら歌わない方がいいと思いますが(笑)。

1本の舞台なのですが、前半と後半では雰囲気が随分と違います。
前半〜後半は、ジャンヌが軍を指揮し始める所から火刑に
処せられるまで。非常にシリアスで、宗教論なんかもバンバン出てくる。
後半は、ジャンヌが死後の世界から蘇って(?)、自分の異端裁判
に関わった人と話すという設定。

確かに、ジャンヌが火刑に処せられる迄はよく取り上げられるけど、
その後の復権裁判とか、聖女となったという話は良く知らなかったので、
とても興味深く観る事が出来ました。
ただ、あまりにも舞台のトーンが違い過ぎていて、観ている私はちょっと
後半の軽い雰囲気についていけなかったんですよね(笑)。

ただ、その後半がなければ(笑)結構見応えがありました。
(↑ この作品の特徴を否定する私・・・(笑))
ジャンヌは特別な女性ではなく猪突猛進な一人の女性。本当に
神秘の力があったかどうか、と言う事を描くのではなくて、心から何かを
信じる事、を強く何かを信じている人の強さと、その強さに影響される
周りの人々をを描いている。
“神の声を聞く聖女”は居ないかもしれないけど、純粋に何かを信じている
人なら、こういう閉塞感を感じている軍隊に奇跡は起こせるかもしれない、
なんて思えてきます。

そういう、純真無垢な女性を笹本さんは上手に演じていらっしゃった
と思います。普通の女の子らしいからこそ、処刑や拷問に対する
“恐怖心”も納得感ありました。

一旦オルレアンを解放し、シャルルを即位させてしまうと周りは
歯に衣着せず、猪突猛進で正論ばかり吐くジャンヌを厄介に
思い始めるのだけど、でも冷静に観ていると「このままでは彼女は
破滅してしまいかねない」という年長者の親心のように思えます。
異端裁判でも、彼女を救いたいという想いも十分感じられたし。
またそう思う裏には、聖職者が抱えている矛盾も伺えたりして・・。

それにしても、どの舞台で観てもシャルルってああいう感じなのね(笑)。

ただ、どうしても宗教論は避けて通れない話で、1幕最後にコーション
(村井國夫)とウォリック(今井明彦)の二人が延々と議論をするシーン
があるのですが、まあ難解なワードの応酬だわ、二人とも惚れ惚れ
するような声の良さだわ、で、寝落ちってしまいました(笑)。
それにしても、今井さんって本当に素敵♪(個人的な好みですが(笑))

正直、戯曲としては余り好みではない作品でしたが、役者の方の
力量や、演技は十分見応えのあった作品でした。