東京セレソンDXの作品は何本か観ていて、「くちづけ」は大好きだった
のですが、イマイチ入り込めない作品もあって・・・。
だから、今回宅間さんのプロジェクトと言う事でも最初はスルー予定でした。

晩餐「晩餐」名鉄ホール 8列目
12:00開演、14:45終演
作・演出:宅間孝行
出演:宅間孝行、田畑智子、市川由衣、我善導、一條俊 稲葉友、宮本剛徳、柴田理恵、中村梅雀 ほか

【あらすじ】
今、はやりのシェアハウス。住みたい街No.1に輝き続ける吉祥寺の外れの井の頭公園のわきにあるシェアハウス「イノヘッド」が物語の舞台。そこに60年後の未来からやってくるおっさんとおばはん。生まれてすぐに事故で亡くなったという母親にどうしても逢いたくて、天才少女が発明したタイムマシンに乗ってやってきたのだ! 未来から来たことがバレてはならない面々は、宇宙人と間違われたり、旅芸人に間違われたり。美人でオタクな外国人やら、色っぽいキャバ嬢やら、夫婦漫才みたいな恋人同士やら、濃すぎる面々が集うその「イノヘッド」は珍入者の出現にてんやわんやのお祭り騒ぎに!



スルー予定だった作品を何故観に行ったのか?と言うと、昨年
男の花道」を観に連れて行った母が突然「また面白い舞台があったら
連れて行ってね」と言いだしたから。
この“面白い作品があったら”って他の人からも時々言われるんだけど、
ザックリ、抽象的過ぎて本当に困るんですよね。

でも、せっかく母が観たいというなら・・と、考えたところ、宅間さんの
舞台なら分かり易くて、笑えるだろうし、柴田さんとか母が知っている
人も出ている。何よりも「男の花道」で目立っていた梅雀さんも
ご出演なので、いいのではないか?と思いまして。

開演10分前に劇場に入ると、宅間さんともう1名が舞台に腰掛け
サインをしたり、握手をしたり、写真に収まったり。
どうやら並べばサインしてもらえたりしたようです。

元々セレソンは上演前に観劇マナー向上の寸劇とかやる劇団で、
私はこういうの、苦手なんですよねー。(某劇団の前説も絶対ムリ。)
だから結構開演ギリギリに入ったりしていたんですが、今回はいきなり
“振付”を覚えなければいけないとのことで、レッスンタイム。

・・・・こういうのは、もっと嫌なんですよねぇ・・・。

「〜してください」って言われて、「〜しなければならない」のって本当にイヤ。
(自然発生的に何かするのはOKなんですけど。)
StarSのコンサートでペンライト振るのですらイヤだし、やらないのに。
もうこの段階でドン引きで、超醒めてくるわ、これどんな舞台なのよ?
と不安になるわ・・。母親連れてきて良かったのかしら?と。
こんなの知ってたらチケット取らなかったよ(涙)と後悔していると開演−。

感想はこちら↓




舞台そのものはダンスも全く関係のない作品で、思ったよりも
普通で良かったです(笑)。母も良く笑ってましたし。
あの舞台の流れを止めてまで“写メタイム”を作る意味は分かりませんが。
(ま、SNSをアテにした舞台宣伝の一環でしょうね)

いきなり最初は“映画”から始まります。
安っぽい自主制作風の映画(モノクロ)。←敢えてそうしているのだと思いますが。
いきなりぶっ飛んだ設定なので、舞台の中で消化するには少しハードルが
高いですもんね。
でもこの“映画”もイマイチ内容が分かりづらく、始まってしばらくの間は
「で、結局誰が作家なんだっけ?」が分からなかった私(笑)。
(↑その後のストーリー展開でちゃんと分かりましたが。)

舞台は前半から後半まではコメディ。
コメディというか、もう半分は柴田さんのアドリブによるお笑いショーと
化していました(笑)。
梅雀さんが「始まったよ・・」と聞こえないように言っていたそうなので
きっと毎回アドリブを振られているんでしょうね。
単純に“お笑い”として、とても面白くて涙を流して笑ってました。
柴田さん、すげー(笑)。母もここは「こんなに笑ったのは久しぶり」
だそうだったので、まあ良かったな、と。

柴田さんと梅雀さんのお二人のホッコリ夫婦もほのぼのしていて
好感が持てましたね〜♪
宅間さんのムチャ振りに対して「きったねー」とブツブツ言ったり
していたようで(宅間さんに聞き咎められていましたが)いい感じに
いじられていました。
それにしても、「討ち入りだよ全員集合」を梅雀さんがどう演じるかを
観てみたかったなぁ、本人も「せっかく考えたのに」って言ってたし(笑)。

で、田畑さんが別れを切り出された後の演技は、あまりに可愛く
そして切なくて、すっかり釘づけになりました。
チャキチャキの関西の元気娘っていうのも生き生きと演じられていて、
それはそれはキュートでしたから。
その後の宅間さんの演技も良かったですね。泣いている方も結構
あちこちにいらっしゃいました。
何だかんだいっても、こういう王道のストーリーは安心感があるな
とは思います。

まあエンディングを映像にするっていうのは舞台としてはイマイチ
手抜き感があってあまり好きじゃないですけど、演劇、というより
エンターテイメント作品として考えた方がいい作品なのかなーと
思いました。実際によく笑って、そして周りはよく泣いていましたから。

終わってみれば、単純な話だけど結構楽しめた1本でした。



後で宅間さんのインタビュー記事を幾つか、つまみ読みしました。
「舞台を楽しんでほしい」「身近に感じてほしい、難しいものじゃない」
という考えには大いに同意しますが、そのために
・上演中も飲み食いしながら観て、とか
・舞台も写メで撮っていいよ、とか
演劇としては何か方向性を間違ってませんか?と思います。
あの最後のライブも個人的にはNOなんですが(あまりにも本編の
余韻を台無しにするため)、
楽しんでいる人が多いのであれば
それは好みの問題なので、アリなのかもね、とは思います。

でも上演中の飲み食いに関しては、私はそういう音で注意力が
削がれて舞台に没頭できなくなるので、はっきり言って迷惑です。
今の演劇は江戸時代の歌舞伎とは違うんですから。
写メもそのために芝居の流れを止めて「そろそろ電源切って。」って
何度も言わなければならないって、どうなんでしょう?
撮らせたければカーテンコールでやればいい事です。

本当に作品に没頭していたら、飲み食いなんて忘れるものです。
そういう事を企画するパワーを、客が没頭できる程の作品を
上演する事に使って下さった方が嬉しいんですけどね。

ま、いちいち噛みつく事でも無いんですけど(笑)。
諸々思う事が多いので今後のタクフェスはちょっと様子見って事で。
作品自体は悪くないと思うので残念ですが。