遠征に出かける前日この作品が東劇で公開される事を知りました。
芝居小屋を回っている事、その中には隣県の岐阜の劇場も2つ
含まれている事も知ってはいましたが、岐阜と言っても
高山や中津川で遠い・・・。どうせ観て泣くのは分かっていたので、
観ないままでもいいか、と思っていた矢先でした。

映画 中村勘三郎「映画 中村勘三郎」
監督:松木創  監修:塚田圭一

【あらすじ】
2012年12月5日に急逝した歌舞伎俳優・18代目中村勘三郎のドキュメンタリー。日本の伝統芸能である歌舞伎を世界に広めるため海外公演を行ったり、若い世代の心をつかむため現代劇の作家とコラボレーションするなど革新的な挑戦を続け、奔走した中村勘三郎。希代の歌舞伎役者がどこに向かって走り続けていたのか、その真実を紐解いていく。



観るか、止めておくか悩みました。
未だに勘三郎さんがいらっしゃらないという気がしない私は、
テレビで放送された勘三郎特集ですら観る気になれず、
録画したまま。(一度観始めたけど、ダダ泣きで最後まで観られず。)

でも時間もちょうど空いているし、宿泊予定のホテルは東銀座、
東劇から徒歩1分の所。

・・・なんか、観なさいって言われているような気がして(笑)。

コクーンを出て、表参道で1件買い物を済ませてから一旦ホテルに
チェックインして東劇に向かいました。



私が初めて歌舞伎を観たのは、同朋高校体育館で上演された
中村勘三郎の襲名披露公演でした。

私が初めて「面白い!」と興奮した歌舞伎はコクーンで観た
「夏祭浪花鏡」でした。

今私が歌舞伎公演を観に行っているのは、勘三郎さんの存在が
あればこそ、です。
だから大好きな俳優さんという以上の思い入れが勘三郎さんにはあります。

この映画は、フジテレビで定期的に放送されていた勘三郎さんの
密着ドキュメントの映像や舞台映像で構成されており、特にナレーションは
入っていません。
そういう意味では、「泣かせてやる!」というよな下世話な編集ではない
のは良かったですね。
ドキュメントで観たことのある映像も多く、何度も涙を流しながらも
号泣する程ではなく観られました。
とは言え、後半からダダ泣き状態になっちゃいましたけど。

基本的には観たい舞台は観る、悔いは残さない!をモットーにしている
私ですが、それでも「これ観ていない・・」「観に行っておけばよかった」
と映画を観ながら、何度も何度も思いました。
まさかこんな事になるなんて思いもしなかったから。
もう一度だけでいいから、3人の連獅子が観たかったな・・・。
休養直前に御園座で観られただけでもラッキーだったのだけど。


勘三郎さん、貴方の舞台で歌舞伎の面白さを知った私は、今では東京の
歌舞伎座まで「仮名手本忠臣蔵」を昼夜通しで観に行くまでになったんですよ。
貴方の息子の勘九郎襲名にあたっては、お練りも観に行きましたよ。
歌舞伎ファン、一人増やしましたよ。