これも公演情報が出てすぐ「観たいな」と思っていた公演です。
マキノさんの作品は好きなものも多いのですが、演出家が未知数で
ちょっと不安だったんですが・・。
元々この監督が手掛けた映画で好きなものが無いので。

真田十勇士「真田十勇士」梅田芸術劇場大ホール12列目
17:00開演、20:30終演
脚本:マキノノゾミ   演出:堤 幸彦
出演:中村勘九郎、松坂桃李、比嘉愛未、福士誠治、中村 蒼、高橋光臣、村井良大、鈴木伸之、青木 健、駿河太郎、石垣佑磨、加藤和樹、音尾琢真、加藤雅也、真矢みき ほか
  【あらすじ】
紀州(現在の和歌山県)九度山、抜け忍びの猿飛佐助【中村勘九郎】は、真田幸村【加藤雅也】と出会う。幸村は天下に知られる名将だが、関が原で西軍に与したため、九度山で隠遁生活を送っていた。ところが、実際の幸村は、芯には光るものがあるものの、無口で平凡な武将にしか見えない。幸村大活躍のエピソードは、「噂話に尾ひれが付いたものか、偶然が重なったに過ぎない」と言う。己の虚像と実像のギャップに悩み、名誉を保ったまま、命を落すことまで考える幸村。その話を聞いた佐助は俄然、目を輝かせた。「オイラの嘘で、あんたを本物の立派な武将に仕立て上げてみせようじゃないか!」



梅芸に来たら、やっぱり撮りたくなるよねぇー(^O^)。
大きなポスター
感想はこちら↓



1幕が終わった段階では「カーテンコールをパスして帰れば
1本早い電車に乗れるなあ」と真剣に思ってました(笑)。
2幕になり、後半になるに従って面白くなっていったので
ちゃんとカテコも最後まで観て帰りましたけど(笑)。

開演と同時に役者の紹介が始まります。
「メンズノンノの初代表紙」の話やら、出演しているガムのCMネタ、
“じぇじぇじぇ”、“倍返しだ!”、“今でしょ”、“お・も・て・な・し”等の
昨年の流行語の全部盛り。
たった数か月前なのに異常に古臭く感じるものですねえ(苦笑)。
役者さん達は楽しそうなんですが、あれだけ続くとちょっと、
おふざけが過ぎている感じで、舞台からの心理的距離がこれで
大きく開いてしまい、なかなか舞台にのめり込めなくなってしまいました。
蜷川さんの作品のように、開幕と同時に舞台の世界に一気に
連れて行ってくれる演出が好きな私ですから、仕方ないかな。

知将として有名な真田幸村が、実は凡人、むしろヘタレで
過分に評価されている状態に苦しんでいる・・と言う設定自体は
発想が面白いな、って思いました。
テーマは「嘘もつきつづければ、真実になる」と言う事だと
思いますが、1幕では殆どそのテーマの前振りで終わってしまい、
これ、本当にマキノさんの脚本だっけ?と幕間に考えちゃった。
2幕でようやく、その点が明確になってきくるのですが、そうすれば
舞台も面白くなり引き付けられていきます。
特に幸村が腹をくくって、息子と共に攻め入っていくシーンは
高揚感ありましたからね〜。どんでん返しもあれば、人情モノの的
シーンも立ち回りもある。1幕とは雰囲気が全然違います。
(それはそれで、どうなん?とは思いますが)

キャストは勘九郎クンと桃李クンぐらいしか知らないのですが(笑)
人情もろくてお調子者・・っていう猿飛佐助は勘九郎君。
ちょっとガチャガチャし過ぎかな?とは思いましたが、
愛すべき単細胞キャラとして演じていました。

冷静でクールなんだけど、熱い所もある・・という霧隠才蔵は
松阪桃李クン。涼やかなイケメンぶりですね〜。
お笑いキャラなのか、2枚目キャラなのか、キャラ設定が
今一つしっかりしていないのが(松坂君のせいではなく)少し
御気の毒ではありましたが、嫌いじゃありませんよ、ああいう役。
桃李クンは映像で拝見する時よりも、舞台で拝見する時の方が
生き生きとしていて好きです。

ただ、この舞台の演出については、好みが分かれる所かな。

私はダメでした。

プロジェクションマッピングについては流行りだし(笑)、
セットとして上手く使っているなあと思いました。
ただ、それ以外にも映像を多用しすぎ、というか頼り過ぎ。
例えばたいまつの映像に合わせて、それを持っているように
見えるように映像に合わせて手を動かすとかって、生を楽しむ
舞台なのに本末転倒な気がして、抵抗感があるんです。
また中途半端に(笑)出来がいいCGだったりするから、まるで
ゲーム画面を見ているよう。
2幕の大阪城での秀頼達が話し合うシーン、盆が回るにつれ
背景も動き、話している人の名前が背景に映し出されるなんて
ロールプレーイングゲームをやってるみたいだった。

場面転換が多いし、時代背景やら登場人物が多いから
分かり易さ重視で考えると、こういう映像や、ナレーションに頼った
演出も仕方ないのかな?
そもそも、そこまで分かり易さを追求しなきゃダメかな?
“分かり易さ”も大切だけど、なんかドラマと変わらないじゃん・・って
思ってしまうんです。舞台なのに2次元的に見えてしまうというか。
映画監督が本業の演出家さんだから、仕方ないかなー。

ま、演出の面は私の好みなので、置いておいて。
キャストが全体的に若いので、舞台に勢いとパワーがありました。
(カーテンコールのパラパラには驚いたけど(笑))
いろんな工夫とか挑戦をしているなーというのも分かったし。
若者たちのパワーが眩しい、そんな舞台だったと思います。