死ぬまでには(笑)一度は観に行きたかった、こんぴら歌舞伎。
“大人の修学旅行”第二弾として やって来ることが出来ました!

四国こんぴら歌舞伎大芝居第三十回記念
「四国こんぴら歌舞伎大芝居」第二部 1階に3
金丸座 15:00開演、18:40終演

【演目】
女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)
徳庵堤茶店の場
河内屋内の場
豊嶋屋油店の場
北の新地の場
豊嶋屋逮夜の場 
【出演】
染五郎、壱太郎、松也、歌昇、廣太郎、種之助、米吉、橘三郎、宗之助、吉弥、亀蔵、高麗蔵
【あらすじ】
町でうわさの放蕩息子の河内屋与兵衛は、借金を作ったり、自らの喧嘩の不始末により伯父森右衛門が職を辞する事になっても放蕩三昧を続けている。父・徳兵衛は主人亡きあとに婿に入った義理の父親、奉公人だった徳兵衛は親方である先夫に対する申し訳なさもあり、与兵衛を叱ることができず、結果的に甘やかして育ててしまったのだ。あまりの放蕩ぶりに家を追われた与兵衛は、同業の油屋豊嶋屋のお吉の元で、父、母の自分へのやさしい思いを痛感し、父に迷惑をかけたくないと思うのだが、お吉に借金の無心を断られると、ついにはお吉を殺してしまうのだった。



この演目は過去に2度ほど別の俳優さんで拝見したことがあり
珍しく役名まで覚えている程印象に残っている1本です。
染五郎さんで拝見するのは初めてだけど、きっと素敵に違いない!
と思って当日を迎えました。





 
【配役】
河内屋与兵衛 染五郎
お吉 壱太郎
豊嶋屋七左衛門 松 也
小栗八弥 歌 昇
皆朱の善兵衛 廣太郎
刷毛の弥五郎 種之助
妹おかち 米 吉
父徳兵衛 橘三郎
兄太兵衛 宗之助
母おさわ 吉 弥
山本森右衛門 亀 蔵
芸者小菊 高麗蔵


以前観たのは、愛之助さんの与兵衛兵&亀次郎(猿之助)さんのお吉Ver.と
仁左衛門さんの与兵衛兵&孝太郎さんのお吉Ver.です。
いずれも良かったのですが、染五郎さんの与兵衛兵も、金丸座という
空間で観る「女殺油地獄」も興味津々でした。

愛之助さんも仁左衛門さんも良かったのですが(似てますしね、このお二人。)
染五郎さんの与兵衛も、とっても良かったです〜。
色気があって、ちょっとチャラくてダメダメちゃんなんだけど
どこか憎めない所もあって。やっぱ与兵衛は色気がないとね〜。

そして金丸座の“に”列は前方で、どちらかと言うと花道寄り。
ちょうど7:3で役者さんが立ち止まる辺りですから、臨場感は
すごいんですよね。
ビニールシート席ではありませんでしたが、目の前でドタンと
倒れたりするとビクッとするほど。

そして今回は「北の新地の場」と「豊嶋屋逮夜の場」が観られたのが
嬉しかったです。過去に観たときはいずれも「豊嶋屋油店の場」
までで、いつか最後まで観たいな、と思っていたからです。

お吉を殺してお金を奪うという大罪を犯しながらも、
ヘラヘラと遊び続けられる与兵衛・・・。
借金を返せないと、親に高額請求されてしまう、だから
止むにやまれずお吉さんの所にお金の無心に行ったんじゃないの?
こいつ、救いようのないヤツだ・・って思うよねぇ(笑)。
でもこの途中で「どっちの方が男前?」という客席いじりもあって
楽しかったなあ〜。

ただ、そうはいっても心の中のどこかに罪悪感は残っていて
それを忘れるために遊びほうけていた側面もあるのかな。
犯罪者は犯行現場に戻る・・というサスペンス物の王道をいく
展開で捕らえられる与兵衛。その与兵衛をたぶん初めて 
殴ったであろう父・徳兵衛、そして殴った後に顔を隠せるように
手拭を被せてやる姿が切なくて・・。 
やっぱりここまで観ると、作品の印象ってまた変わりますね。
親子の情愛はこの作品の一要素だと思っていましたが、
一要素ではなく、この作品の柱だったんだな・・と実感。

役者さんも皆さんステキでしたが、この作品自体、とても面白い
と言う事を再確認したのでした。