蒼の乱が終わり、その次も同じ舞台を観る予定のスキップさんと
そのまま歩いて青山まで移動です。

パン屋文六の思案 ナイロン100℃ 41st SESSION
「パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜」
青山円形劇場 1列目 18:30開演、21:45終演
作:岸田國士
潤色・構成・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:みのすけ、松永玲子、村岡希美、長田奈麻、新谷真弓、安澤千草、廣川三憲、藤田秀世、吉増裕士、眼 鏡太郎、猪俣三四郎、水野小論、伊与勢我無、菊池明明、森田甘路、木乃江祐希、萩原聖人、緒川たまき、植本 潤、小野ゆり子、志賀廣太郎
【あらすじ】
「ママ先生とその夫」「麺麭屋文六の思案」「かんしゃく玉」「世帯休業」「恋愛恐怖病」「長閑なる半目」「遂に『知らん』文六」より



岸田國士さんの一幕劇の戯曲をつなぎあわせて1本の舞台とする試みは
犬は鎖につなぐべからず」に続いた2作目となります。
あれが2007年だから、もう7年前かあ・・・。
変わった魅力があり、また衣装がとても素敵だったことを覚えていて
今回も衣装を前回同様、豆千代さんが担当されると言う事だったので
ノコノコ観にやってきました(笑)。

・・・青山円形劇場、かなり好きな劇場なんだけど、もしかしたら
ここで舞台が観られるのはこれが最後になるかもしれないし・・・
という気持ちも少なからずありましたしね。

入場時にはコレをもらいます。
ニオイシート
「ニオイシート」です。
 



 
岸田國士さんの戯曲
「ママ先生とその夫」
「麺麭屋文六の思案」
「かんしゃく玉」
「世帯休業」
「恋愛恐怖病」
「長閑なる半目」
「遂に『知らん』文六 」
をコラージュしたこのシリーズ。元々の戯曲はどんなものだろう?
と思い、ざっと一通り 目を通してみたのですが、殆どいじられていない。
つまり、戯曲そのものを大きく変更するのではなく、その戯曲の
どの部分を使うか、どういう順番で、どう繋いで、どう演出するか
でここまで別の作品に作り上げているんだ、と言う事が分かりました。

前回の「犬は鎖につなぐべからず」の時の豆千代さんのお衣裳の
素敵さに受けた衝撃ほど、今回は衝撃を受けませんでしたが
それでも、着物をベースにモダンに仕上げてあって、またポップな
舞台セットに、クールな上田大樹さんの映像、そして井出さんの
独特なダンスが噛み合って、独特の世界に仕上がっているんです。

それでも日本語の美しさは際立っていて、ナイロンの女優さん
( 特に村岡さんや松永さん。劇団員ではないけど緒川さんも)は
そういう美しい日本語をとても美しく言葉にする事が出来るなあと
思い、モダンな中にも古き良き日本を感じることも出来たりして。

あとは「ニオイシート」ですね(笑)。
私はあまり、観客参加型の演出は好きではありません。
観客を参加させるために、その瞬間だけ「芝居」ではなくなって
役者さんが客席を誘導しようとするあまり、芝居の流れが
途切れるのが嫌なんです。
でも、今回に関しては映像もうまく使ったりしながら、合図を
出してくれて、あまり流れが途切れた感が無かったのが良かった。
本当にバナナやカレーのにおいがするのよね〜。
最後は「えっ!?“その匂い”を嗅ぐの?」と恐る恐る鼻を近づけたら
柚子か何かのいい香りで「うわ、騙された」とクスっとしたりして。 

この舞台は、青山円形劇場でなければ成立しない、と言っても
過言ではないぐらい、円形舞台の良さを活かした作品だと思います。
演劇ならでは、の楽しみが味わえる作品とも言えると思いますが
それがもう観られなくなるのか・・と思うと、何だか無性に寂しいです。
何とかならないのかなあ・・・。