最初はあまり興味が無かったのですが、非常に上演が珍しい演目
であると知ったのと、内容をつらつらと読むと面白そう!!
うーむ・・・。今年は三部だけにしようと思って、三部はチケットを
取っていたんだけどなあ・・・。

 納涼歌舞伎「『八月納涼歌舞伎』第一部」歌舞伎座3階2列
一、恐怖時代
二、龍虎(残念ながらこちらは観てません)










 今日は、14時から日比谷で別の舞台を観ることになっていたので
一部を全部観る事はまず不可能。「龍虎」は諦めました。
だとすると、一等を買うのは、ちょっと勿体ないかなあ・・・と思い
3等A席で観劇です。

一年前の8月6日も、「野崎村」 だけ幕見席で観て、平日の第一部
なのに立ち見まででていたんですよね。
前回は夜行バスで上京したので、並ぶ余裕がありましたが
今回はギリギリ到着で並べないし、もう少し前で観たかったので
ちゃんと事前にチケット確保してからの参加です。

しかし、毎年同じような事やってますね、私(笑)。





 
一、恐怖時代(きょうふじだい)
お銀の方 扇 雀
磯貝伊織之介 七之助
茶道珍斎 勘九郎
細井玄沢 亀 蔵
お由良 芝のぶ
氏家左衛門 橘太郎
梅野 萬次郎
春藤靱負 彌十郎
春藤釆女正 橋之助

江戸深川に広大な屋敷を持つ春藤家。太守、春藤釆女正は残忍な性格の上、日夜酒宴に耽(ふけ)るばかり。その愛妾お銀の方は、家老春藤靱負(ゆきえ)と深い仲で、子供の照千代は、本当は靱負との子であった。二人は妊娠中の正室を毒殺し、照千代に家督を継がせようと画策。お銀の方は、自分に心を寄せている医者の細井玄沢に毒薬を用意させ、小心者の茶坊主の珍斎を脅し、正室に毒を盛ることを承諾させる。一方、若く美しい小姓の磯貝伊織之介は、家中一番の剣の使い手。女中梅野とは夫婦になる約束をしていた。そこに釆女正が催した酒宴に太守の乱行を見かねた家臣が諫言に来て、お銀の方の命を差し出せと申し出て…。

歌舞伎では33年ぶりの上演、発禁処分になったこともある作品とか。
歌舞伎でも血糊使うんだなあ・・と思った1本です。

もともと好きな俳優さんばかり・・という座組みではありましたが
キャストの皆さんのハマリ役っぷりが素敵。
業の深いお銀の方を演じた扇雀さんも、ちょっとクレイジーな采女正を
演じた橋之助さんも、下心をもつ下世話な医師玄沢を演じた亀蔵さん
野心タップリだけど単純でお銀の方に翻弄される靱負を演じた彌十郎さんも。
簡単に人を殺すような所もあるのに、愛する人に殺されてしまう
(でもその人は他に好きな人が居るという)切ない梅野も良かったなあ。

珍斎はまた全然キャラの違う、軽〜い感じなんですよね、客席の笑いも
よく拾ってましたし、常にチョコマカ動いていたりして。
それにしても、声と言い回しがが勘三郎さんにあまりにも似ていて、
思わずドキっとしてしまいました。この人の軽さがあるからこそ、後半の
残酷さが際立った気がします。

でも一番印象的だったのは、 磯貝伊織之介を演じた七之助さんかな。
美しく優雅な故に怜悧な刃物のような人。
倒した家臣に、淡々ととどめを刺すシーンでは客席からも
「うわぁ・・」という声が上がっていました。
七之助さんの美しさと相まって、本当に怖い、哀しい人でした。 
 
後半になればなるほど残忍さも増し、目が離せなくなる。
そして、絵のように美しいラストシーン。
本当に見応えがたっぷりで、少々無理をしてでも観に来て良かった。
満足でございます♪