毎年土曜公演のソワレの後にはポストトークがあるので、極力
その回を観るようにしています。
同じような考えの方も多く、出そびれるとチケット取れないんですが
今年は気合入れましたので、2列目GET。
公演が終わり、お子様連れの方などは帰られましたが
殆どがそのまま残って参加。
事前に「質問カード」が配られており、その内容に従って答える・・
というスタイルでした。
終演後、ステージには椅子が3脚準備され、山崎清介さん、
若松力さん、佐藤あかりさんの3名がTシャツ姿で登場。
進行は芸文の方で、この公演を担当しているという若い女性でした。
この女性の方は、こちらまでドキドキしてしまう程緊張して
いらっしゃるのが分かって、気の毒なほどで、大丈夫かな?
と思ったりしたのですが、知識もきちんとお持ちでしたし、
そつのない進行をされていて驚きました。
(演劇の事を全く知らない、知ろうともしない地方テレビ局の局アナ
とかの進行よりも遙かに良かったです)
昨年は申し訳程度のポストトークでしたが、今年は色々と聞けて
内容も充実していて良かったです。
思い出せる範囲で書き出した内容はこちら↓
このカンパニーは20周年、シェイクスピアは生誕450周年。
その記念公演で「ハムレット」を選んだのは?
またそれぞれの役を演じることになった感想は?
−10周年も「ハムレット」を上演したから、20周年も「ハムレット」
だろうと思っていた
−自分がハムレットを演じる事になって驚いた。前回(10周年)
ハムレットを、やったのは植本潤さん。植本さんに会いに行って
報告したら「お前がハムレット?」と言われた(若松)
−何度もハムレットを演じる役者も居るが、その役者の一番の
“旬”の時期に演じる役だと思う。若松力はちょうどその時期
なのではないかと思ったので。(山崎)
−前回私はオフィーリア役を演じさせてもらって、また今回は
ガートルートを演じさせてもらった。この2役が出来るなんて
なんかイギリスの大女優になったみたいで嬉しかった(佐藤)
「子供のためのシェイクスピアカンパニー」ということで子供も
観に来ることを想定していると思いますが、何を工夫していますか
−子供を意識するのは上演台本を作る時だけ。
演技に大人向け、子供向けなんてないと思っているから、
役者さんにも他の舞台と同じようにやって貰っている。 (山崎)
10年前も同じ「ハムレット」を上演した話が出ましたが、アンケートにも
その時の公演と比較をした質問があります。
−初演では原作の台詞をかなり刈り込んだけど、今回は敢えて
葉っぱを増やすように増やした。小田島さんの翻訳にはよい台詞が
たくさんある。あとは休憩を無くして、“弁当タイム”も無くした(山崎)。
※10年前も観た、と言うアンケートが複数あったようですが、本当にこの
カンパニーは固定ファンがついているんだな、と思います。
ガートルートと言う女性は分かりにくい女性だと思うのですが。
−お稽古はまず本読みとディスカッションなどを1週間ぐらい
じっくり時間をかけて行っている。
また山崎さんの演出に任せれば、自然とガートルートになれるだろう
という安心感がある(佐藤)。
確かに“母”としての部分と“女性”としての部分がコロコロ入れ替わり
つかみづらい部分もあったのだけど、1本芯の通った人間ばかり
ではないだろうとも思うし、山崎さんがあまりそこを追及しなかったので
そこはそのまま演じることにした(佐藤)。
−母の部分と女の部分と混じっているところは追及しなかったけど、
ガートルートが、前王の毒殺のことを知っていたかどうかについては、
出演者で「ガートルートは元のダンナが今のダンナに毒殺されたとは
知らなかった」という共通認識を持っていた。
また、「ガートルートは前王の生きていた時から、今の王とデキていた」
とも。「不義不倫」というセリフもありますしね(山崎)。
前王の亡霊は、父の亡霊なのか悪魔なのか、どちらなのでしょう
−復讐しろとは言うけど、母親には危害を加えるな、と言っているし
父親でしょうね。ハムレットに会いたかったんだとは思うよ。
夜番には何も言わなかったけど、ホレーシオには何かを言おうとしている。
父親は息子の友人を知っていただろうから、何かを伝えようとした
と思える(山崎)。
−亡霊が出るのは二度なんですよ。最後はハムレットが母を追い詰めた時。
それからは出ていなくて、それに伴ってハムレットの独白もない。
独白というのは、悩みや葛藤でもあるんですよね(山崎)
−でも、息子には自分の姿が見えるのに妻には見えないのは、
演じていてショックだった。初演の時はそんな感覚はなかったのに(山崎)。
−でも、ハムレットの声が前王の声に聞こえる事があって、それも
優しく聞こえたり、怖く聞こえたり、その時によって受ける印象が違って
それが面白いな、と思う(佐藤)
最期に。
−ノルウェー王子のフォーティンブラスの描き方が演出家によって違うし、
それで舞台のラストの印象も大きく変わる。
ハムレットは父親を殺されたという点でフォーティンブラスと同じ境遇
でもあるし、彼に対するリスペクトもあると自分は考えるので、
ああいう一筋の光が見えるようなラストになった。
割と寡黙な若松さんも実際はもう少しお話になっていましたし、
シェイクスピアの翻訳についても語っていらっしゃったりして、30分強
でしたが、色々とお話が聞けて面白かった!
作家や演出家のお話は、作品に込められた見えない部分が覗けて
楽しいです。来年もまた土曜ソワレ狙いで(笑)。