劇場に残って続けて観たのはこちら。

おやすみなさいを言いたくておやすみなさいを言いたくて
監督:エーリク・ポッペ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ニコライ・コスター=ワルドー、ラリー・マレン・ジュ 
【あらすじ】
紛争地帯をはじめ、世界の抱える問題の真実の姿を写真にとらえる―。主人公レベッカを突き動かすのは、名誉や報酬だけではない、「誰にも気づかれない現実」を皆に知らせたいという、使命感に近い想いだった。それに導かれるようにひたむきに生きる彼女が、生死にかかわる事故にあったことである転機を迎える。優しい夫、そして娘たちと、遠い距離をへだてていても強い絆で結ばれていると思っていた。しかし・・・。愛する家族か、使命ある仕事か。レベッカは究極の「人生の選択」に迫られる。



私は「ストックホルムでワルツを」よりもこちらに興味があったのですが
お客は半分ぐらいになっちゃいました。
 
興味のあった理由は、今年、新国立劇場で上演された「永遠の一瞬」に
似ている話だなあ・・と思ったから。



 
やはり「女性の報道カメラマン」という存在自体がドラマ性が
あるのでしょうかね。
舞台「永遠の一瞬」とは違う部分も多いのですが、でも根源的なところは
似ているような気がします。

紛争地で爆撃を受け、パートナーが迎えに行って帰国
パートナーの希望や、気持ちを考慮して報道カメラマンを引退決意
穏やかだが、物足りない毎日を送る
ふとしたきっかけで、報道というものへの興味が再燃
最終的には紛争地へ戻る。

もちろん、その他もろもろの要因はあったりしますけど。
これが現実なのか、ステレオタイプなのか、こういう面しか取り上げないのか。
じゃあ、旦那さんが紛争地へ行く報道カメラマンだったらどうなんだろう?
なんて思ったりもしました。 


こういう書き方をすると、この映画にネガティブな印象を持ったように
受け取られかねませんが、その逆で実は後半はダダ泣きでした。
上の娘さんのアフリカプロジェクトの発表のシーン。
どうしてなのか分からないけど、とにかく泣けてしまって。
このシーンで、急に母親に対して冷たくなった理由がわかった気がします。

一緒に行った難民キャンプでの突然発生した武力攻撃。 
周りがどんなに止めても、一人だけで戦闘の中に飛び込んでいく母親。
母親が死ぬんじゃないか、という恐怖だけじゃなくて、この人は
娘の自分がどんなに行かないでって頼んでも、いつかまたきっと
紛争地へ舞い戻っていってしまうんだ、だれも止められないんだ、
という事を思い知らされて、母親を遠く感じてしまったのではないでしょうか。

今までは普通に撮影出来ていた、自爆テロの準備の様子。
(あんな宗教的儀式を行った上での自爆テロだなんて知らなかった)
娘と同年代の女性にダイナマイトが巻きつけられていく様子に、
「止めなきゃ」と冷静さを失い、写真が取れなくなってしまうレベッカ。
この様子を見て、いずれは、レベッカにも報道カメラマンを引退する時が来て
無理せずに家族で穏やかに暮らせる日が来るのかもしれないね・・等と
思ったりした私です。

でも・・・「死臭がする」と荷物を投げつけて追い出した旦那さんは
ちょっとひどいと思う・・・。
そりゃ、待つ家族が疲弊する事も分かるけど、「死臭」「悪臭」ねぇ・・・。
娘とはやり直せても、ダンナとは無理かも(笑)。