これが今年の観劇初め。地元公演は楽なので助かります。
それにしても、本当に観づらいな、名鉄ホール。

ショーシャンクの空にロンドン版「ショーシャンクの空に」名鉄ホール2列
12:00開演、14:55終演
原作:スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」
脚本:オーウェン・オニール/デイヴ・ジョーンズ
演出:白井 晃
出演:佐々木蔵之介、國村隼、三浦涼介、谷田歩、小林勝也、板尾創路、福田転球、有川マコト、細見大輔、角川裕明、粟野史浩、板倉チヒロ、石田佳央、川原田樹、斉藤悠、本井博之、関秀人、栗原 務(パーカッション)
【あらすじ】 
前途有望な銀行家アンディ・デュフレーン(佐々木蔵之介)は、若くして成功を収めたが、妻とその浮気相手を殺した罪で終身刑に服すこととなった。そんな彼が収監されたのが、ショーシャンク刑務所−。誰とも話さず周囲から奇異の目で見られていた彼だったが、収監から1ヶ月後、塀の外からあらゆる物を仕入れる“調達屋”のレッド(國村準)に、鉱物採集の趣味を復活させたいと、ロックハンマーを注文する。レッドは、この男に他の囚人とは違う奇妙な親近感を覚える。暴力が渦巻く刑務所内で、希望を捨てず、明日を信じ続けるアンディ。アンディはレッドにある秘密を打ち明ける・・・。 


同名の映画があって、非常に評判の良い映画だという事は
知っていたのですが、約20年ぐらい前の公開だったものですから
その頃は殆ど映画を観ておらず、また過去作品まで遡って観るほど
映画ファンでもないので、内容は全く知らないまま。
2013年に舞台化されていましたが、その際にも全く興味が無く
スルーしておりました。 

ただ今回は、最近私的アタリ作品を多く演出する白井さんが演出。
そしてキャストが非常に渋くて、魅力的だったものですから
迷わずチケットをGETしておりました。
地元公演は有難いのですが、これは遠征してでも観ただろうな。

東宝制作だから音楽劇なのか?と思ったりもしたのですが
キャスト的にストレートプレイだよねぇ・・・。






 
普通にストプレでしたが、パーカッションの生演奏がいい感じで
アクセントとして使われていました。

舞台は鉄格子状態の緞帳のようなものがあり、その奥には
キャスターがついていて移動させられる鉄格子のユニットが
幾つもあって、それらを動かす事によって独房になったり、
食堂のような広いスペースになったり・・・。
それらの移動も基本的にはキャストが行います。
それ以外の大きなセットは2幕の書架ぐらいですね。

開幕序盤いきなりキャスト3名がまっぱになって目が点に(驚)。
正面でなくて良かったよ、目のやり場に困る(苦笑)。 
・・・というサプライズはあったものの、基本的には奇をてらわず
場面転換など舞台の良さも活かしつつ、真摯に作られた舞台
というのが全体の印象です。
格子を叩く音が楽器のようにも使われていて、パーカッションと
いい感じで絡んでいたのも効果的だと思いました。
“映画の舞台化”と言うものには、どちらかというとネガティブな
イメージを持っている私ですが、全くそんな事を気にしなくなるほど
舞台に引き込まれました。

冷静で、とにかく揺るがないレッド(國村さん)。
どんな環境に置かれても、自分自身を見失わず、自分の未来を
諦めないアンディ(佐々木さん)。
頭は悪かったかもしれないけど、その分明るく素直で生命力に
溢れていたトニー(三浦君)。 
長い投獄生活に馴染みきって、外の生活に恐怖を覚えた
ブルックシー(小林さん)。
メインキャストの皆さんは本当にハマリ役でした。
有川さんや転球さん等他の皆さんもそれぞれに良かったんです。

印象に残っているのは、ブルックシーの仮釈放の前夜と当日。
本来なら仮釈放を喜ぶはずなのに・・・と思ったのだけど、確かに
あの年齢で世の中に放り出されることの怖さは、身寄りのない老人
にとっては何よりも恐ろしい事なのかもしれない。
ちょっと私にはない視点でしたが、納得です。
もう、小林さんの「何か様子がおかしい」という演技が素晴らしくて。

そして、冤罪を明らかにする糸口が次々と絶たれ、結局はトニーまで
死に追いやられる所では思い切り無力感を感じさせられます。
それにしても、三浦君は「わたしを離さないで」でも好演されていた
という印象が強いのですが、今回も良かったですね。タイプが違う役を
演じていましたが、活き活きとしていて、キラキラして見えました(笑)。

でも、何をおいてもラストシーンの國村さんの独白シーンでしょう!
あれだけでもスタオベものだと思います。
ここまでで、無力感を感じさせられていたので、尚更最後のシーンが
際立っていたようにも思います。
アンディが残した手紙を開封する際に逡巡するシーンから
「ああ、これが“ワクワクする”と言う事なのか」と気づき、
希望を持つことの素晴らしさを想いだし、目の前に広がりつつある
新しい世界を想い、みるみる間に目に涙が溢れてくる。
その時にはセットが何一つなく、ただ広いステージ上に立つレッド。
そして初めて「無事に国境を越えられるように」「友人と握手ができる
ように」と“希望”を口にするんですよね。

もう、このシーンだけで胸がいっぱいになっちゃいました。
レッドは獄中で希望なんて持たなくても、それなりに存在感を発揮して
生きてきたし、ブルックシーは外の世界に馴染めず自ら命を絶ったけど、
やはり人間にとって“希望を持つ”事は必要なんだよな、
それが叶わないときには、絶望という形で打ちひしがれたとしても・・・。
それう思わせる程、説得力のあるシーンでした。

もちろん、主演の一人の佐々木蔵之介さんも素敵でした。
すごく引き締まった体をしていたので驚きましたけど(笑)。
何度観ても思いますが、この方はドラマもいいけど舞台の方が
ずっと素敵だと思います。

そう言えば、女性キャストが1名も居ない舞台でしたね。
映画を観た方と一緒に観劇をしたのですが、終演後に話を伺うと
「概ね映画と同じ」という事でした。

陳腐な言葉になってしまいますが、素敵な舞台だったと思います。
なので、映画は観ないでおくことにします(笑)。
この作品はこのまま取っておきたい気がするので。
カーテンコールの際の國村さんの優しい眼差しも印象的で、とても
観劇初めにはよい作品でした!