ただいま、ちょっとした“映画に対して興味が持てない”期間。
特に理由は無いのですが、寒いし家を出たくないし・・って。

おみおくりの作法おみおくりの作法

監督・脚本・制作:ウベルト・パゾリーニ
出演:エディ・マー サン、ジョアンヌ・フロガット、アンドリュー・バカン
【あらすじ】
ロンドン市、ケニントン地区の民生係、ジョン・メイ。身寄りなく亡くなった人を弔うのが彼の仕事。事務的に片付けることもできるこの仕事を、ジョン・メイは誠意をもってこなしている。ある日、彼の解雇が決まり、ジョン・メイの向かいに住んでいた男が最後の案件となる。彼の人生を紐解くためにイギリス中を旅するジョン・メイ。そして、今までかかわることのなかった人々と触れ合っていくことでジョン・メイ自身も新たな人生を歩み始める……。



でも自宅を出たくないとはいえ、今日を逃すと暫く土日祝は仕事と
遠征で予定が詰まっているため、観に行けなくなりそうなので
思い切って出かけてまいりました。

すると、いつもは行列とは縁遠いような名演小劇場が建物の外にまで
続く行列になっているではないですか!
「なにごとっ!?」と驚きましたが、今日は2月1日なのでサービスデー
だったんですね。こんなに混むなら昨日観ておけばよかった(苦笑)。
私はいつもある程度余裕をもって劇場に行くため問題なかったのですが
あっさりと満席になっちゃいましたね。小さい劇場でしたし。

映画の内容も内容ですし、客席の年齢層が高かったですねぇ。

ちなみにこの作品、ノンフィクションではないようですが、実際に
このような仕事をされている民生係の方がいらっしゃるのだそうですね。
 


 
「葬儀は死者の為にあるのか、残された人の為にあるのか」。 

私は前者も否定しないけど、後者かな、と思っていました。 
この主役であるジョン・メイは前者だと信じているんですよね。

効率悪い事この上ない仕事の進め方なのだけど、生前全く面識の
ない人でも「どんな人生を送っていたのか」「どんな好みだったか」 
「どんな宗教を信じていたのか」「誰か知らせるべき人は居ないか」
を実直に、というか愚直に調べ続けます。
そしてその情報を元に、お別れの言葉を考え、音楽を選定して
葬儀をとり行う・・・。そんな事を当たり前のように行うジョン・メイの姿は
“死体”を相手にしているのではなく“人”を相手にしているという
温かさに溢れています。

私も独り身ですから、親を見送って独りになったら、こういう状況も
ヒトゴトではなく、死後こういう人に面倒をみてもらえたら幸せだよねぇ・・
と本気で思っちゃいます。

でもジョン・メイが最期にあんな事になるとは思わなくて、ビックリですよ。
あれだけ心血を注いで準備した葬儀が多くの知り合いの立ち合いの元
無事に行われる傍らで、誰一人参列者も無く、生前用意していた
墓地ではなく(譲っちゃったからね)、共同墓地に墓石も無く埋葬
されるなんて、報われなさすぎる・・・。
と思ったエンディングに多くの“参列者”達が集まってくる様子を見て
思わず泣けてしまいました。

葬儀は、死者の為でもあり、残された人の為でもある。
観終わってそう思った私です。


でもジョン・メイは44歳ですって?私と同い歳?・・・歳を実感しますね・・・。