仕事を休んで遊びに行っていいんですか?と思うような状況ですが
既にチケットも取っていたので、えいっ!とでかけてきました。
天気も良くて比較的暖かくて、それだけでウキウキ。

ハムレット
蜷川幸雄80周年記念作品
彩の国シェイクスピア・シリーズ番外編
ニナガワ×シェイクスピア レジェンド 第2弾
「ハムレット」彩の国さいたま芸術劇場大ホール H列(7列目)
13:00開演、16:25終演 
作:W.シェイクスピア   演出 蜷川幸雄
出演:藤原竜也、満島ひかり、満島真之介、横田栄司、内田健司、たかお鷹、鳳蘭、平幹二朗  他 

あらすじはパスでいいよね(笑)

 

「ニナガワ×シェイクスピア レジェンド」シリーズが他のシェイクスピア
シリーズとどう違うのかが分からないままの第2段(笑)。
前回のハムレットは映像で観ただけなので、藤原竜也氏のハムレットを
生で観られるのが単純に嬉しかったのと、オフィーリアにしろ
ガードルードにしろ、なかなか魅力的なキャスティングだな、と思いました。
かなり楽しみにしていた1本です。

そういえば、この作品の翻訳は松岡和子さんではなく河合祥一郎さん
なんですね。

「ハムレット」は他のカンパニーで観たことがありますが、蜷川さん演出は
今回初めて。前回の藤原くん主演のものは映像で観ただけですので。





 
客席に入ってセットにまず「おお」と思います。
蜷川さんの他の舞台で観たような(太陽2068とか)古い
日本家屋のセットです。上手には井戸があって。そして吊るされた
スクリーンにはこのような文章が投影されていました。

「このセットは日本で初めて「ハムレット」が紹介された19世紀末の、
貧しい民衆が住んでいた家屋です。

この場所で、現在の私たちは「ハムレット」の最後の稽古を始めます。」

時間になるとキャスとが一列に並びお辞儀をして開演。割と普通な
オープニングに逆に驚いちゃったりして()


こういう古典は、演出家の個性や想いが出ると思うのですが、
ハムレットに関してはフォーティンブラスの描き方にその違いが顕著に
顕れるような気がします。
昨年観た「子供のためのシェイクスピア」でのフォーティンブラスの
描き方も私にとっては新鮮だったのですが、またそれとも違っていて・・。
父親が暗殺されたと確信しているのに、その復讐への行動が
まだ起こせていない自分と比べて、自分の信念に従って行動を
起こしているフォーティンブラスに憧憬の念をもっているように感じます。

そして、このフォーティンブラスに内田君を抜擢したというのも、
すごく意表をつかれました。
ネクストシアターのカリギュラを拝見していない私にとって内田君は
「太陽2068」で拝見した時の印象しかないのですが、いずれにしても
そのイメージとは全く違う。
力強さも、躍動感も、熱量も無い・・冷静というか、熱くなる事がない
のではないか?と思うような淡々とした草食的な佇まいに、もしかすると
すごく執念深いのではないか?と思うような視線に話し方。
(とはいえ、ちょっと声が小さすぎでございます。)
現代的と言えば、とても現代的なタイプなのかな・・・。

松岡和子さんの著書で、母親がすぐに再婚した事から女性へ
嫌悪感を持ち、オフィーリアにも冷たく当たった・・という記述を
読んだことがありますが、そういった印象は持ちませんでしたね。
女性への嫌悪感と、オフィーリアへの気持ちの板挟みになっていたり
愛するオフィーリアを巻き込みたくない、という気持ちのように感じました。
だからこそ二人のシーンではオフィーリアよりもハムレットのほうが
痛々しいと私は感じました。
そして、ドロドロの服装で彷徨うオフィーリアを見て、ああ、結局
そういう汚れ方(多分、正気を失って、男性に乱暴された) のか・・
と思ったりもしました。多分原作ではそこまで明記されていない気がしますが。 

 

藤原竜也氏のハムレットは映像で観る限りは、叫んでいる印象が強く(笑)、
翻ってそれが若さゆえ・・という印象にも繋がっていたような気がします。
今回はもちろん叫ぶシーンはありましたが、ただ単に声を荒げている
というのではなく、顔を真っ赤にするほど自分のなかで消化しきれない
感情が外に溢れていった、というようにも思えました。

むしろ、ハムレットって実は冷静というか醒めたところもある男の子
だったのかもしれないぞ?と思ったりもしましたね。
テレビでのインタビューを拝見して、ご本人的にも意識されていた
点だったのかな・・と思いました。
いずれにしても、あの長台詞をこなすだけでも大変な事だと思います。 

 

ガートルードはあまり“母性”を強調していなかったですね。
どちらかというと“女”だったのだと思いますが、邪悪な女ではなくて
不倫しちゃった普通の女性、という感覚のほうが近い気がする。

そして期待していた満島ひかりちゃんのオフィーリア。
ビジュアルも含めて良かったのですが、特に個性がある、という
訳でもなくて、割と普通だったな、と思います。
ひかりちゃんの実弟の満島真之介クンはオフィーリアの“兄”の
レアティーズでしたね。真之介君も良かったのですが、何かが少し
足りないような印象を受けたかなあ。 その“何か”が分からないのだけど。
あと、何故か2人のシーンはこっちが照れちゃうんですよね。
「実の姉弟」と私が意識してしまっているのが原因かもしれませんが
2人のベタベタした図は、なんかエロい感じがするというか・・・。

柝が入ったり、定式幕があったり、その幕の振り落としがあったり
クローディアスが水行(水垢離っていうのかな)をしたり(そう言えば
クローディアスが極悪人って感じでは描かれていなかったなあ)
ひな壇があったり、読経があったり・・と、日本的なテイストが満載。

そういう意味では蜷川さんらしい演出だったとも思います。 

うん、蜷川さんらしい。
ほんと、いろんな描かれ方、解釈のされ方をするという意味でも
古典作品は興味が尽きませんね。