2月の松竹座は花形歌舞伎が上演されることが多く、上演があれば
比較的積極的に観に来ています。
今年は花形歌舞伎ではありませんでしたが、演目的に興味が
あったので、いそいそとやって参りました。

二月大歌舞伎
松竹創業120周年
中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露
「二月大歌舞伎」昼の部 大阪松竹座 4列

一、曽根崎心中
二、連獅子
三、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜
   川連法眼館の場



本当は朝イチでホットヨガに行ってから大阪に向かおうと
思っていたのですが、さすがに疲れもたまっており、
昼まで自宅でゴロゴロした後で大阪へ(笑)。

今回は昼夜とも興味があったのですが、優先したのはこちら。
坂田藤十郎さんの“曽根崎心中”が観たかったんです。
襲名披露の鴈治郎さんがお目当てでなくて申し訳ないのですが(爆)。









 
一、曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
天満屋お初 坂田 藤十郎
平野屋徳兵衛 翫雀改め 中村 鴈治郎
天満屋惣兵衛 坂東 彌十郎
下女お玉      中村 寿治郎
油屋九平次 中村 扇 雀
平野屋久右衛門 中村 梅 玉

 昨年歌舞伎座で、藤十郎丈がお初一世一代の舞台を演じ納める
 と知って、その際に観に行きたかったものの叶わず・・。
 それが今回、アンコールとしてまたお初を演じると知り、これは
 本当にラストチャンスだから、観に行きたい、と思っていました。
 そもそもこの演目は、文楽では観たことがあるものの(元々浄瑠璃の
 作品だったように思いますが)、 歌舞伎ではまだ一度も観ていない、
 という事も大きな理由の一つでした。

 こんな切ないお話だったんですねー。
 文楽で観ているので知ってはいたつもりだったのですが・・・。

 まずは藤十郎丈の演じるお初が可愛らしい!
 遊女だから色っぽいのか?と思っていたのですが、お初は可愛くて健気で。
 客でもある徳兵衛に必要以上にお金を使わせないように、という
 気遣いをする、普通の人の感覚も持っています。
 こういう女性だから、平野屋の主人も「そこまで好きなら仕方ない」
 と思うようになるのも、実直な徳兵衛が遊女と恋仲に・・という流れも
 なんか「さもありなん」と思えてきます。
 お似合いで、応援したくなってしまうカップルです。 
 
 この頃の時代背景としても、女性がリードするという世の中では
 なかったと思うのに、天満屋を抜け出した後思わずお初が
 花嫁衣装姿で徳兵衛の手を取ってリードして花道を駈けていく・・
 というのがとても象徴的でした。
 実際に昔はあんなシーンは無かったのだそうです。長らく上演が
 途絶えた後、復活上演をした際にお初を演じたのが当時の扇雀丈で
 客席の熱気にあてられて、思わず徳兵衛の手を引いて花道を去って
 しまったというのが、今の演出の原型なんだとか。

 でも、思い込んだら猪突猛進・・というお初(ていうか女性)の特徴を
 とてもよく表しているように思いますね。死ぬ時も常にリードするのは
 お初ですから。

 天満屋の主人も、下女のお玉も、平野屋の主人も実はみんないい人で
 ちょっとしたボタンの掛け違いがなければ、死ぬことは無かったかも
 しれない2人・・というのが、とても切ない。
 人気の出た演目というのがよく分かります。
 やっぱり観に来てよかった、藤十郎丈のお初を観ておけてよかった。
 
 
 
二、連獅子(れんじし)
狂言師右近後に親獅子の精 翫雀改め中村 鴈治郎
狂言師左近後に仔獅子の精 中村 壱太郎
僧蓮念      市川 猿之助
僧遍念      尾上 松 緑

 連獅子と言えば、中村屋さんの三人連獅子しか観た事がないんじゃ?
 と思う程、連獅子=中村屋さんのイメージが強い私。
 (振り返って見たら、金太郎君の初舞台“寿連獅子”は観ていた)
 だから、何がスタンダードなのかが分からなくなっているのが正直なところ。

 今回は鴈治郎丈は「親子でやりたい」という強い想いがあって
 この演目を選ばれたようです。

 もちろん同じ演目なのですが、やはり演じる人が違うと、印象が違うなあ・・
 と思いますし、雰囲気も変わるものだな、と思いました。
 個人的には、中村屋の3人の息がピッタリあった毛振りが好きですが
 これも面白かった。
 壱太郎丈が健気で、利発な感じの仔獅子だったなあと思います。
 若いだけあって、力強さも感じられて良かったな。

 そして、猿之助さんの蓮念と松禄さんの遍念は何気に贅沢でしたー。


 
三、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
      川連法眼館の場
      市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候
佐藤忠信/源九郎狐 市川 猿之助
静御前 中村 壱太郎
駿河次郎 坂東 亀 寿
亀井六郎 中村 亀 鶴
川連法眼 市川 寿 猿
飛鳥 坂東 竹三郎
源義経 市川 門之助

 猿之助さんが源九郎狐を演じる四ノ切を拝見するのは何度目でしょうか。
 狐役自体は亡き勘三郎さんや勘九郎さんが演じるのも好きなのですが、
 猿之助さんはちょっと別格感があります。

 また澤瀉屋さんの四ノ切は華やかですから、単純に楽しいし
 打ち出しにはピッタリの演目だと思います。
 今回も内容はすっかり分かっていても、楽しませていただきました。

 それにしても今回、壱太郎丈は大活躍、という印象です。
 若々しく凛々しい仔獅子を舞ったその直後に、静御前ですから。
 今までも何度も拝見していますが、ちょっと今回見直したかなー。 

 花道 
 花道上には花弁がいっぱい落ちていてキレイでした。
 澤瀉屋の四ノ切の時はやっぱり3階でお迎えすべきだったかなー
 でも、近くで曽根崎心中が観たかったから、今回は良しとします!

 ああ、今回はどの演目も面白かった!
 2月の松竹座は本当に私的にアタリが多いです。満足!