先週は土日とも出勤したため、終日のお休みは久しぶり。
決して仕事が落ち着たわけじゃないんだけど、でも今日は会社には
行かないんだ!だって舞台を観に行くんだも〜ん。

四月花形歌舞伎中日劇場開場50周年記念
「中日劇場花形歌舞伎」昼の部
11:00開演  15:00終演
一、操り三番叟 (あやつりさんばそう)
二、雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ)








まずは一緒に観に行く友人と開店直後のデパ地下を ぶらぶら。
ゆっくりデパ地下で買い物をする事なんてまずないから、
お店がすごく入れ替わってしまっていてビックリしたりしながら
お弁当とおやつを買って、中日劇場へ。

今回は昼の部か夜の部、どちらか一方を観ようと思っていて
演目としては決めかねたので、猿之助さんの宙乗りと、
愛之助さんの宙乗りのどちらが観たいか、というだけで
昼の部に決めてしまいました(笑)。
でも、今振り返って見ると、2013年に松竹座で「新・八犬伝」は
観ていたので(完全に忘れてた)、ちょうどよかった(笑)。

今回は「花形歌舞伎」ですが、メインとなる猿之助丈や
愛之助丈は、もう花形歌舞伎でお目にかかる事は殆どないので
そういう意味でも、貴重なのかななんて思いますね。
隼人丈、種之助丈、巳之助丈、米吉丈はつい先日も南座で
拝見したばかりです(笑)。
 

一、操り三番叟
三番叟 市川 右 近
後見 市川 男女蔵
千歳 澤村 宗之助
市川 門之助

「三番叟」 という演目があることは知っていましたが、今までご縁がなく
今回初めての観劇となりました。
そもそも“寿ぐ”という側面を持つ演目なので(今回は劇場の開場50周年)
いつでも上演されるってもんでもないですからね。

序盤の翁/千歳の舞の後に、三番叟の踊りがあってそちらがメインに
なっているのですが(能では翁の舞が中心らしい)、特に前半は
様式美というか儀式的なイメージが強いんですね。
だから、尚更三番叟の踊りがコミカルに映ります。

後見と三番叟の舞は、パントマイムの世界ですよね。
床にべちゃ〜っと寝た状態だった三番叟が、糸に操られてクイっと
上を向いたときの右近さんの表情が「あ、人形だ!」と思わず
思ってしまう程で、本当にすごい。
一緒に観に行った友人も「体幹が凄いよね」と言っていましたが
すごい身体能力だと思います。 人形だから足音を立てて踊っちゃ
いけないですしね。
コミカルな部分もあり、とても楽しく拝見しました。
 

二、雪之丞変化
 中村雪之丞/母ゆき/闇太郎 市川 猿之助
 脇田一松斎 市川 門之助
 土部駿河守後に土部三斎 市川 男女蔵
 むく犬の源次 中村 萬太郎
 門倉平馬 坂東 巳之助
 中村菊蔵 中村 種之助
 軽業のお初 中村 米 吉
 丑三ツの次郎 中村 隼 人
 三斎娘浪路 中村 梅 丸
 広海屋藤兵衛 嵐  橘三郎
 侍女滝乃 澤村 宗之助
 おもと 坂東 竹三郎
 孤軒先生 市川 右 近
 中村菊之丞 片岡 愛之助 

古典歌舞伎ではなく、1934年に新聞に連載されていた時代小説を
歌舞伎にしたもの。元々ある作品ではあったようですが、この舞台ように
書き直されて、上演に至ったのだとか。
なので、良くも悪くも「歌舞伎らしさ」は殆どありません(笑)。
現代劇に近いので、とても観やすい演目でした。

ただ、劇中劇で歌舞伎のシーンがあって、私は「本朝廿四孝」を
まだ観たことが無く、先日読んだ本で興味を持っていたところだったので
ある意味、猿之助さんの八重垣姫、しかもクライマックスシーンを
観ることが出来たのは、オイシイと思わす思ってしまいました(笑)。
猿之助を襲名してから、立役が続いていた印象ですし。

印象的だったのは、米吉丈かなあ。
割と「おっとりしたお姫様」を演じる印象が強かったので、今回のような
“スリの姐御”みたいな役はイメージに無かったのですが、これが
なかなかの愛すべきキャラクターで良かったですねぇ。気の強い
男勝りの女だけど、いじらしい所もあって。

また、波路を演じた中村梅丸丈も可愛らしくて、愛らしくて
本当に女性なんじゃないかと思う程でしたよ(笑)。
隼人丈は獅堂丈にソックリで驚いちゃったとか(笑)、市川右近丈は
さすがの安定感というか、どっしりした印象があって、さすが!です。

主役の猿之助丈は大活躍です。
特に後半、波路が実は自分の仇の娘ではなかった・・と知った後
2人で花道を逃げるシーンは、めちゃくちゃいい顔をするんですよね。
晴れ晴れとした表情で、でも波路に向ける表情は色っぽくて。
こういうのを見ると、さすがだなあ、と思わずにはいられません。

もう、人が喜びそうなことは全部盛り込んだ!って感じの演目。
立ち廻りもあれば、歌舞伎の劇中劇もあり、早替わりもあれば
宙乗りもあるし、愛之助丈の関西弁も聞ける(笑)。
特に宙乗りに関しては、中日劇場は舞台の上手から、2階の下手に
斜めになっているのが特徴なのですが、今回はその往復の宙乗りでした。
更には、凧に乗っていたのに途中から凧から外れ、傘で舞い降りる・・
という仕立てになっており、手を伸ばせば届くんじゃないの?
と言う程の低さまで下りてきてくれて、客席大盛り上がり!
何で人は宙乗りを観ると、ああも盛り上がるんでしょうかね(笑)。

ただ音楽の使い方だけは、少々閉口するというか、思わず笑って
しまいましたけどね、何だか安っぽくて。
あの舞台にBGMは無くてもいいと思うんですけどね、私は。
新感線ぐらい上手く使えば、効果的でしょうが・・・。

最期は切り口上で幕。
まあ、音楽に関してはイマイチ感は否めませんでしたが、それ以外は
単純にエンタメとして楽しめた1本でした。