3月の半ばで申請しただけで残業は60時間オーバー。
馬鹿正直につけていたら、既に80時間程度。
正直疲れております、だってもう中年ですから(笑)
でも、観劇遠征になれば元気復活ですね♪

ウインズロウボーイ「ウィンズロウ・ボーイ」新国立劇場小劇場B3列(3列目)
13時開演、16時15分終演
作:テレンス・ラティガン 翻訳:小川絵梨子 演出:鈴木裕美
出演:小林隆、中村まこと、竹下景子、森川由樹、山本悠生、渡辺樹里、チョウ ヨンホ、原 一登、川口高志、デシルバ安奈、近藤礼貴
【あらすじ】 
第一次大戦前夜のロンドン。ウィンズロウ家は、銀行を退職した父アーサー、母グレイス、婦人参政権論者の長女キャサリン、オックスフォード大学生の長男ディッキー、海軍兵学校で寄宿生活を送る次男ロニーの5人家族。今日はキャサリンの結婚が決まる日。そこへロニーが一通の手紙を持って突然帰ってくる。校内で5シリングの窃盗を働いたため退学に処す、という内容だった。「僕はやってない!やってないんだ!!」無実を訴えるロニーの言葉に、父アーサーは息子の名誉を守るため、ある決心をする。それはウィンズロウ家の人々だけでなく、世論をも巻き込む大きな論争へと発展していく。


 
キャストは決して華やかとは言い難く、研究所の卒業生の若い
俳優の方が多く出演されているので存じ上げない方ばかり。
でも、昨年の「マニラ瑞穂記」 も同様に若手が中心だったけど
舞台としては、すごく良かったのでむしろ期待しておりました。
ネット上での評判も良かったですし、新感線の粟根まことさんが
ご自身のブログでも「面白かった」と書かれていましたしね。

舞台模型
これが今回の舞台模型ですね。
感想は追記にて。



 
いやぁ、この作品も期待を裏切られないもので面白かったです。
この「ウィンズロウ・ボーイ」というのは、実際に起きた事件を
ベースとして書かれた作品で映画化もされたんだそうです。

子どもが冤罪で学校を退学にさせられ、子どもの名誉回復のために
時間もお金もかけて裁判にまで持ち込むのだけど、その為に家族は
大きな犠牲を払い、世の中からは「そんな程度の事で大げさな・・。
もっと世の中には議論すべき事があるだろうに」と呆れられる。
何十年も前に起きた話ですが、現代でも似たような事、あります。

登場人物はみんな個性的。

とにかく厳格で強い信念を持ち、妥協しない父アーサー(小林隆)
問答無用の頑固っぷりが際立つんだけど、嫌悪感は感じない。
このまま紛争を続けたら、娘の婚約も破談になる、と思った時には
即刻「もうこれ以上は止める」と判断をしたりするんですよ。
裁判費用捻出のために兄には大学を辞めて働くように言ったりするけど
ここぞという一線だけは、忘れていないというか。
あとは「僕はやってません(盗んでいません)」という一言で
息子を信じ切って、抱きしめてやる姿に“父親”を感じるからかな
と思います。(ここで少し泣けた・・)
それにしても、小林隆さんは「優しい人」を演じるイメージだったので
こういう頑固で厳格な父親役というのは、とても意外でした。
(ご本人も意外だったそうですが)
でも、屈強なイメージの方じゃないからこそ、コミカルさがあったり
自分の中の葛藤が垣間見れたりして、良かったなあ。

そして、とても印象的だったのが姉のキャサリンを演じた森川さん。
初見の方です。とても良かった。私的にはこの話の主役かな。
女性参政権運動にも関わり、信念があり論理的に話せる人で
とても男前。「君はきっといい弁護士になる」と終盤にモートン
弁護士に言われて、私も思わず頷いちゃいましたから。
このまま裁判を続けると破談になりそうだ、と言う状況で
「(結婚への)影響度は?」と問われて「無視できる程度です」と
言い切る姿がカッコよかった。
そして最後に非を認めてモートン弁護士に謝罪する所もね。
本当に、頑固なところや信念を貫くところなど、父親ソックリ。
ラストに裁判で勝てたと分かって、父親と涙するシーンでは、
これまたもらい泣きしてしまいそうでした(笑)←最近涙腺緩め。
ビジュアルは違いますが、演技は何となく松たか子さんを
思い出させるような感じ。また拝見したい方です。

優しくて意外とタフなのは母・グレイス(竹下景子)。
竹下さんを舞台で拝見するのは多分初めて。でも
「いるいる、こういうお母さん」という感じで、マスコミから
電話が掛かって来ても「留守でございます」とすぐに切っちゃったり
マスコミに囲まれるから、同じ服が着られない・・とオシャレしたり
なのに「私は家政婦だから分かりません!」と堂々と玄関から
出て行ったり・・(笑)。
でも、ああいう頑固な旦那様には、こういうおおらかな奥さんが
合うんだろうなあ、と実感できる人で、とても良かったです。

お調子者、弟にコンプレックスを感じている兄ディッキー(山本悠生)
はまあ、ウザいウザい(笑)。山本さんも初見ですが、少しキンキンした
話し方が耳障りなんですけど、でも少しオーバーアクションな感じが
この役にはピッタリですね。
終始ウザいし何も考えてないし「弟のせいで自分が大学を諦めた」と
言ったりもするけど、基本的には弟想いだと思います。
体が弱っていく父親にショックを受ける様子で、いいヤツだったんだと
改めて思ったり。

そして高名な弁護士で感情が読めないロバート・モートン(中村まこと)。
中村さんは何度も拝見していますが、こういう役は珍しいのかな。
感情を全く表に出さない超やり手の弁護士。
相手が子供であっても決して手加減したりしない。
この人も誰よりも信念によって行動をするタイプ。相手に自分を
理解してもらおうなんて、これっぽっちも思っていないだろうから
人づきあいが苦手でしょうけど(笑)。
だからこそ、父親アーサーに共感して、力を貸す気になったんだろうな。

改めて、何が正しいんだろうね・・とは思います。
この裁判でウィンズロウ家は勝利したけど、ロニーは復学できる
訳じゃないし、補償が得られる訳でもない。今通っている学校で
それなりに楽しく過ごせている。
逆に兄のディッキーは就学を諦め、姉のキャサリンは結婚を諦め
世の中からは「お騒がせのウィンズロウ家」と言われるし・・。
だからと言って、泣き寝入りすればよかったのか?と思うと
それも違う気がするし。
でも、最後に自力で歩いてマスコミの前に立とうとする父親の
うしろ姿を見ると、やっぱりこれで良かったんだよね、と思えます。

こういう作品を観ると、舞台って値段だけじゃないよな、と思うし
有名な俳優さんばかりでなくても、面白い作品って出来るんだよな
と言う事のお手本のような作品でした。