今回の遠征最後はこちら。この劇場は滅多に行かなかったのに
昨年からコンスタントに来るようになってますね。
ていうか、先月来たばかりです(笑)。

嵐が丘「嵐が丘」日生劇場 2列目
17:00開演  19:35終演
原作:エミリー・ブロンテ  脚本・演出:G2
出演:堀北真希、山本耕史、高橋和也、伊礼彼方、矢崎広、小林勝也、ソニン、戸田恵子
【あらすじ】 
父アーンショーに拾われ、連れてこられたジプシーの子ヒースクリフは、ヒンドリー、キャシー兄妹とともに育てられ、特にキャシーとは兄妹以上に仲がよく、一緒にヒースの荒野を駆け回っていた。しかし父親が死ぬとヒンドリーは、ヒースクリフを虐待するようになる。そしてキャシーも近くのリントン家の兄妹と親しくなり、兄のエドガーと婚約、するとヒースクリフは行き先も告げずに屋敷を出ていってしまう。




「嵐が丘」と言えば「ガラスの仮面」(笑)。
(あ、その後ちゃんと原作も読んでいますが)

いやいや、それで観たいと思ったのではないですよ。
ヒースクリフを山本耕史くんが演じると聞いて、イメージピッタリで。
堀北さんも舞台では1作(「9Days Queen」)しか観ていませんが
印象が良かったので、これもぜひ観に来たいと思っていました。

感想は追記にて。



 

 
幕が上がると、とても透明感のある素敵な歌声が・・。
誰、この声は?と思ったら ネリーを演じる戸田恵子さんでした。
歌詞が後から公式 Twitterで上がっていましたがこれが
G2さんのオリジナルなんだとか。

いつの日にか あなた 丘の果てへ 行くの
七つの罪 犯したから 罰を受けに 行くの
いつの日にかわたし 丘の上で 死ぬの
嵐の夜 岩を穿つ  雨に打たれ 死ぬの


舞台は大セリを効果的に使った演出が印象的で、これは
大きな劇場ならでは、なんだと思います。
子役と大人が一緒に出てきてオーバーラップしている・・
というのも、面白い演出だな、と思いました。

以前「ジェーン・エア」も同じ日生劇場で観ているのですが
雰囲気が似ているんですよね。演出家も違うのに。
どちらからも荒涼感が漂っている・・っていうのかな。
「ジェーンエア」を書いたシャーロット・ブロンテもこの「嵐が丘」を
書いたエミリー・ブロンテも姉妹ですから、その影響なのかしら。

復讐心に燃えるヒースクリフは山本耕史さん。
すごくイメージがしやすいキャスティングだったのですが、
予想を裏切らなかったですね、寡黙で鬱々としていて暴力的で・・。
キャサリンにだけその心の内を露わにする時があるのだけど、
でもあれは“愛”なのかな、と思ったりもしました。
何だか単に“執着”にも思えてしまうのですよね。
外見は大人になっているけど、中身は子供のまま、というか。
キャサリンを死に追いやったのはヒースクリフなのだけど
彼には自分を顧みたり責めるという事は無いんだろうか?
ただ、あそこまで強く、いつまでも執着し続けられるマインドの
強さは感嘆に値するし、そこが不自然に見えないのは
山本さんだからこそ、なのかな。
 
そしてキャサリンを演じたのは堀北真希さん。
これがまた良かったんですよね、気まぐれで自己中で、でも
自分の感情に素直なおてんばな少女。
けど幼くて素直だからこそ、その素直さが人を傷つけちゃう。
ヒースクリフだけじゃなく、人の良いエドガーまでもね。
ただこのキャサリンも中身は子供のままって言う印象。
「ガラスの仮面」では北島マヤの演じるキャサリンの事を
「おもちゃを取り上げられた子ども」と真澄様が表現していたけど
まさに今回もそんな感じ。それが正しいのかどうかが
よく分からなくなってきちゃいました。“愛”は感じなかったかなあ。
それにしても、堀北ちゃんが演じる役は長生きできませんね(笑)。

そしてすごく印象に残ったのが、イザベラを演じたソニンさん。
もうお人形さまのように可愛らしくてキレイで。
人の良さ全開のイザベラが恋をして、周りに反発して家を出て
ヒースクリフとの生活で荒んでいく・・というのが、服装だけでなく
表情でも分かって、目を奪われることが何度もありました。
一目ぼれするシーンなんて、「今、目に星が入りました!」って
言いたくなるぐらいでした(笑)。

でも特筆すべきはネリーを演じた戸田恵子さん。
舞台の進行役でもあり、この舞台そのものが彼女の目や語りを
通して進んでいくので、まず台詞が多いです(笑)。
キャサリンもヒースクリフもネリーには心を開いているのだけど
それは彼女がフラットに二人に接しているからな。
彼女の語りにも温かいものがあって、とても素敵でした。


「ジェーン・エア」もこの「嵐が丘」もいずれも松竹が製作している
ということも要因かもしれませんが文学作品らしい趣きがあります。
ミュージカルでも音楽劇でもないのですが、音楽は生演奏で
とても素敵で、上質な舞台を観た、という充実感のある1本でした。