この舞台を観に行くことに焦点をあてて、ここ2日間は業務調整。
なので、無事に職場離脱が叶いました♪

ART「ART」名古屋市民会館 い列(2列目)
19:00開演、20:30終演
作:ヤスミナ・レザ    演出:パトリス・ケルブラ  
出演:市村正親、平田満、益岡徹
【あらすじ】
3人の中年男、マーク・セルジュ・イワンは親友同士。 15年のつきあいだ。事の起こりはセルジュが現代アートの高い絵画を買ったこと。それは、白い線の入った白いだけの絵。マークにはセルジュの行動がさっぱりわからない。 白いだけの絵、どうしてこの絵に何百万もの価値がある? イワンは言う、あの絵には何かがあるよ。 あれに何があるっていうんだ!三人の男がいい年こいて大ゲンカ。 大親友だったのに、長い付き合いだったのに。すべてはこの、『アート』のせいだ!



渋い役者3名が揃っているのも見どころですが、作者のヤスミナ・レザ
と言えば「大人はかく戦えり」。これ面白かったんですよね。
その後で映画化されたもの(「おとなのけんか」も観たくらいです。
それで今回も観に行くか!という事になりました。 
どうやら今回が大千秋楽だったようです。

その前に豊橋でも公演があったようです。
平田満さんがアドバイザーに就任されているという関係かと
思いますが、同じ愛知県内での公演なので、今回は客席がけっこう
寂しい状態になっておりました。・・・しかたないよね。



 
想像はしていましたが、それを遙かに超える(?)会話劇でした。
場面はそれぞれ3人の自宅。
背景の絵が変わるだけで、それぞれの違いを表していて
シンプルだけど、分かり易い演出ですね。

セルジュが絵を買ったけど、前衛過ぎるもの。
真っ白な背景に白い線が描かれているという・・。それに大金を
つぎ込んだセルジュが理解できない合理主義で上から目線のマーク。
その気持ちをイワンと共有しようとするのだけど、イワンは必ずしも
マークと完全に同じ気持ちとは限らず、最終的には3人で言い合い、
絵の事とは関係ない話(イワンの婚約者についてなど)罵り合う。

・・・・この3人、本当に“親友”なわけ?めっちゃ怖いんですけど。
というのが第一印象(笑)。
思っている事を全て口にするのが親友って訳じゃないでしょう?
敢えて言えば、マークの自己中っぷりがハンパなくて、相手の事を
思いやるという気持ちよりも、自分の考えを相手に伝えて、それに
同意を得ようとする発言、行動ばかり。
よくこんな人と友達付き合いを続けていたよなぁ・・と。
ただ、そんなマークもちょっと反省している風で、でもそれを素直に
出せない所が、キュートと言えばキュートです。

多分、セルジュとマークは自分の価値観がしっかりしていて、
それを譲らないタイプ。好みは違えど、タイプは似ているのかも。
それに対して、イワンはその中間と言うか、中途半端な立ち位置。
「二人の潤滑油」と言えば聞こえはいいのですが、世の中には
イワン的な人が多い気がするんですよね。
絵の価値が分からないけど、人がいいと言っていれば、何となく
良く見えてくるような気がする、争うのが嫌いで、流されたり
あたり障りのない事を言って、でもそれで自分にストレスを溜めたり。
もちろん私もイワンタイプなので、なんかイワン目線で観ちゃいました。

最期に、絵のキャンバスに落書きをするシーンは思わず
「えっ」と声に出そうだったし、その絵がまた(斜面を滑るスキーヤー)
一筆書きで見事で、驚いてしまったのですけどね。
(あれは客席のみんなも驚いていましたよね)
あのシーンで「絵よりも友情を取った」と言う解釈も出来るのかも
しれないし、確かにあの行動で“休戦”状態にはなったけど、
15年も付き合っていて、こんな言い合いは初めてだったのかしらね。
このやり取りを観る限り、今までに何度もあってもおかしくないような
気もするんだけど。

でも、その後の友人関係を「お試し期間」と表現したり、セルジュが
「消せることを承知の上で書かせた」事をみても、やっぱり
この人たちは本当に親友なのかしら?と改めて思っちゃいました。
もっと言えば、大人の男にとっての友人って何なのかしらねぇ・・とか。
カラっとした明るい喧嘩をイメージしていたので、ちょっとそれは
想像とは違っていたなあと思いました。

皆さん本当に台詞量が多いのだけど、とりわけイワン(平田満)の
長台詞は凄かったですねぇ、汗だくになってましたものね(笑)。 
拍手が起きるのも、分かるような気がします。
良くも悪くも、翻訳劇だなあ・・と思った1本でした。