これは楽しみにしていた1本です。神野三鈴さんがとにかく楽しみで。

メアリーステュアート「メアリー・ステュアート」ウィンクあいちホール1列目
18:00開演、19:45終演
作:ダーチャ・マライーニ   演出:マックス・ウェブスター
出演:中谷美紀、神野三鈴、リュート演奏:久野幹史/笠原雅仁
【あらすじ】
つねに男性によって人生を変えられたスコットランド女王、メアリー・ステュアート。政治に男女問題が介入するのを嫌い、生涯、独身を通したイングランド女王、エリザベス1世。ふたりは同じ時代に生きながら、正反対の人生を歩んでいた。お互いを強烈に意識しながらも、実際には1度も顔を合わせることがなかったふたりが、同じ島に生きる。そしてまだ見ぬ相手との会話を通して、男、親、人生、権力、プライドと弱音、相手への嫌悪と親近感などを語るのだった。


イギリス王室絡みの舞台が結構続いている気がしていますが、
これは既に何度も再演を繰り返している作品だとのこと。
そうか・・全然知らなかった。

中谷さんはこれが3本目の舞台出演作品で、過去2本とも拝見して
いて、多分魅せてくれるだろうな・・と思っていました。
神野さんも何度も拝見していますが、こまつ座などで見せる
穏やかな役とは違って、本当に怖い役も演じられるふり幅の
広い女優さんで大好きです。
「三人姉妹」も相当怖かったですが、「カッコーの巣の上で」は
怖すぎて(笑)、途中まで神野さんだと気づかなかった位ですから。



 
最近は事前に調べて行かないものですから、このタイトルロールの
「メアリー」を何故か「メアリー1世(メアリー・チューダー)」と思い込み
中谷さんがエリザベスを演じると思い込んでおりました(笑)。
この時代に“メアリー”って3人居るんですよねぇ・・(-_-;)。
さすがに、観始めてすぐに「違う!」と気づきましたけど(笑)。 

舞台には大きな鏡が据えられています。この鏡がとても象徴的。

エリザベスは紆余曲折のあった後に即位。
冷静で、多分、セルフプロデュース力が抜群に高くて、
“周りが自分をどう見るか”を常に考えているような人。
「国のために結婚を、世継ぎを」という世論に対して反発を覚える
のは、現代の私にも分かる気がします。
少し前の“必死な総合職大卒女子”を連想したりしてね(笑)。
ある意味不器用な人なんだろうな。

それに対してメアリーは6歳でスコットランドの女王に即位。
何度も結婚し、出産し、情緒に流されて生きている。
男性との結婚が元で国を追われたりもしていますから、この二人、
本当に真逆なんだと思う。

でも、一見真逆のように思えるメアリーとエリザベス だけど、
舞台奥の鏡はお互いに自分の中にあるもの(本当の気持ち)を
相手を通して映し出している事を表しているように思われます。 
エリザベスは結婚や出産、ひいては“恋愛”に否定的な言葉を発していても
実は誰よりも羨望の気持ちがあるんじゃないか・・って思えてしまう。
そういう意味では、当時の英国が舞台であっても、普遍的な
内容なのかもしれない。仕事と“女性”、あるいは“母親”との両立って。

休憩なしの舞台で、一度だけ袖に引っ込んだけどそれ以外は
舞台に出ずっぱり。小道具の準備も基本的には自分たちが行う。
着替えすら舞台上で行っていますから、本当に大変な作品と思います。
冷静なエリザベスと、メアリーの乳母ケネディを神野さんが
奔放なメアリーと、ピュアなエリザベスの召使のナニーを中谷さんが
演じています。メアリーとエリザベスも対照的であれば、
乳母や召使との関係性もちょっと面白いですよね。

最初に出てきたときは神野さんはいつもの優しい目をされていたのに
下手に移動する瞬間に目つきがサっと変わったんですよ。
その変化の鮮やかさに、目が釘付けになっちゃいました。
目だけじゃなくて、姿勢、話し方なんかも変わるんですよね。
それは中谷さんも同じ・少なくとも二役ずつ演じていますが、
それぞれ全く違う役。衣装もメイクも変わっていないのに
表情を観ているだけで、その違いが分かるのは本当にすごい。

個人的には神野さん大好きなんですが、ラストの凛とした
中谷さんも、とても素晴らしかった。

多分、茎に給水の加工がしてあったのかも?と思いますが
(茎が生花にしては太かったように思うし、長時間萎れていない)
舞台で使われた真っ赤なバラは生花でした。←落ちた花弁で確認しました。
その時にバラの香りが漂ってきて、キレイに花弁が散って・・。
その中に埋もれるように横たわっていた中谷さんが、今から
思い返すと、すごく象徴的だったなぁ、と思います。
まあ、本来は投げたときに砕けるはずの花瓶が、中谷さんが
持ち上げた瞬間にバラバラに崩れてしまって、何だか大変そう
でしたけども(笑)。

ちょっと夢の中で突然歌いだした時には、どうしたもんか・・と
(最前列なんで、目のやり場に困るというか)戸惑いましたね
あまりにも、あのシーンだけが異質すぎて。あれ、要りますか?
客席がなんかシラ〜っとしてしまって、女優さんお二人が気の毒に
思えてきちゃいました(苦笑)。

でも女優2人のガチなやり取りが堪能できる1本でした。
リュートの演奏も舞台に溶け込んでいて違和感がないというか
物語に寄り添う感じが良かったです。