この公演の事を聞いた時は「キター!」と思いました。
新感線の「アテルイ」はまだ芝居にハマる前だったので
観れておらず、DVDで観たのみ。最近の新感線は以前のように
燃えるものも少なくなってしまったので、楽しみでないはずがない。

阿弖流為 
歌舞伎NEXT 「阿弖流為」新橋演舞場 17列  16:30開演  20:30終演
脚本:中島かずき   演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助、坂東新悟、大谷廣太郎、中村鶴松、市村橘太郎、澤村宗之助、片岡亀蔵、市村萬次郎、坂東彌十郎
【あらすじ】
都では、蝦夷の“立烏帽子(たてえぼし)党”と名のる盗賊一味が人々を襲っていた。それを止める一人の踊り女。彼女こそ立烏帽子党の頭目だった。町を襲う盗賊が偽者であること暴くため変装していたのだ。そこに都の若き役人、坂上田村麻呂と“北の狼”と名のる男も現れ、偽立烏帽子党を捕え、2人は互いに相手に一目置くようになる。だが、北の狼と立烏帽子は、神の怒りを買い、故郷を追放された男女だった。 北の狼は、阿弖流為(アテルイ)。故郷を守るため、蝦夷の里に戻り、荒覇吐神の怒りをおさめ、帝人軍と戦う。彼の帰還を快く思わぬ蝦夷の男、蛮甲の裏切りにあいながらも、いつしか蝦夷の新しい長として一族を率いていく。 一方、田村麻呂も、帝の巫女である姉、御霊御前(みたまごぜん)や右大臣藤原稀継(ふじわらのまれつぐ)らの推挙により、蝦夷大将軍として、蝦夷との戦いに赴くことになってしまうのだった。



一旦観たらリピりたくなってしまうのに行けなくて悶々とする
というのが目に見えているため、敢えて後半狙いで(笑)。
お席は悪くて、1階のPA卓の前。
まあ、大阪ではかなり前方で観られるので、全体だったり
両花道が同時に観られて良かった、ということにするけど(笑)。

まだ大阪でも観ますので、感想はサラっと。


今回、開演前に売店に行って目についたのがお弁当。
売店
左から「えみし弁当」「立烏帽子弁当」「田村麻呂弁当」・・・。
きっと演舞場限定だろうから折角なので、どれかを買おう・・と思い
悩んだ結果・・・

弁当外見弁当の中





 




やっぱ「阿弖流為弁当」だよねーって、中身じゃなくて名前でチョイス。 
少しお肉多めだけど、いろんなおかずが入っていて美味しかった♪





久しぶりに骨太の作品を観たなあ・・と思います、面白かった。
新感線の「アテルイ」よりも歌や笑いがそぎ落とされて、テンポが
良くなっていた気がします。前半は特にスピードが速かったかな。
今回の歌舞伎化にあたって、かずきさんも脚本を書きなおされた
と言う事なので、本当に役者さんの良さが活きている1本に
なっていました。

阿弖流為と田村麻呂という、背負う使命が真逆の二人が、
お互いの人間性を認め、自分自身ではなく“国”を考えて行動する。
鈴鹿という、純粋に人を想う女の存在が二人の架け橋となって
迎えるラスト。本当に見応えがありました。
お席は後ろですが、下手の花道のすぐ横。
染五郎さんは以前、新感線に出たときに幸四郎パパから
「花道は走るためにあるんじゃない」と言われたらしいですが
今回も走りまくってて(笑)、とにかくすごい迫力がありました。

阿弖流為(市川染五郎)はタイトルロールであり、もちろん主役
なんですが、田村麻呂(中村勘九郎)、立烏帽子(中村七之助)も
同じぐらいにドラマがあり、同じぐらい見せ場があって一粒で
3度美味しい・・って感じ(笑)。
誰かが抜きんでている・・と言うよりは、バランスのとれた3人の
トライアングルが何より見ものだった気がします。

特に私の印象が強かったのは七之助丈かな。
立烏帽子の凛々しさ、その正体がアラハバキの神であって
阿弖流為を責めたてるその口調、そして心優しい鈴鹿。
もう、どれも素晴らしくって。
今回は予備知識ゼロで観に行ったので、新感線の時の西牟田さんと
水野さんの役(立烏帽子と鈴鹿)を七之助丈が二役でやるとは
知らなかった為「あれ?水野美紀がやってた役はどこ行った?」と
2幕になるまで「?」だったんですけど(笑)、今回の流れの方が
シックリするし、歌舞伎的でもありますね。

そして、田村麻呂は少し若くなった感じかなー。
何となく坂上田村麻呂って、知将というイメージがあるのですが
あまりロジカルなタイプではなく、実直で真っ直ぐな若者です。
いきなり刺されちゃって「おいおい、歴史が変わっちゃうよ」と
焦ったりもしましたけど(笑)。
でも、決して幼いわけではなく、両花道で阿弖流為と田村麻呂が
名乗りあうシーンは、とっても見応えがありました。
後方席だったので、キョロキョロせずに一目で観られたのが
良かったかな(笑)。(←負け惜しみではなく(笑))

そして阿弖流為(市川染五郎)。
さすがですよね、染五郎さん。阿弖流為こそ血気溢れる若者
というイメージだったのですが、苦悩する青年って感じでした。
最初に「3人に見せ場があって〜」と書きましたが、セリフがない
シーンであっても、やはり渦の中心にいるのが阿弖流為である
そう思わせる存在感があります。
最期に田村麻呂と闘い、「お前と戦うのに戦神の力は要らない」と
言うシーンは痺れますよ、ほんと。
2人とも刀の鞘を投げ捨て、全てをかけて向かい合う二人ですもん。

その他の方も見応えがあったのですが、個人的には彌十郎丈!
元々大好きな俳優さんですが、もっと好きになりました(笑)。
優しい役もお似合いだし、悪役もお似合いなんですが、一見
いい人だけど、実は・・・というのが、抜群でしたね。

終盤で、御簾をどけてみたら、大王の玉座には衣装があるだけで
実は誰も座っていない・・というシーンがありますが、これは
めっちゃ怖いシーンだなと思うんです。
実は“大王”というのは周りの人間が都合よく作り上げた虚像、
なんじゃないか・・と思えて、うすら寒くなるんですよね。
そんなモノでも信じれば“実在するもの”として力を持ってしまい
人の命も奪うことが出来る。
もしかすると、“国家”とか“政治”ってそういうものなのかな・・・と。
何故かあそこで笑いが起きるのか、私には理解出来ないんですが。
 
今回はあくまで“歌舞伎公演”。
とても面白かったのですが、「いのうえ歌舞伎」と「歌舞伎」って
何が違うのかねぇ・・とも思います。
スッポンの使い方は、伝統的な歌舞伎とは違うし、主演クラスの
殺陣は歌舞伎的だけど、それ以外はアクションクラブで
新感線と同じような音響効果がついてる。
黒御簾の中には岡崎さんたちが生演奏をして迫力ある演奏で
舞台を盛り上げています。敢えて違いを明確化する必要も
別に無いでしょうし、それだけ“いのうえ歌舞伎”が歌舞伎テイストが
あったという事かもしれませんが。(最近の作品はどうかねぇ・・・と思いますが)

ちなみに帰宅してから新感線の「アテルイ」のDVDを観直しました。
今回の歌舞伎の方が面白かった!と思って観はじめたのですが
「アテルイ」はあれはあれで面白かったです。
そういう意味では、今回の取り組みは成功、なんじゃないかな。

カーテンコールは4回だったか5回だったか忘れてしまいましたが
染五郎さんは変な踊りを踊ってくれたりとか、染五郎さん自身が
幕をひいて開けてくれたりとか、大盛り上がり&大はしゃぎでした。
客席には天海祐希さんがいらっしゃったそうですが、私はお見かけできず
めっちゃ悔しかったです(笑)。

大阪ではあと2回観る予定。お席はもっと前になりますので(笑)、
ガッツリ細かい点を観てこようと思っています♪
蝦夷の星空の素
エンディングで光るリストバンドです。これの美しさは前方席では
堪能できないと思うので(いや、負け惜しみじゃなくて。)こちらも
堪能してきました♪