人生初・三鷹です(笑)。そこまでして行きたかったのは
このシリーズを過去2回観ていて、とても良かったから。
3000円なんてすごく安くてびっくりですよ、自由席ですが。

算段兄弟土田英生セレクションvol.3
「算段兄弟」三鷹市芸術文化センター 星のホール
自由席(2列目)、19:30開演、21:15終演
作・演出:土田英生
出演:村岡希美、竹井亮介、本多力、もたい陽子、七味まゆ味、尾方宣久、土田祐太、渡辺啓太、大村わたる、高橋明日香、石丸奈菜美

【あらすじ】
人里離れた山奥にある個人病院。死の床にある院長は、かつて繰り返した結婚と離婚の末に生まれた、母親の違う自身の子どもたちを呼び集める。身勝手な父への怒り、遺産への期待、初めて会う「家族」への複雑な感情。5人の兄弟姉妹とその配偶者たちは、自分たちを強引にひとくくりにする血縁に戸惑い、近くて遠い互いの存在をおずおずと探りあう。


「土田英生セレクション」は土田さんが過去に描いた作品を
改めてプロデュースするシリーズで、今回3回目。
特に2回目の「燕のいる駅」は印象深い作品なので、可能な限り
観たいと思っているシリーズですが、いかんせん地方公演無し。
半ば諦めていたのですが、当初観ようと思っていた納涼歌舞伎の
初日に間に合わなかった為、敗者復活での観劇となりました。 
ちなみにこの作品の初演は16年前だそうです。

今回は“自由席”とは言っても、以前のさい芸のような先着順
ではなく、チケットの整理番号順の入場。
私は「5」だったため、選びたい放題でしたが、観やすさ考慮で
2列目のセンターブロックで。
1列目がすぐに埋まるかと思いきや、実は結構残っていたので
客層によっても違うんだろうなーと思いました。

後から、この公演を高田聖子さんが観にいらっしゃっていたようだ
とブログで拝見したのですが、残念ながら気づきませんでした。
あと、開演を待っていた読書していた女性、女優のあの方では?
と思ったのですが、確証は持てず、でした(笑)。






入場料が格安ではありましたが、セットはいつものMONOっぽく
しっかり作りこまれていて、ちっとも“安い”感じはしません。

幕が上がると、何だか不思議な言葉を話す男女が現われますが
どうやら、“先生”の容体が急変した様子。
そして場面転換−。男女3人が不思議なゲームに興じています。
それぞれに“条件”というか“形容詞”を書いた紙を同時に出して
それを満たすモノを考える・・というもの。
このゲームを通して、何となく3人の人となりが分かってくると
続々と舞台上には人が集まってきます。
そして、これらの人は殆どが“初対面”に近いような人ばかりらしく
自己紹介が始まるので、そこで私達観客もその人達が誰なのか
を理解していくんですね。

どうやら、甲状腺の権威と言われる医師は恐ろしく女たらしで
誰かと結婚し(籍を入れていないこともあったが)子供ができると
飽きてしまうらしく、異母兄弟だらけ。
その医師が余命幾ばくもないという状態で、子供たちを集め
「自分の臨終まで一緒に過ごしてくれるように」と頼んだらしい。

姉(一人目の妻の子)の沙奈枝(村岡希美)が「自分勝手!」と
怒っていましたが、それは当然だと思います。
でも、だった何故沙奈枝はここまで来たのかな?と思うのですが
父親に対する想いから「若い男性以外は苦手」と影響を受け
でも葬儀にあたっては誰よりも涙した・・という所からも、
怒りの対象ではあっても、影響度は大きい存在だったことが
分かります。

それに対して、遺産が気になる双子の洋一(竹井亮介)と
隆(尾方宣久)は父親と言うものに執着はなさそうだし、
耕三(渡辺啓太)は父親よりも“兄”や“姉“”妹”と言う存在が居る
と言う事がひたすら嬉しいだけみたい。
ゆかり(高橋明日香)は一緒に父親と過ごしたこともあってか
「好きなトマトを最後に食べさせたい」という純粋な気持ちで
集まってきた。

血のつながった父親に対しての想いもこれだけバラバラなのだから
“家族”や“血縁”と言うものに対しての思いもバラバラな訳で
ただひたすら嬉しいと喜ぶ耕三みたいな人も居れば、いくら
血が繋がっているからと言って、初対面なんだし、一括りに
されても・・と言う人も居る。
そういう会話のズレから「家族」って言うものを考えるところも
あるのですが、洋一の妻は以前は今死にかけている父親の
内縁の妻だった事がある、とか、遺言を執行しようとしている
勤務医の羽生田(本多力)も実は認知されていないが、
異母兄弟だったと分かるにつれて、何だかもう血のつながりとか
どうでも良くなってくるような気がします。

その反面、女たちは見事に男に捨てられたり、捨てたりして
結果的に、片っ端から配偶者を捨てた父親と同じことをした訳で
嫌でも“血”を感じる事もあったりするし、あれ程嫌悪していた
父親の借金を返す事で、父親との繋がりを実感できて、
コンプレックスが解消したりもして。血縁って、逃げられないけど、
何だか面倒なものだな・・・とも思わされます。

とはいえ、どう生きるかは自分自身次第。
長い長い暗転の末のラストシーンは、出演者達が時間をかけて
血縁と言うものとの付き合い方を掴んだんじゃないかな、
そう思わせられる、明るく力強いものでした。それにしても、ここだけ
出てきて笑いをさらう土田さんは少しズルイですけどね(笑)。
↑土田さんは笑わせようとは思っていないんでしょうけど(笑)。

劇場が主催に入っている事もあってか、格安のチケット代金でしたが
この舞台が3,000円で観られるって、すごい事だと思います。
しかし、この“父親”の我が儘っぷりは、一度説教してやりたい
ぐらいだわ(笑)。


来年のMONO公演は名古屋公演もあるみたいです。
(当日配布のチラシに愛知県芸術劇場小ホールと記載あり)
そちらも楽しみに待ちたいと思います♪