朝ランして、ホットヨガに行って、慌てて向かったのは豊橋です。

マクベス「マクベス」穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールC列
14:00開演、16:00終演
作:W.シェイクスピア   訳:松岡和子
演出:アンドリュー・ゴールドバーグ
主演:佐々木蔵之介、大西多摩恵、由利昌也 
【あらすじ】 
舞台は精神病棟、そして『マクベス』 の物語を表現するのは隔離患者。患者は『マクベス』の登場人物たちにかわるがわる取り憑かれたようにその言葉を語りだす。そして、病室に据え付けられたCCTVカメラが、患者の一挙手一投足を捕らえて、病室のモニターに映し出す。



 当初はこの週末で能登に行こうかと思っていました。
「トロイラスとクレシダ」が能登演劇堂で公演をしているので
劇場フェチの私としては、ぜひ行ってみたい!と。

でも、名古屋から能登って思いのほか遠い。(東京往復できるぐらい)
一人遠征は全く平気(むしろ好き)なんだけど、温泉宿って一人仕様
じゃないんだよねぇ・・・。金沢泊にするのも、日帰りも少し考えたけど
なんか冴えない。やっぱ能登まで行ったら和倉温泉に泊まりたいし。

などと考え始めたら、面倒になってしまって。
もちろんこの作品も観たかったので、まあいっか、と(笑)。

劇場はほぼ満席に近くて、すごく賑わっていました。
佐々木蔵之介さんの集客力ですよねー。
感想は追記にて。


 
 
この作品はNTS(National Theatre of Scotland)の内容を
オリジナルの演出家であるアンドリュー・ゴールドバーグを迎えて
上演するものなのだとか。“マクベスを独りで演じる”とも聞いていたので
どんな作品になるのかなーと楽しみにしていました。

暗転で照明が点くと舞台中央にスーツ姿の蔵之介さんと
医療従事者と思われる男性と女性。あれ、独り舞台じゃないの?
おまけにこの二人、会話をしているんだけど殆ど聞こえない。
「(指輪を)必ず返しますから」とか言ってるのはかすかに聞こえますが。
一瞬「ダメじゃん!」と思ったのですが、会話の内容は
「敢えて観客には聞かせない、その必要はない。」という事なんでしょう。

結局最後まで明かされませんが、脱がされた洋服は「EVIDENCE」
と書かれた袋に保管される事、蔵之介さんの服に血がついていた事
口の中からDNA採取をされていた事、蔵之介さんの爪から残留物を
採取されていた事から、何らかの犯罪(傷害とか殺人とか)の
被疑者なのかな、と推察されます。 

三魔女は3台のカメラに映し出された自分自身。
バンクォーの時は手に林檎をもち、マルカムの時は部屋に
置いてあった人形を使う以外は、微妙な話し方や身振りなどで
マクベス、マクダフ、ダンカン、そしてレディ・マクベスと演じ分けます。
もちろん、タオルの掛け方や椅子の使い方など微妙に使い分けを
していますし、表情もそれぞれに違っているのですが、これは
マクベスという話(人物相関)を全く予備知識なく観た人はきちんと
理解できるのかしら?とは思います。
(「予習が要ったねー」と話しながら帰る人も居ましたし。英語圏では
マクベスそのものが我々よりは身近でしょうから、英語圏ではもっと
受け入れられやすいのかな、と思ったりはしますが。)

でも言葉を返すと、ある程度の人物相関が分かったうえで観ると
面白いって事でもあるんですよね。
浴槽で話す様子は女性そのものですし。それにしても今回の
レディ・マクベスは何て肉食系なんでしょうか(笑)。
また全体に演劇的な面白さも味わえる作品ですね。
リンゴをかじる事でバンクォーを殺したことを表したり、
マクベスの死を浴槽に沈んだ状態で表したり(これが凄い長時間!)。

随時、映し出された映像が使われ、俯瞰しているというか
第三者としての視点も挟み込まれますが、基本的には本当に
ライブ映像が使われていたと思います。(一部録画っぽいシーンも
ありましたが)そこに映る、黒服の男。でも舞台上にはそんな
男性は居らず・・。彼が殺した者(マクダフかな)を表現していて
これは現代の技術があってこその演出で面白いな、と思います。
 
そして最後の最後。看護師がまた林檎を“患者”に与え、そして
去る看護師と医師に「いつまた会おう、三人で」と語る主人公。
ああ・・・振り出しにもどった、と気づく訳ですね。
この“患者”はきっと何度も何度もマクベスを演じているんだろうなと。
医師と看護師の対応が思ったよりも落ち着いているのは、そういう
“患者”の状態を知っていたからなのかもね、と思ったり。

観る前はもっと翻案してあるのかと思ったのですが、思った以上に
ちゃんと“マクベス”になっていて、そこに微妙に現代の精神病棟の
シーンが絡んできます。
子どもの洋服が入った袋を大切に抱えていたところからも
彼の容疑は子ども(開演時には左手薬指に指輪をしていたので
恐らくは自分の子供かと。)に危害を加えた事なのかな、と
推察されますし、カラスを平然と切り刻む様子は彼の中にある
残虐性を表に出したもののように思われますしね。
そんな“患者の状態”と“マクベス”のストーリーを重ねあわせて観る
感じも新鮮でした、その“患者”についての答えが提示されることが
とうとう最後まで無かった事も含めて。

何度観ても「マクベス」という話は、あまり古典っぽさを感じない。
そういう所からも、こういう新しい試みがしやすい演目なのかも
しれないな、と思いました。もしかしたら「メタルマクベス」の
影響を受けすぎているのかもしれませんが。

それにしても、今年に入って蔵之介さんの裸体を観るのは2度目(笑)。
いい体をしていらっしゃいますが、ハラハラして落ち着かないわ(爆)。
他に演者が2名居るとはいえ、彼らにセリフは殆どないため、
“ほぼ一人芝居”状態には変わりなく、出ずっぱりだわ、小道具等の
手順も覚えなきゃいけないわ、感情もアップダウンが激しいわ・・で
佐々木蔵之介さんという役者さんの舞台俳優としての力を、改めて
魅せて頂いたような気持ちになった1本でございました。