何のイベントも予定もなく、スマホの機種変更と毎朝
ジョギングをしてホットヨガに行くだけだった私の夏・・・(笑)。
でもせっかくなので、録画してあったものを観よう!と。

三人吉三 「三人吉三」@シアターコクーン 2007年公演
作:河竹黙阿弥   演出・美術:串田和美
出演:中村勘三郎、中村福助、中村橋之助、中村勘太郎、中村七之助、片岡亀蔵、笹野高史ほか
【あらすじ】 
節分の夜、同じ吉三の名を持つ三人の盗賊が出会い、義兄弟の血盃を交す―。僧侶崩れの和尚吉三、振袖姿のお嬢吉三、浪人のお坊吉三。いま、運命が動き出す。数奇な運命に導かれ翻弄されながらも、がむしゃらに命を賭して生きる三人。名刀「庚申丸」と「百両の金」が様々な人々の手を巡りもたらす悲劇の連鎖……。 



 
これが上演されたのは2007年。
その頃には私も芝居にハマっていたので、この舞台もチケ取りに
参戦していたのですが、片っ端から外れてしまって、とうとう
最後まで手に入らなかった1本です。
この頃には既に、観たい作品のチケットはほぼ確保できるように
なっていたので、何て人気のある公演なんだろう・・と驚きました。

公演が始まって、何かの機会で東急本店の近くに行った際に
「三人吉三」の垂れ幕(っていうの?)が降りていて、「いいなあ」と
思った時の事を今でも思い出します。 

その時は「次こそ!」と思い、実際に翌年からコクーン歌舞伎は
皆勤賞となった訳ですが、今となっては勘三郎さんに小山三さんは
既に舞台で拝見できなくなり、 福助さんも長期療養からまだ
復帰できない状態で、もうこの舞台をこのキャストで観る事は
永遠に叶わないんだ・・と思うと、「舞台は一期一会」と頭では
分かっていながらも、悔しい思いでいっぱいになります。 



 
昨年「三人吉三」がコクーン歌舞伎で上演され、私も観に行った
のですが、その前にこの映像を観ようかな・・と思ったんです。
でも先入観を持ってしまいそうだったため観るのを止めておきました。

正解でしたね。

もちろん、若手の「三人吉三」はそれはそれで勢いも見応えも
あって面白かった事は間違いないのですが、これはちょっと別格。
もう、この配役は素晴らしすぎるでしょ。
だから話に説得力があるっていったらない。
こうやって改めてみると、勘三郎さんってすごいなぁ・・と思う。
福助さんのお嬢吉三って、めっちゃくちゃ“イヤな奴”なんだけど
苦渋というか、背景に背負っているものが感じられて味わい深い。

「三軒茶屋で「THE BEE」が・・」なんてセリフもあったり
「納税します!」なんて言ったりしていて、ああの頃だったんだ・・と
軽くタイムトリップしたような感覚です。

ラストシーンは映像としては観た事があるし、去年の舞台を観て
いるので演出としては知っていたし、画像の汚い録画をテレビで
観ていたっていうのに、知らない間に涙が出ていて自分が驚いた。
映像で観てもこんな迫力があったんだ・・・。
紙吹雪だって分かっているのに、雪が積もった時の、あの周りの音を
吸収してしまうようなシン・・とした雰囲気が伝わってきました。
椎名林檎さんの音楽も、想像以上に合ってましたしね。
カーテンコールの大盛り上がり状態も、納得の作品でした。

まさに“伝説の舞台”ですね、本当に。
今思えば「立見という手があったじゃないか!」と思うけど
その頃はまだ、そこまで歌舞伎にハマっていた訳じゃないし、
今更言っても仕方がないんですよね。
せめて映像ででも観られたことに感謝しなきゃ、です。