元々今週土曜日に休日出勤の予定だったのが、急遽日曜日と
替わって欲しいと頼まれていたので、今日は出勤日でもありました。
解熱剤で熱を抑え込み、朝から仕事をこなして、昼には職場を
一旦抜けて中日劇場へ向かったのでした。

貴婦人の訪問「貴婦人の訪問」大楽 中日劇場2階1列目 
12:00開演、14:55終演
原作:フリードリヒ・デュレンマット「老貴婦人の訪問」
演出:山田和也
出演:山口祐一郎、涼風真世、春野寿美礼、今井清隆、石川禅、今拓哉、中山昇 ほか
【あらすじ】
億万長者の未亡人となったクレア(涼風真世)が財政破綻寸前の故郷、ギュレン市に戻ってきた。人々は、かつての恋人アルフレッド(山口祐一郎)がクレアに財政援助を頼んでくれることを期待していた。そして、クレアを迎える晩餐会。大々的な市への援助を約束したクレアだったが、多額の寄付金と引き換えにある条件を提示する。それは―「アルフレッドの死」。クレアの目的は? そして、家族や友人が、アルフレッドに対して下した決断とは―


体調は決して万全とは言えない状態だったというか、普通に熱が
ある状態でしたし、仕事を抜けてきたので幕間の休憩中に一度
オフィスに戻って様子を見たりしていたので結構ぐったり。
そんな状態でも、最後まで観られた事に安堵しましたが、
ちょっと朦朧として観ていたかも(笑)。2階席で逆に良かった・・。

この作品、来年秋に再演が決まったんですね。




 
予備知識も何もなく観に行ったのですが、こんなダークな話
だったとは驚きました。

とにかくベテランのミュージカル俳優さん達が勢揃いですので
歌唱については全く心配はないというか、本当に安心して
身を委ねればいいのは心地よかったです。
曲も総じて聞きやすい曲が多かったです。

決して気分のよい話ではないのだけど、際立つのは主役の
アルフレッドのダメダメぶりね(苦笑)。
 今の奥さんとの結婚をしたい一心でクレアを捨てた、というのなら
決して誉められたことじゃないし、あの仕打ちは人としてどうよ?
と思うレベルなんだけど、まだ理解できる。
でも結局は「実はクレアが好きだった」とか言い出してビックリ。
その瞬間、私史上最低クラスのクズ男に認定して差し上げました(笑)。
散々なことをしておいて、死にたくないからと家族を置いて一人だけ
町を逃げ出そうとするとかさ。
そんなクズ男を山口祐一郎さんが演じるというのが、新鮮でしたね。
カーテンコールのご挨拶で見せるふにゃ〜っとした感じが残ってて。
見事に、かっこいい祐一郎さんのカケラもなかった(笑)。←褒めてます

財政支援の条件を「アルフレッドの死」にするクレアもたいがいだけど、
女性として同情する部分も多分にあって、悪い女とは言えないですよね、
気の毒な女だとは思うけど。
(結果的に)殺されかけて、子供も流産してしまって、アルフレッド達が
仕組んだ嘘の証言のせいで街に居られなくなったんですよ。
そこまでされて、復讐しない選択肢は私だったらないですから(笑)。

町の財政を建て直すにはアルフレッドが死ぬしかない。
でもアルフレッドは友人だし、殺すことなんてできない。
でも・・・と真剣に考えてしまう仲間達は怖いんだけど、でも現実も
そんな感じなんじゃないの?とか思うと背筋が寒い。
でも、所詮は調子にのってクレアを陥れた仲間なんですよね。これは
クレアの彼らに対する復讐でもあるだろうし、そもそも、アルフレッドが
その程度の価値しかない男って事でもありますよね。
上手いなあ、クレア(爆)。
でも結局はアルフレッドの事が好きで、彼の事が忘れられなくて
永遠に自分のものにしたかった所が、やっぱり“女”だな、と。

涼風さんはちゃんと拝見する機会は多くないながらも、何度か
拝見していますが、今回は少し癖のある演技をされていた印象です、
クレア自体が少し浮世離れした役だという事もあると思いますが
デフォルメしている感じですね。

仲間達が急にクレジットで買い物をする様子に、自分の死を
重ね合わせて怯えたり、何でもない挨拶や日常なのに、自分自身の
猜疑心によってアルフレッドが追い詰められていく・・というのは
面白かったですね。

最後は大どんでん返しでもあるのかとおもったら、そうきましたか、と。
アルフレッドよりも、クレアよりも、奥さんが可哀想だったな。
苦いものを飲み込んだような作品でございました。
体調の悪い時にはなかなかヘビーな内容でしたね(笑)。


今回は大楽だったので、キャストの皆さんのご挨拶がありました。
「本当に嫌な男で・・って事を、新幹線までの時間、一階の喫茶店で
皆さんで盛り上がってください」とふにゃ〜って感じでお話になったり、
春野さんの紹介の際には「僕が最後の最後に裏切って」とおっしゃって
また会場の笑いをさらっておりました(笑)。