今月はなんと2度も(というか2週連続で)大阪遠征でございます。
その第1回目の本日は2本立て。まず1本目はこちらです。

100万回生きたねこ「100万回生きたねこ」大楽 シアターBRAVA!H列
12:00開演、14:25終演
原作:佐野洋子(「100万回生きたねこ」講談社刊)
演出・振付・美術:インバル・ピント、アブシャロム・ポラック
脚本:糸井幸之介、戌井昭人、中屋敷法仁
出演:成河、深田恭子、近藤芳正、田口浩正、石井正則、 銀粉蝶、藤木孝、江戸川萬時、加賀谷一肇、鈴木竜、川合ロン、皆川まゆむ、清家悠圭、鈴木美奈子、山口真美、西山友貴 
【あらすじ】
100万回生まれかわっては、飼い主のもとで死んでゆくねこ。飼い主たちはねこの死をひどく悲しんだが、ねこ自身は死ぬのなんか平気だった。ある時、ねこは誰のねこでもない野良ねことなり、一匹の白いねこに恋をする…。




2013年に初演した時は見送っていました。
興味が無かった訳ではないのですが、ミュージカルと言う事もあって
私の中での優先順位は低くなり、他に観たい作品でスケジュールが
先に埋まってしまったんでしょうね、多分。

ただ、とても評判が良かったので「行けばよかったな」と思ったのを
覚えています。だから今回キャストが違うとはいえ、再演となり
行けるものなら行きたいなあ・・と思っていたのでした。

感想は追記にて。



 
奥行が感じられる部屋のセット。
“飛び出す絵本”のようでもありますが、私は「小人と靴屋」 を
思い出していました。 
夜中になると小人たちが靴を作るってヤツです。 何でだろう(笑)。 
それだけ“おとぎ話”という印象が強かったのかな、と思います
特に1幕が。それはセットだけじゃなくて、衣装やメイクなんかの
世界観から受ける影響も大きかったでしょうね。
それが2幕になると、何故だかリアルになったというか、舞台から
伝わる空気感が違ったものになったのが印象的でした。

初演は森山未來さんが演じたトラネコを今回演じるのは成河さん。
この方にダンスのご経験があるのかどうかは存じ上げませんが、
身体能力が高いですねぇ。
ただ・・・。これが未來君だったらもっとすごかったんだろうなあ
と思わず想像してしまうのは否めません。 
きっとすごい“猫感”だったんだろうなぁ(笑)。

何度死んでも生き返る。そして前世以前の記憶を持つトラネコ。
だから死ぬことなんて何の重みも感じていないだろうし、
当然生きる事の重みも感じていない。
だからなのか、トラネコはいつも感情が無いように見えます。
投げやり、とも言うのかな。

それが初めて「自分に対して興味のない」白猫に出会い、
初めて「自分から相手の興味をひきたい」と思い
そして初めて「その存在が大切だと感じる」経験をしたトラネコは
大切な白猫の死を知って初めて「失う」ことの悲しさを知って
感情を露わにするんですね。
そしてやっと「生き返ることのない“死”」を迎え、そして
一斉ににピンクの花が咲く。まるで何かを祝福するかのように。
まるでトラネコの100万回の死は“死ぬこと”“生きる事”を
理解するまでの試練だったかのようだな、と思いました。

成河さんは歌がお上手なので、もっと聞きたかったなぁ。
そう言えば思った以上に歌が少なかった印象ですね。
というより、セリフも少なくて、それがこの舞台の一つの特徴に
なっているような気がします。
ああ、白猫とトラネコの二人の“しりとり”で続く会話が、
歌じゃないのに歌のようで、響きが素敵だなあと思いました。

そして深田恭子さん。初舞台なんですね。
もうとにかく可愛くて。白猫の時なんてまるでお人形のよう。
猫は猫でも猫のぬいぐるみって感じかな。
ただ、1幕で舞台上をドタドタと走り回るがはうるさくて、
少々辟易としてしまいました。
猫との対比したかったのかもしれませんけれども。

面白い舞台だな、と思いましたが、ちょっと想像していた
のとは違う感じだったかなー。