今年は本当に本が読めておりませんが、何とかこれだけは・・と
思っていた作品、読み終えました。

天を衝く上天を衝く下 












「天を衝く」 著:高橋克彦 


これは高橋氏の「陸奥三部作」の最後の作品なのだそうです。
他の2作は火焔」「炎立つで、いずれも読んでいますがとても
面白かったので、 いずれはこの三部作を読破したいと思っていました。
時代としては、火焔→炎立つ→天を衝くで、いずれも東北の話。 

決して短い作品ではありませんが、これも面白かった〜。
確かにこの3作は似ている所があります。
主人公たちはいずれも義を重んじ、誇り高く生きていてとても
魅せられます。

この作品の主人公、九戸政実で日本史に疎い私はその名すら
存じませんでしたが、本当に豪胆で、頭が切れて、器がデカくて
魅力的な棟梁です。

自ら死を選ぶことを潔しとする武士たちの事が理解できない訳
ではありませんが、正直好きではないというか、気分がよくなくて
それが日本の戦国モノがいまいち好きになれなかった理由の一つ
なのですが、この三部作の主人公たちは違う。
この政実は特に「生きて帰れ」「無駄に死ぬな」「生き延びることが
勝つことである」と言い、若年の者や家族のある者を戦場から
遠ざけるんですよね。生き延びさせるために自ら投降までして。

死に急ごうとする部下を必死に説得する所では泣けちゃって。
朝の電車で、一人目に涙を溜める不思議な中年女になってました(笑)。

あーあ、でも読み終わっちゃったら少しさびしいな。
単行本だったので、荷物は軽くなるんだけど(笑)。