約1ヶ月ぶりの遠征はこちらから。
チェーホフの作品は観たことがありますが、「桜の園」は
初めてだったので興味があって。

桜の園「桜の園」新国立劇場小劇場 A3列(2列目)
13:00開演、15:40終演
作:アントン・チェーホフ   演出;鵜山仁
出演:田中裕子、柄本佑、木村了、宮本裕子、平岩紙、吉村直、石田圭祐、大谷亮介、金内喜久夫、奥村佳恵、山薫、木場允視、景山仁美、永澤洋、田代隆秀
【あらすじ】 
 南ロシア、ラネーフスカヤの領地、「桜の園」。5月のとある日、夜明け前にラネーフスカヤ夫人一行がパリから帰国する。家族や使用人たち、地元の名士たちは再会を喜ぶが、その胸中は穏やかではなかった。彼女はパリでの生活に疲れ果て、破産状態にあり、先祖代々の「桜の園」は今や競売にかけられようとしていたからだ。それを嘆きながらも浮世離れしたラネーフスカヤは浪費と享楽的な生活を止めようとしない。折しも華やかな舞踏会の最中に、「桜の園」が落札された知らせが届く。そして失意のラネーフスカヤは......。



あと、平岩紙ちゃんが新国立に出るっていうのも、何となく
イメージが掴めなくて興味があったというか・・・。

舞台は、中央に花道があるような恰好になっているのが
面白いな、と思いました。





これは、役者さんの演技力が″残念”だと退屈な舞台になってしまう
という、とても怖い舞台なのかもしれません。
チェーホフは「重要な事はいつも舞台の外で起きている」と言われる
そうで、確かにこの舞台はモスクワの屋敷での会話のみ。
それも何だか浮世離れした程のんびりとしている・・っていうね。

その場違いなほどののんびり感は、田中裕子さん演じる
ラネーフスカヤから醸し出されると言っても過言ではないかも。
お人よしで、金銭感覚なんか全くなくて、おまけに危機感も皆無で
パリで恋人を作っちゃったりして、でも誰かに頼りたくて・・・という
もう、どうしようもない人なんですよ。
私の母がもしこんなふんわりした人だったら「しっかりしなさい!」と
叱りつけるし、あんな金銭感覚だったら財布を取り上げるのは
間違いないし、怒ってばかりだと思う。
でも、周りがそうしないのは、それがラネーフスカヤの魅力
なんだろうな、とは思います。
そういう、フワフワしていて頼りないけど、思わず助けてしまう
という女性、田中裕子さんがピッタリ。
ちょっと乱暴な言い方ですが、田中裕子さんは「絶世の美女」という
タイプではないのだけど、舞台ではとても印象深い事が多いです。

そして、ロパーヒンは柄本佑さん。
すごく″屈折して育った”感が良かった。
成りあがって、経済的に成功して認められたい気持ちもあるし
ラネーフスカヤ家ではやはり劣等感からか萎縮した様子を見せる。
経済的にはラネーフスカヤを超えているのに、どうしても人として
は見下されてしまうっていう・・ね。
それは貴族の誇り高さでもあるんでしょうけど。

あと、印象的だったのはワーリャを演じた奥村佳恵さん。
色々と舞台には出演されているようですが、見事に私が観ていない
作品ばかりに出演なさっていて(笑)、殆ど初見。
大人しく、しとやかで、常識的で・・・という方なんですが、ラストに
ロパーヒンにキレた時は怖かったわぁ。
こういう人こそ、怒らせると一番怖いという典型でした(笑)。

そして興味のあった平岩紙ちゃん。
脳天気で、お調子者で、ちょっとずつズレたキャストの中で
見事にちょっとズレた可愛い小間使いを演じていましたよ。

そんなに大切な″桜の園”なら、何故本気で守ろうとしないんだろう。
何故お金が無いのに、そこまで危機感が無いんだろう。
観ていて、力が抜けるというか、バカバカしくなるというか。
そんなバカバカしい家族なのに、桜の木を切り倒す音が妙に響くし
屋敷の中で横たわるフィールス(金内喜久夫)が切ない。
なんか不思議な作品でした。

いずれはこの作品もKERAさんVer.が上演されるんでしょうが
女性を描くのがお上手なKERAさんが手がけたら、どんな作品に
なるんだろうか。
すごく興味が出てきたし、早く上演してくれないかなな、と
待ち遠しくなってきましたよ。