これはすごく楽しみにしていた1本です。
本当は公開日に行きたかったくらい(笑)。
でも公開日は東京出張だったし、昨日は動線が悪くて本日鑑賞です。

womaningold黄金のアデーレ 名画の帰還」 
監督:サイモン・カーティス
出演:ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール
【あらすじ】 
マリア・アルトマン、82歳。アメリカに暮らす彼女がオーストリア“政府”を訴えた。それは“オーストリアのモナリザ”と称されるクリムトの名画を「私に返してください」という驚きの要求だった。クリムトが描いた、黄金に輝く伯母・アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに奪われたもので、正当な持ち主である自分のもとに返して欲しいというのが、彼女の主張だった。大切なものすべてを奪われたマリアが、名画よりも本当に取り戻したかったものとは──? 


実話ベースの作品が好き、一件キツそうに見える女優さんが好き
という私の好みドンピシャの作品ですから、楽しみでない筈がない(笑) 。



 
もう、本当に良かったです。まさに “感無量”。

私でもクリムトの“Lady in Gold”ぐらいは知っていましたが
あの作品にこんな逸話があったなんて、知りませんでした。

実在のマリアさんの写真も拝見しましたが、ヘレン・ミレンに
似ていますよね。顔かたちというよりも雰囲気が。
元々裕福な家庭に生まれた気品と、体一つでアメリカに亡命し
生活をしてきた意地やプライドが感じられます。
まさにヘレン・ミレンのための役と思わされる程で。

ただそんな気の強いマリアでもオーストリアに渡ることには
恐怖に似た感情があるようで、まだまだ傷が癒えていない事が
分かります。「オーストリア出身です、でも英語を話します」と
主張するマリアの頑な様子にも通じます。
それにしても、当時の建物がまだ残っているというのが凄い、
と思うべきか、まだそれだけの歳月しか経っていないと思うべきなのか。
マリアさんがお亡くなりになったのは2011年と言う事ですから
まだ数年前まではご存命だったんですものね。


「皆さんにはクリムト名画でも、私にとっては唯一の家族の形見です」

このセリフが頭から離れません。
戦争は国と国との争いですが、最終的に苦難や悲しみを
引き受けざるを得ないのは国民、一人一人なんですよね。
その重みが、絵画の所有権が自分に戻ってきても素直に
喜べない複雑な気持ちに現れているのかもしれませんね。

ナチスから逃れて亡命をするくだりでは、思わず手に汗を握って
観てしまったし、ラストでかつて住んでいた住居(現在はオフィス
として使用されている)を再訪し、思い出に浸るシーンでは
私も泣けてきたし、周りでもいっぱい泣いていたようでした。
でもあんなに簡単にオフィス内を自由に見学させるなんて
企業のセキュリティ意識には問題がありそうですけど(笑)。

戦争や迫害されたユダヤ人の悲惨さを直接糾弾するのではなく
絵画の返還というものを通して、家族の絆や戦争の無意味さなどが
伝わってくる、とても記憶に残る1本になりました。
かといって、重苦しいだけの作品でもないですしね。
今年のベスト5には間違いなく入るな。ベスト3に入れてもいいかな。

あと、若いころのマリアを演じた女優さんが大竹しのぶさんに
そっくりで驚きました(笑)。