18時ぴったりにオフィスを出て、ダッシュで名古屋駅へ。
そのまま18時27分名古屋駅発の新幹線乗車。目的地は豊橋です。

オレアナ「オレアナ」穂の国とよはし芸術劇場PLAT 1列目
19:00開演、20:55終演
作:デイヴィッド・マメット   翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:田中哲司、志田未来   

【あらすじ】 
昇進を目前に控え、安定した晩年の設計図で頭がいっぱいの大学教師[ジョン]。一人の女子学生[キャロル]が彼の研究室を訪れ、授業についていけない、どうか単位を取らせて欲しい、と涙を浮かべて懇願する。彼女を慰めようと、紳士的な態度で相談に応じるジョン。しかし後日、キャロルがジョンを“ある理由”で大学当局に訴えたことにより、前途洋々だったはずの彼の未来は打ち壊されていく…。言葉を尽くせば尽くすほど深まるディスコミュニケーションの溝。彼女が彼を訴えた“理由”とは?彼は彼女に“何を”したのか?




豊橋で平日の夜公演 なんて行けるわけないじゃん!と思ったものの
本当に“行けるわけない”のか、念のために検証してみたところ
6:27発の「ひかり」に乗車すれば、6:45頃に豊橋着と言う事が分かり
これならギリギリ開演に間に合うじゃないか!と。

普通に行ったら名古屋→豊橋は1時間弱かかる所なので
やっぱり新幹線は速いんだなぁ・・なんて改めて思ったりしましたが
そこまでして観に行く私もどうよ?思いますよ、ほんと(爆)。

これは志田未来ちゃんの初舞台作らしいですね。
調べてみると過去に2度程上演されていて、

1994年・・・演出:西川信廣、出演:長塚京三、若村麻由美
1999年・・・演出:西川信廣、出演:長塚京三、永作博美
 
だったそうですが、今回は久しぶりの上演。
訳者も演出家もジョン役も今回は一新されての上演なんですね。


 
 
フライヤーにも書かれていた「ディスコミュニケーション」と言う単語。
ちょっとwikiで調べてみたところ

相互不理解、対人コミュニケーション不全をさす言葉。
コミュニケーション (communication) に接頭辞の dis- をつけた和製英語

まあ、調べなくても分かりますが、 和製英語だったのですね。
となると、海外ではどのように表現されているのか気になります(笑)。

幕が開くと、大きな書架が印象的な教授の個室らしい部屋。
ソファなどもあるし、奥にも部屋があるようで広い空間です。
上手から下手にかけて八百屋状態になっているセットが
変わっていて、印象に残ります。

どうやら教授であるジョン(田中哲司)の所に、彼の授業を
取っているキャロル(志田未来)がアポなしで押しかけて
来ているらしい場面で開幕。

まずはこの二人の会話で強烈に印象に残るのはキャロルの
「対人コミュニケーション不全」っぷりです。
観ていて真剣に「この人は発達障害なのか?」と考えた程。
ジョンが何か言っても「分からない!」「助けてください」を
連呼するばかりで、会話になりゃしない。
とりあえず“この子は面倒そう”と言う事だけは分かるので
さっさと追い返せばいいのに、一生懸命会話をしようとする
ジョンに軽くイラっとしたりします。
でも、客観的に観てもジョンは“紳士的”だと思うし、真摯に
対応しようとしている事は伝わるし、「偉いなあ」と思っちゃう。
だから、そのジョンを「セクハラ」で訴えた・・という展開に
「は?どうやったらそうなるの?」と思うぐらいです。

明らかに1幕のキャロルと2幕のキャロルは違う。
侮蔑を含んだような、冷めた目つき、あんなに会話が
成り立たなかったのに、ちゃんとそれなりに流暢に話せている。

「何でそうなるのか」
「どうやったらこちら(ジョン)の気持ちが伝わるのか」
というジョンの苛立ちと戸惑いはそのまま私の感情とリンクし
無意識のうちにキャロルをガン観してしまっていました。
そういう状態でも冷静でいようとするジョンを尊敬するとともに
「そういう女と二人きりで個室で会ったらりしたらダメでしょ」
「もう、放っておけ、そんな女」
と思うのに、ジョンはどんどんと深みにはまってしまうんだよね。

合計3回の二人の話し合いの際、徐々にその時間は短く
なっていくのだけど、ふとキャロルが素顔を見せるというか、
弱みを見せるようなところがあります。
その際には「理解してほしい」と言っていました。
多分、この言葉に嘘はなく、本当にジョンに理解してほしい
という気持ちはあったのだろうと思います。
そしてやっと心を開き始めたかと思うと、その度に鳴る電話。
その電話でジョンが話している間に、みるみる表情が元の、
むしろ今まで以上に冷淡なものに変わっていくのですよね。

何なんだろうな、キャロルって。
確かにこの年頃の女性って、必要以上に頑なになったり
特定の方向に暴走してしまいがちだと思いますけどね。
でも、それだけとは思えない。
彼女の主張は私には支離滅裂というか、偏っているとしか
思えないので、そのロジックは後から出来たものに思えてね。

ジョンに好意があったとか・・・。であれば、奥さんからの電話に
態度を硬化させるのも分かるけど、なんか・・・違う気がする。
自分と同じものを感じていたのに“裏切られた”と感じた・・・
ジョンが思った以上に俗っぽい事に幻滅した・・・とか。
それらが複雑に混ざっていたのかもしれないのだけど。
ただ、この一連の騒ぎは“偶然”ではなく、最初からキャロルに
仕組まれた“必然”だったようにも思えるし。
最後の最後に、ジョンがキャロルに対して手をあげますが
そこまで計算ずくなの?と思っちゃいましたよね。
「そういう事なのよ」なんて最後の言葉・・・。

観ている私たちも目が離せず、また疲れました(笑)。
キャロルの本心は私には分からなかったけど、彼女には
「ジョンはこういう人」という“像”があって、実際にそうなるまで
追い詰める人のように思えました。

諸々を確認するためにも、もう一度観たいなあ。
いずれにしても、こんな風に相手を陥れることが出来るのか、
と思うと、うすら寒い思いがしますね・・。

志田未来ちゃん、いい意味でドラマで観たときとの印象が
変わらず、もっと舞台で活躍できそうな気がしますね。
最初の“必死”さと“冷たい目つき”の対比も非常に良かったです。

豊橋はねー、舞台を観に行くのはいいんですが、そこから
帰るのが(帰りは当然、新幹線は使いません)面倒なんです(涙)。
もう、名古屋でなくて豊橋でもいいから、せめて土日公演に
して頂きたいものです・・・。