年末から読み始めていたこちら、ようやく読み終わりました。

風の陣
「風の陣」(全5冊)

著:高橋克彦 
《立志篇》 《大望篇》 《天命篇》 《風雲篇》 《破心篇》 


「火怨」でハマった 高橋克彦氏、″陸奥三部作”を読み終えて
次はどうしようかなあ・・と思った時に見つけたものです。
時代は戻って、「火怨」の前の時代のお話だということで
興味をもってポチっていました。


 
 
主だった登場人物は3名です。
陸奥国出身にも拘らず朝廷で正四位まで出世した道嶋嶋足は
朝廷から蝦夷の無用な争いを避け、平和を実現しようとし、
伊治を治める蝦夷の長のうちの一人、伊治鮮麻呂は陸奥において
他の蝦夷と陸奥の守との間に立って、無用な争いを避けようとし
物部一族の要で陸奥と都を行き来する物部天鈴は、知恵と
お金等の面で二人を支えながら、陸奥の平和を成そうとする。

今までの陸奥3部作の主役は、カリスマ性があって、武芸にも
策にも長けたリーダーが出てくることが多いと思います。
でも、嶋足にしても鮮麻呂にしても、これでいいのかどうか
常に迷っている、というのが特徴なのかな。
それに対して天鈴の全く迷いが無く、ズバズバした物言いと
頭の回転の速さが際立ちます。

嶋足が仕えた坂上苅田麻呂はあの坂上田村麻呂の父親。
幼い阿弖流為と早駈けの競争をする所も描かれています。
この「風の陣」の終盤と「火怨」が時代的にオーバーラップし
最後には、鮮麻呂は阿弖流為に今後を託す形で終わっていき
「火怨」に繋がっていくのだと思うと、感無量になるんですよね。
また「火怨」を読み直すのもいいよな、なんて思いました。
そして、エンディングの数ページで「風の陣」というタイトルが
よく理解できましたね。
また今回も高橋作品、楽しませてもらいました。

それにしても、「立志編」とかサブタイトルがついているのは
いいんですが、「1巻」とか順番がどこにも書いてないから、
「えっと・・・。志をもって(立志)から大望頂いたって事かな」と
順番を判断するのが面倒だっての(笑)。
(最終巻のブックカバー、裏表紙見返しに順番は書いてありますが)

さて、次は何を読みましょうか♪