ミリオン座にそのまま居残り、2本目はこちら。
アカデミー賞がらみで露出が増えた事もあってか、とても混雑。

リリーのすべてリリーのすべて
監督:トム・フーパー
出演:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー
【あらすじ】 
1930年、デンマーク。風景画家のアイナー・ヴェイナーは、肖像画家の妻ゲルダと共に公私とも充実した日々を送っていた。そんなある日、女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、アイナーは自分の内側に潜んでいた“女性”の存在に気づく。それ以来、“リリー”という名の女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、心と身体が一致しない自分に困惑と苦悩を深めていく。『レ・ミゼラブル』の強力タッグが再びー。トム・フーパー監督×エディ・レッドメインが贈る、鮮烈な愛の物語。



以前にも書きましたが、私にとって海外の映画俳優さんは
ごく一部を除いて「その他大勢の素敵な人たち」 。
なので敢えて「この人が出ているから観に行く」事は殆どナシ。
でもこのエディ・レッドメインはその数少ない″ごく一部”なので
前からこの作品は観てみたい、とずっと思っていました。

エディが気になるようになったのはやはりレ・ミゼラブルの
マリウス役がきっかけです。
「ブーリン家の姉妹」も「エリザベス ゴールデンエイジ」も
観てはいるけど、全く記憶にございませんから(笑)。

ちなみに、この作品は「レ・ミゼラブル」の撮影中に監督から
エディに話が持ちかけられたものなんだそうですね。
 

 
 
「博士と彼女のセオリー」でも書きましたが、エディ・レッドメインすごい。
来日時のインタビューでみせていた、無邪気な青年とは全く違う。
俳優さんってすごいなあ。

ただ、この作品のキャッチでもある
「夫が女性として生きたいと願った時、妻はすべてを受け入れた」
が大きな先入観になってしまっていたので、どんな凄い奥さんだ!
と思って観に行ったのですが、この文章はちょっと映画の内容とは
違うというか、ごく一部を切り取りすぎている気がします。

ゼルダはやはり夫としてのアイナーを愛していて、夫が居なくなる
と言う事を嘆いたし、アイナーが居なくなることによって、彼の
幼馴染に惹かれていく。ある意味とてもごく普通の女性だし、
そんなゼルダはとても共感ができます。
「夫に頼りたい、アイナーに会いたい」と泣くゼルダにもらい泣きを
してしまいそうでした。
性同一性障害に苦しむアイナーも気の毒だし不幸だけど、
愛していた人が居なくなるゼルダの方が苦しかったんじゃないかな。
死亡とか離別と違って、生物としては愛した人と同じ人間が
目の前に居るのに、でも「別人」になっていってしまうのだから。
人がその人たらしめるのは、何なんなんだろうな、と言う事を
改めて考えさせられてしまいました。

でも面白いなと思ったのは、アイナーの中に眠っていたリリーが出現し
アイナーと入れ替わるまるで解離性人格障害のような状態だった、
という事です。 アイナーがリリーに変化していくというイメージ
だったので。

そして、そんなアイナーとリリーの演じ分けは本当に見事で 
仕草ももちろんなんですが、表情だけでも明確に違うんですよ。
何だろう、何が違うんだろう・・・。視線なのかな。
初めてドレスを羽織った時「はっ」となるときは、こちらも
思わず「おっ、ここか!」と思っちゃいましたからね(笑)。
仕草に関しては、やはり指先や足元の差が大きいんでしょうね。
特別“女性顔”って訳じゃないエディだけど、本当にキレイでしたもん。

これは「恋愛映画」にカテゴライズされるのかな。
だとすれば、この作品は恋愛映画にも関わらず、とても気に入った
作品の1本になりました。
(個人的には恋愛映画という印象は全くないんです、何故だかわからないですが)