ご逝去の知らせを受けて、とりあえずブログには書いたものの
とてもじゃないけど、書ききれないというか、何だか心にぽっかり
穴が開いてしまったような感じ。

なので、もう少し書こうかなと思います。

私が本格的に舞台を観るようになったのは2005年。
その頃は、何の知識もないし、自分の好みも分かっていないし、
教えてくれる程詳しい人も近くに居なかったので、とにかく
手あたり次第に、興味のある舞台を観ていた気がします。
そんな中でたまたま観た「間違いの喜劇」が、とんでもなく面白かった。
そこで興味を持った次回作「タイタス・アンドロニカス」を観に行ったら
これもまた、面白くて、すっかりシェイクスピアが好きになりました。
この2作をこの時期に観なかったら、私の好みは変わっていたかも。

そして蜷川演出の舞台は次々と上演されるので、私にとっては
「あって当たり前」のものとなりました。
年に10本以上演出されていた時期もあったはずです。

また、蜷川さんの舞台で多くの魅力的な俳優さんを知りました。
今でこそ有名になった吉田鋼太郎さん、小栗旬さん、長谷川博己さん
藤原竜也さん、阿部寛さん、谷原章介さんも、蜷川さんの舞台を
観なければ、今ほど好きにはなっていなかったと思います。

蜷川さんの舞台を観ていなければ、横田栄司さん、高橋洋さん、
高橋一生さん、月川悠貴さん、大石継太さん、星智也さん、
瑳川哲朗さんを好きになる機会はかなり減ったと思います。

蜷川さんの舞台でなければ、菅田将暉くん、溝端淳平くん、三浦涼介くん
岡田将生くん、松坂桃李くん、森田剛くん、山本裕典くんのような若手の
舞台を敢えて観ようとは思わなかったはずで、彼らの素敵な面を知る
機会はなかなかやって来なかったでしょう。


蜷川さんの舞台をきっかけに、多くの作品や俳優さんを知りました。
蜷川さんの作品でシェイクスピアの面白さを知り、ギリシャ悲劇を
初めて観たし、何だかんだと私の舞台に関する知識を増やす
きっかけにもなりました。
まだまだ分からない事も多いですが、蜷川さんの舞台を観ながら
受けた影響も大きいし、観客として育ててもらったような気すらします。

どれだけ観ても、観尽くす事が出来ないのが蜷川作品だったのに
これ以上、作品が増えないという寂しさ。
井上ひさしさんのご逝去の際にも「もう新作を観る事はできないんだ」
と思いましたが、この感覚はあの時の比ではない。

自分の記録のために、今まで観た(除:映像のみの鑑賞)作品を
追記に書き出してみました。
完全に自己満足なので、ご興味のある方だけどうぞ。





合計47本でした。始めは多くを愛知県で観ていたのに
コクーンやさい芸、ドラマシティが増えているのがわかります。
「地元で上演されたら観よう」から「遠征してでも観たい」に
変わっていった、ということですね。


「天保12年のシェイクスピア」@シアターBRAVA!
「間違いの喜劇」@愛知県勤労福祉会館
「タイタス・アンドロニカス」@シアタードラマシティ
「あわれ彼女は娼婦」@シアターコクーン
「オレステス」@愛知県厚生年金会館
「タンゴ・冬の終わりに」@シアターコクーン
「ひばり」@シアターコクーン
「コリオレイナス」@愛知県厚生年金会館
「恋の骨折り損」@愛知県勤労福祉会館
「薮原検校」@シアターコクーン
「お気に召すまま」@シアターコクーン
「カリギュラ」@シアターコクーン
「オセロー」@愛知県勤労福祉会館
「リア王」@シアタードラマシティ
「身毒丸復活」@愛知県厚生年金会館
「わが魂は輝く水なり−源平北越流誌−」@シアターコクーン
「道元の冒険」@シアターコクーン
「から騒ぎ」@愛知県勤労会館
「冬物語」@シアタードラマシティ
「ムサシ」@彩の国芸術劇場大ホール
「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」@シアターコクーン
「NINAGAWA十二夜」@新橋演舞場
「十二人の怒れる男」@シアターコクーン
「ヘンリー六世」@シアタードラマシティ
「じゃじゃ馬ならし」@シアタードラマシティ
「たいこどんどん」@シアターコクーン
「アントニーとクレオパトラ」@シアターBRAVA!
「下谷万年町物語」@シアターコクーン
「シンベリン」@シアタードラマシティ
「トロイラスとクレシダ」@愛知県芸術劇場大ホール
「ボクの四谷怪談」@シアターコクーン
「日の浦姫物語」@シアターコクーン
「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜」蜷川ver.@シアターBRAVA!
「ヘンリー四世」@シアタードラマシティ
「盲導犬」@シアターコクーン
「ヴェニスの商人」@兵庫県芸術劇場
「わたしを離さないで」@愛知県芸術劇場
「太陽2068」@シアターコクーン
「ロミオとジュリエット」@彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
「火のようにさみしい姉がいて」@シアターコクーン
「ジュリアス・シーザー」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール
「『皆既食』〜Total Eclipse〜」@シアターコクーン
「ハムレット」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール
「リチャード2世」@彩の国さいたま芸術劇場インサイドシアター
「NINAGAWA・マクベス」@シアターコクーン
「ヴェローナの二紳士」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール
「元禄港歌−千年の恋の森−」@シアターコクーン


オールメールシリーズのNO1は何といっても「間違いの喜劇」
「タイタス・アンドロニカス」は重いけど、忘れられない作品。
「カリギュラ」は難しい話だったにもかかわらず、ビジュアルを
含めてとても鮮明に覚えてる。
「わが魂は輝く水なり」リピりたいぐらい好きだった。
「NINAGAWA十二夜」は幕が開いた瞬間、他の客と一緒に
セットの美しさに「うわぁぁ」って言っちゃったんだよね。
「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜」KERA作品を蜷川さんが?
と思ったけど、違いがとても面白い企画だった。
「わたしを離さないで」も大好き。リピれば良かったと本当に思う。
「太陽2068」はイキウメの方が好きではあるけど、色々新鮮だった。

上から花が降ってきたり、肉塊や岩が降ってきたり、国旗を
印刷した紙が降ってきたりした作品もあったなぁ。
大人数のアンサンブルが出演して、度肝を抜かれた作品もあった。
通路を使う演出も多かったよね、うん。
「ひばり」「タイタス〜」のように蜷川さんの「さあ、はじめようか」の
声で芝居が始まる作品もあれば、「シンベリン」のように、一斉に
衣装の早変わりで芝居が始まる事もあったけど、毎回
「今回はどんなオープニングだろう」とワクワクさせてもらったよ。
あの幕が開くと同時に、持っていかれる感覚は大好きだったなぁ。

これだけしか観られなかったけど、「身毒丸」「ハムレット」
「NINAGAWAマクベス」
が観られただけでもラッキーだと
思わなければいけないのかもしれませんね。

とはいえ、せめてもう一度、さい芸で蜷川演出作品が観たかった。
「蜷の綿」の同時上演だけは、とっても、とっても観たかった(涙)。