本当は2度も観るつもりはなかったのですが、8月6日の公演は
お目当てのキャストでの公演がなく、また本来ならば公演後半で
観たかったので、諦めて2度遠征する事にしていました。
7月〜8月で3日間夏休みを取得するので、今日がその3日目。
(盆時期の休みは「強制的に有給休暇を取得させられる日」でした)

王家の紋章「王家の紋章」帝国劇場1階D列
13:00開演、16:20終演
原作:細川智栄子あんど芙〜みん「王家の紋章」
脚本・作詞・演出:荻田浩一 
作曲・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ 
出演:浦井健治、宮澤佐江・新妻聖子[Wキャスト]、宮野真守・平方元基[Wキャスト]、伊礼彼方、愛加あゆ、出雲綾、矢田悠祐、木暮真一郎 、濱田めぐみ、山口祐一郎 他
【あらすじ】 
16歳のアメリカ人キャロル・リードは、エジプトで大好きな考古学を学んでいる。ある日、とあるピラミッドの発掘に参加するが、そこは古代エジプトの少年王・メンフィスの墓だった。古代エジプトへのロマンに沸き立つキャロルだったが、アイシスという謎の美女が突然現れる。実はアイシスは古代エジプトの神殿の祭司でメンフィスの異母姉。メンフィスの墓を暴いたことによる祟りを起こすため、現代に現れたのだ。彼女の呪術によって、キャロルは古代エジプトへとタイムスリップしてしまう。キャロルは、エジプト人にはありえない金髪碧眼に白い肌。そして、考古学の知識と現代の知恵を持つことにより古代エジプト人達から、“ナイルの娘”“黄金の姫”と呼ばれ、崇められる様になりメンフィスから求愛を受ける。強引で美しい若き王メンフィスに反発しながらも心惹かれてゆくキャロル。だが、メンフィスを愛するあまり憎きキャロルの暗殺を企てるアイシスや、キャロルの英知と美しさにほれ込み、彼女を奪おうとするヒッタイト王子・イズミルなど、2人の間には数々の困難が立ちふさがる。果たしてメンフィスとキャロルの運命は―。


お目当てキャスト
これがお目当てキャストです。
前回は2階席で俯瞰して観ていたのですが、今回は4列目、しかも
驚きのどセンター。こんなにいい席が貰えたのは初めて。
最近は2階席ばっかりでしたから。
そういう意味でも楽しみにしていた公演でした。

だから、台風だって関係なし(笑)。舞台は滅多な事では休演には
ならない事も知っていましたしね。
台風対策
とはいえ、帝劇入口も土嚢が積まれていたりして、あー帰りは
どうなるのかなーとは思いましたけど(笑)。

私の右隣は原作を知らないらしいミュージカルファンの方々。
私の左隣は原作しか知らないらしい、妙齢の御婦人方。
何だか凄い谷間に座っちゃったな、感満載だったのですけど、
一幕が終わった時、右からは「ストーリー分かんないー、でも面白いー」
終演時は左から「キャロルは原作そっくりねぇ」とそれぞれ聞こえてきて
ああ、いろんなファンの方が観にいらっしゃってるんだな、と思いました。

感想は追記にて。



最初に観た時は、何だかこっぱずかしさがあったのですが、舞台が
こなれてきたからか、2度目だからか、前方席だからか、今回は
そういった印象はありませんでした。
それどころか、自分でも思いがけないほど集中して観ておりまして
観終わった時に「また観たいな」と思った自分にビックリです。

2度観ると、更に突っ込みどころに気づき、笑えたりもしますが
不思議と気にならない。何でだろうなーと思ったのですが、
舞台化されてもやっぱりこれは「少女マンガ」なんだろうな、と。
まあキャストの皆さん、なかなかにハマってましたからねぇ。

恐らく一番再現度が高かったのは、ルカを演じた矢田悠祐さん
じゃないでしょうか。「テニスの王子様」に出演されていたそうですが
私は初めて拝見しました。
本当に見目麗しくて、ネット上でも矢田ルカが話題になっていたな、
と思います。今後絶対に注目されるでしょうね。
そういったビジュアルの再現度に加えてクールな所もルカっぽく・・。
市場に出かけたキャロルが脳天気に歌い踊る後ろで、無表情に
「しゃーねーな」ぐらいの表情で踊っているルカが一番のツボでした。

また前回も書きましたが、濱田さんのアイシスは素晴らしい。
エキゾチックなビジュアルも原作のイメージ通りですが、彼女の
執念、プライド、そして弱いところ、全てがアイシスそのもので。
アイシスを観るためだけにもう1度行ってもいい、ぐらい。
品を感じる手先まで意識の行きわたった動きや、愛しくメンフィスを
見つめる視線、憎々しくミタムンを睨む視線、憎しみと妬みのこもった
キャロルに向けられた視線が使い分けられているんですよね。
また、一人泣いていた時、背後からミヌーエ将軍に声を掛けられて
一人の弱い女性から威厳のある女王に戻る瞬間にゾクっとしました。

ミヌーエ将軍と言えば、川口竜也さん。人としての優しさや懐の深さを
感じさせる役で良かったのですが、ジャベールまでやった人なのに
川口さんの無駄遣い感がハンパなかったです。
しっかり歌も聴けなかったしなー、もったいない。

後は今回目的だった平方元基さんのイズミル。
両方拝見しましたが、私は平方イズミルの方が好きだったなぁ。
宮野さんは(良し悪しは別として)情熱的で、オラオラ感ある肉食系。
平方さんはクールさがあって気品もある。
・・・やっぱり私のイズミルのイメージは後者なんですよね。
クールであり、口の端を片方だけ上げてククッと笑う感じがねー。
かといって、熱いところがない訳じゃない。
歌も全部全力投球というイメージの強かった宮野さんと違って
情熱的な歌い方と、そうでもない歌い方の両方を明確に使い分けが
出来ていたように思います。声のトーンによるものもあると思うけど。

そしてイムホテップを演じたのは山口祐一郎さん。
最初に観た時は意味不明にピョコピョコ飛び跳ねていたりして
なんだこの無邪気な宰相は・・・と思ったのですが、今回観た時には
そんな事なく、落ち着いていらっしゃいました。そういう点では
原作の再現度はずっと上がっています。
ただ・・・文句のある人が居る事は承知で書くと、このキャストの中で
歌が一番残念だったのは山口さんでした。
もともと徐々に音階を上げていく歌い方をなさる方だとは思いますが
音程がグラグラしていて、ちっとも安定していない。
ていうか、半音ぐらいずれてるんじゃないの?と思う事が多くて
聞いていてなんだか落ち着かないんですよねぇ・・・。
ただ、宰相が帰って来た時のメンフィスの嬉しそうな顔が、
メンフィスではなくて、大好きな祐一郎さんをニコニコ迎える
浦井健治になっていたようで、ほのぼのしましたけどね。

原作の再現度と言う意味ではかなり低いのですが、とても印象に
残ったのがミタムン王女を演じた愛加あゆさん。
原作ではもっと腹黒い感じなんですが、愛加さんは単純な
イケメン好きのプライドの高いお姫様って言う感じでしょうか。
そして、殺された後もダンスで何度も登場されていて、とても
象徴的な役になっていました。
それにしてもあの鍛えられた腹筋というか、素晴らしいくびれ
には目を奪われますね(笑)。
あと、アイシスに幽閉された時、火をつけられた時の演出が
とても好きでした。

そして一番お気の毒だったのが、ライアン兄さんの伊礼彼方さん。
「健ちゃんの帝国初単独主演だからオファーを受けた」と
おっしゃっていましたが、裏返せば、そういう公演でなければ
受けていなかった、という事かね?と勘ぐってしまうのですが
それも当然・・と思う程、出番も見せ場も少なくて。
もう少しライアン兄さんの扱いが工夫できないかなぁ・・。

出雲綾さんが演じた、包容力のあるナフテラも、小暮真一郎
さんが演じた、純粋な若手兵士らしさ溢れるウナスも
なかなかの原作再現度だったと思いますよ。
小暮さんは音大を卒業したばかりで、今回がデビュー作とか。
きっとまた別の作品でも拝見出来る気がします。

おっと、最後になっちゃったけど、メンフィスこと浦井健治くん。
前回観た時よりもオラオラ感増してました(笑)。
足に接吻させるときとか、随分横暴な感じになってましたもん。
ただ全体に方向感がメンフィスとは違う気がするんですよねぇ。
夜神月の時のようなエキセントリックな表情で、客席を「くわっ」と
目を剥いて見せたりするんだけど、あれはどちらかと言うと
「いっちゃってる」感じであって、オラオラ感や横暴さとは
ちょっと違う気がするの・・・。
あと、姿勢に気を付けたらもっと王族っぽい気品も出るのに。
でもキャロルに対する愛情とかは、観ていてキュンとするし
それがまた少女マンガっぽい所以であって、あれはあれで良し(笑)。
マント捌き素敵だし、振り返った時にはパンチラもあるし(笑)。

前回観た時には、ヒッタイトとエジプトの戦闘シーンが長くて
正直「ああ、やっぱりミュージカルは苦手だわ」と思ったんです。
それが今回1階から観ると、受ける印象は全く違っていて、
むしろ結構楽しみながら観られたんですよ。
やはり1階から見える事を前提に演出を付けているんでしょうね。
2階だと兵士の動きが丸見えなので、面白くないんですよ。
2度観て、2度目が1階席で良かったわー。
やっぱり音楽もいいですし、何より歌に心配のある方が居ないし。
終盤のメンフィス、アイシス、イズミル、キャロルが4人で歌う
シーンはなかなか鳥肌ものでした。

いやー、ミュージカルで素直に楽しいと思えるとは意外だったな。
再演もやっぱり観に行きたいな。出来れば今回と同じキャストの
組合せで。来年4月〜5月が今から楽しみでございます。
またチケ取りが大変なんだろうなー。