9月の歌舞伎座は、やっぱり観ておきたかったんですよねー。

秀山祭「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部 歌舞伎座
 一、碁盤忠信(ごばんただのぶ)
 二、太刀盗人(たちぬすびと)
 三、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)









12時から先行予約が入ってしまっていて、そちらが気になりつつ・・(笑)。
そういえば、秀山祭に来るのはこれが初めてだった・・!

 


 
一、碁盤忠信(ごばんただのぶ)
佐藤忠信・・・染五郎
塩梅よしのお勘実は呉羽の内侍
右平太・・・歌昇
左源次・・・萬太郎
万寿姫・・・新悟
三郎吾・・・隼人
小車の霊・・・児太郎
浮橋・・・宗之助
壬生の小猿・・・桂三
摺針太郎・・・由次郎
宇都宮弾正・・・亀鶴
江間義時・・・松江
番場の忠太・・・亀蔵
横川覚範・・・松緑
小柴入道浄雲・・・歌六

これは 2011年に七世松本幸四郎襲名百年記念公演として上演
されたことがあるそうですが、当然私はその公演は拝見しておりません。
歌舞伎歴の浅い私にとっては、佐藤忠信と言えば、四ノ切。
こういうお話もあったのですね。
ストーリーとしては単純なんでしょうが、浅葱幕の振り落としから
だんまりがあったり、 すっぽんから小車の霊が出てきて碁石を
ばら撒いたり、碁盤を持って見得をきったり(この写真は染五郎さんの
著書の表紙になっていた事に後で気づきました) で、派手で
歌舞伎らしい演目でした。

荒事の染五郎さんって珍しい気がするんですよね。
勧進帳にお出になっていますから、もちろん出演なさsっているんですけど。
でも、思った以上にガッチリした感じがして良かったな。 


 
二、太刀盗人(たちぬすびと)
すっぱの九郎兵衛・・・又五郎
田舎者万兵衛・・・錦之助
従者藤内・・・種之助
目代丁字左衛門・・・彌十郎

この演目そのものは何度か拝見していますが、又五郎さんの図太くて
ずる賢い感じと、錦之助さんの演じる愚直な万兵衛がいいコントラスト。
「だーかーらー、馬鹿正直に答えちゃダメだってば!」と
思わず言ってしまいそうになるお人よしぶりでした。

彌十郎丈も素敵。
「もう、ちょっとしっかりしてくださいよ」と思うような、少し詰めが甘い
所がありながら、人の良さが伝わってきます。

でも、最後に万兵衛が刀を取り返して、めでたしめでたしとならない
っていうのがこの演目のミソだよねぇ、と思いますね、最後の
錦之助さんの引っ込みを観ると。

 

三、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
 檜垣
 奥殿
一條大蔵長成・・・吉右衛門
吉岡鬼次郎・・・菊之助
お京・・・梅枝
八剣勘解由・・・吉之助改め吉之丞
鳴瀬・・・京妙
茶亭与一・・・橘三郎
常盤御前・・・魁春

少し前に上演された、仁左衛門丈の一條大蔵卿が観たかったなぁと
「情熱大陸」を観て思った私。
勘三郎丈や花形歌舞伎で観た事のある演目ではありますが、
吉右衛門丈で拝見するのは初めてでした。

いやー、観れて良かったな、吉右衛門丈の一條大蔵卿。
序盤の阿呆を演じている時も良かったのですよね。あの作り阿呆は
やりすぎるとコメディっぽくなってしまいそうですが、全くそんな事なくて。
鬼次郎お京と話している時が特に好きでした。
“作り阿呆”を止めたときの表情に各役者さんの個性が出る気がしますが、
吉右衛門丈は、理性的というか、頼れるお殿様っていう感じが
すごく伝わってきました。
ああ、こんなにしっかりした人がこれだけ長期間「作り阿呆」をするのは
何て疲れるだろう・・と気の毒に思ったり、それだけ大蔵卿の強い
想いを感じることが出来ました。

あとは、常盤御前が哀しくて良かったなぁ。
全体にとてもしっとりと、安定した一條大蔵譚だった気がします。
私は何故か吉右衛門丈の舞台を拝見する機会が極端に少ないので
これからもっと、この方の舞台を観なきゃね・・と改めて思いましたとさ。