空き時間は一旦新宿に出たのですが、結局パークハイアットに戻り
そこでのんびり、一緒に遠征してきた友人とお茶をして過ごしました。

ヘンリー四世「ヘンリー四世 第一部−戴冠−」新国立劇場中劇場10列(最前列)
17:30開演、21:10終演
原作:W.シェイクスピア 翻訳:小田島雄志  演出:鵜山仁
出演:浦井健治、岡本健一、ラサール石井、中嶋しゅう、佐藤B作、 他

【あらすじ】 
フォールスタッフはシュルーズベリーの戦いで手柄を立て、過去の罪状を許されるが、ノーサンバランド伯の討伐軍に加わることになる。昔馴染のシャロー判事の暮らすグロスターシアに徴兵に訪れた彼に、ハル王子がヘンリー五世として即位したとの報が。意気揚々と新王の前に姿を現すフォールスタッフを待ち受けていた運命とは?





1部と違って最前列なのはありがたいのですが、かなり上手側。
真ん中が前にせり出す形の舞台なので、演出によっては
死角が増えるんですよね・・・。
そういう意味で、第2部は死角が多くてかなり凹んだな(涙)。




 

当然ながらセットは同じ。
ホットスパーを倒した後、ヘンリー4世はかなり体調を崩した後
からのスタートです。

1部は2部にも増して、フォルスタッフの出番が多い。
きちんと比較をした訳ではないのですが、蜷川版と今回の鵜山版
大きく違うところが、フォルスタッフだと思います。
蜷川版はもともと2部作だったものを1作にまとめるために
フォルスタッフとハル王子の二人のエピソードははそのままに
それ以外のエピソードはかなり割愛しているような気がします。
だから、尚更フォルスタッフの出番が多い印象になるんでしょうね。
フォルスタッフの出番が増えると、当然彼の狡猾な部分が
クローズアップする事になり、それも受ける印象が変わる
一つの要因だと思います。

吉田鋼太郎さんのフォルスタッフも口が悪くて、ズルくて
惚れっぽくて、金に汚くて・・という所は同じなのですが、キュートで
可愛らしくて、かなり憎めない。モテるだろうなあ・・という感じ。
どちらかというと、ほっておけない愛すべきキャラな感じ。
だから、エリザベス1世が「フォルスタッフに恋をさせよ」と命じて
「ウィンザーの陽気な女房たち」が出来たというエピソードも
なんか分かるわーと思っていたんですよ。
でも、佐藤B作さんのフォルスタッフは、ガチで憎たらしい。
本当の悪人って言う感じがする。

だから、エンディングの印象が大きく変わって来るんです、必然的に。
突然突き放された印象が強い蜷川版は、ちょっとフォルスタッフが
可哀そうになってくるんですが、今回は「自業自得じゃ」と
ちょっと溜飲が下がるというか(笑)。

そして二部の見所の一つが、ハル王子とヘンリー4世が
分かりあうシーンでしょうね。
ただここ、死角になってしまって殆どハル王子が見えなくて
結構ストレスが溜まりました・・・(涙)。
でも元々、浦井君は中嶋しゅうさんのことをプライベートでも大変
慕っているという事もあって、本当の親子のように思えるような
空気感がありました。
ここがガッチリ見えたら、またこの舞台の受ける印象も大きく
変わったんだろうなあ、と思うと甚だ残念。
もっと、そういう事を考えた演出にして頂きたいなあ。

高等法院長を演じた今井さん、ハマってます。
こういう正義感を冷静に論理的に語る人って、似合うんですよね。
そして、「自分に息子が生まれたら、同じように厳しく育ててほしい」
というような事をハル王子(ヘンリー5世)が言うシーン、好きだなあ。
これは松坂君よりも浦井君のほうが年齢もあってか
説得力があって私好みでございました。

ラストにセットの壁に上に昇るヘンリー4世とヘンリー5世。
父親よりもより高い位置にのぼり上を見る息子と、それを一段低い
位置から眩しそうに見上げる父親という構図も良かったですね。
バラバラの形でバラバラに置かれていたスノコ状の板が、最後の最後に
集められると、ピタッと形が合って1枚の四角形になります。
バラバラだったもの(国だったり心だったり)が一つになって、
足元が安定する事を現しているようでもあり、とても印象的でした。

ただ、客席イジリというか、持ち芸の披露をするようなユルい
シーンが2部は多かったです。
私も役者さんに少しイジってもらった方ですが、ちょっと多くて
全体が冗長な印象になってしまった気がします。
ただでさえ通しで観て、尻腰が痛いので余計に気になる(笑)。
鵜山さんの「ヘンリー3世」がとても良くて、今回もとても楽しみに
していました。「ヘンリー4世」も鵜山さんらしくて良かったのですが
もっとテンポよくして欲しいとか、大事なシーンで死角が多かった
フォルスタッフの好みとしては鋼太郎さんだなあ・・という事で、
個人的な満足度は少々低め。

東京に住んでいたら複数回観られて、きっともっと満足度が
高くなったんでしょうけどね。