ワタシ的ドリームキャストな一本。めちゃ楽しみでした。
前方3列は潰していたので、最前列でした。

陥没シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2017
昭和三部作・完結編「陥没」シアターコクーン A列(最前列)
18:30開演、21:50終演
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:井上芳雄、小池栄子、瀬戸康史、松岡茉優、山西惇、犬山イヌコ、山内圭哉、近藤公園、趣里、緒川たまき、山崎一、高橋惠子、生瀬勝久
【あらすじ】
雨の降る中、工事現場に立つのは、会社社長(山崎一)とその娘の瞳(小池栄子)、会社の広報部を任された優秀な娘婿の是晴(井上芳雄)だった。そこは東京オリンピック開幕に合わせて建設するホテルを含む複合施設の建設現場だ。施設の完成と未来への夢を語る
仲の良い親子に仲睦まじい若夫婦−。だが会社社長は帰宅途中に交通事故に遭い急逝、幸せに溢れていた3名の運命は大きく方向を変える事となる。そしてそれから4年後−。ホテルはプレオープンを控えていた。その場には瞳も是晴も居るが、既に二人は夫婦ではなく、会社も負債を抱える状態に陥っていたのだった−。


これは「昭和三部作」の最終章。
私は2作目の「黴菌」しか観ておりません。今思うと何故
「東京月光魔曲」を観なかったんだろう(笑)。
ちなみに、声の出演は峯村リエさんと三宅弘城さんでした。 





時間長めの舞台なんですけど、全く長く感じなかった。
ケラさんらしい毒気は全くと言っていいほどなくて、笑って
ちょっぴりハラハラして、ホッコリできるハッピーエンド。
恐らく、誰が観ても楽しめて幸せな気分になれるような作品。
ケラさんのブラックユーモアが好きな方にとっては、若干
物足りなさを感じるかもしれませんけど、こんなのも、あんなのも
色々書けてしまうケラさんが素直に凄いと思います。

まずはキャスティングが絶妙です。
主役は瞳(小池栄子)です、控えめで、芯の強い耐える女性。
気の強い所もあるけど、それで損をするタイプ。
大好きだった夫の是晴(井上芳雄)が研修先のハワイで浮気を
した事が許せなくて離婚−。何故か生理的に受け付けなかった
はずの大門真(生瀬勝久)と再婚するものの、これがまた絵で
描いたようなヒモ男で、不幸と不運に見舞われ続ける。
もう、最近の小池栄子にハズレ無しですよ。
健気さもあり、気の強い所もあるけど、元々お嬢育ちだから
世間知らず。それでも真っ直ぐに生きて行こうとする姿に思わず
応援したくなってしまうような女性を好演しています。
改めてこんな事を言ったら失礼ですが、小池栄子さんて超美人だ。
そして、胸が大きいのと丸顔なのでぽっちゃり見られがちだけど
体も足も細くて、本当にお綺麗でした。

優秀で優しくて、申し分のないダンナ様だったけど、弟曰く
「女にだらしない所がある」ちょっとダメンズ要素のある人を
井上芳雄くんが演じています。
いやー、やっぱり芳雄くんって品がありますわ。
声の出し方がミュージカル俳優さん独特な所も若干ありますが
間も良くて、笑わせるタイミングもよく、激昂するシーンなど
「わぁ、こういう演技も出来るんだ」と驚いちゃったりもしました。
ケラさんの舞台に芳雄くん?と最初は思ったのですが、観てみると
全く違和感がなくて。

もう瞳と是晴は誰が観てもベストカップルな訳で、お互いにまだ
気持ちが残っているのも分かるし、どうせラストではまた
くっつくんでしょ?と思いつつも、なかなか上手くいかなくて
ハラハラするやら、イライラするやら(笑)。
でも、瀬戸君の顔が小さすぎて、並んだ芳雄くんの顔が大きく
見えてしまって驚いたよ。芳雄くんだって小顔カテゴリーに
入ると思うのに(笑)。

瞳の従妹の窓子を演じたのは緒川たまきさん。
大好きな女優さんですが、今回も素敵だったなー。どちらかと言うと
物語を転がしていく役どころ。コメディエンヌ要素もふんだんにあって。

今回は大好きな俳優さんだらけのため、全員について書いていたら
キリがないという事に気づいたので役者さんについてはこれぐらいで。

平たく言うと、不慮の事故で亡くなった父親が二年経って
(神様に将棋で勝ったご褒美で現世に戻ってこられた)娘の様子を
見に来たら、あまりの惨状に驚き、「七つ道具」を使ったりして、
何とか元サヤに戻そうとするドタバタコメディです。
その父親を天国に連れ帰ろうとする「この地域を管轄する神様」の
奥さんとその息子もやって来て、人間の体に乗り移ったりするものだから
更にドタバタが増す・・という(笑)。

恐らく発達障害ではないかと思われる是晴の弟は、相手の本質を
見ぬく力があるようなので、彼の言葉を通してハッとさせられたり
結の修学旅行の代金をユカリの親が出す申し出をしてくれた
エピソードなど、ちょっと身につまされる台詞もありました。
登場人物も多く、是晴の母親の再婚エピソードなど、並行する
お話もありますが、バラバラになる事もなく、個性が生きたままで
良く計算された脚本なんだろうな、と思います。

コカ・コーラのエピソードやテレビ、ボックスティッシュなどは
昭和感がありましたが、思ったよりも現代的だったな、とは思う。
もう少し昭和感が欲しいというか、高度経済成長期を実感できると
「昭和三部作」として締まったかなーと思わなくもない。

でもきっとこの人達なら会社の経営を建て直し、旅行に行くことが
出来るようになるだろう。そう思える幸せな作品。
もともと素直で裏表のなかった清晴以外は、ちょっと自分に素直に
なる事でみんな幸せになっていく。
ラストシーンで語っていた「未来」に今、私たちは居る訳で
ほかの惑星に旅行したり、移住したりしたりはまだ実現していない
けど、もしかしたらどこかで、今も年老いた瞳と是晴が生きて
いるのかも・・と思えて、とてもホッコリした気持ちになりました。

「昭和感がもっとあっても・・」と上記では書きましたけど、
冷静に考えると、無条件に「未来はもっとよくなる」と思えた事こそ
“昭和感”なのかもしれないな、とも思いました。

上田さんの映像も冴えていて、紗幕に映るプロジェクションマッピングも
効果的でした。こういう映像に関しては1列目とかだと今一つ
楽しめないんですよね、それだけが残念でございました。