1本目の舞台を一緒に観た友人と別れて向かったのは池袋です。

不信「不信 〜彼女が嘘をつく理由」東京芸術劇場シアターイースト
O(オー)列(最前列) 19:30開演、21:15終演
作・演出:三谷幸喜
出演:段田安則、優香、栗原英雄、戸田恵子
【あらすじ】
1組の夫婦が引っ越してきた。20年ほど前から住んでいる先住夫婦の元に挨拶に行った際は部屋が異常に「臭い」以外は“とてもいいご夫婦”だったと安堵する。ただお隣の奥さんの“あり得ない姿”を隣町のスーパーで見かけたことから状況は一変する。その後も表向きは友好的に付き合っていた2家族だったのだが・・・




三谷さんの作品なら何でも観たい!と言う程ではないですし
「期待しすぎだったな」と思う方が多いのも事実ですが
何本に1本かの確率で、凄く面白いと思う作品に出会うので
どうしてもチケットを 取ってしまうのですよね。

劇場に入ると舞台の真ん中にステージがあって、客席は
左右に分かれています。
ステージの左右には同じような家具がしつらえてあって、
舞台上には6つのスツールがあるだけのシンプルな舞台です。


 

 
 
「部屋の造りがシンメトリー」という事を表すために
左右対称のような造りになっているのですが、シーンごとに
6つのスツールが変幻自在に(?)動き、色々な部屋に
変わった事を表しています。
そう言えば、三谷さんの作品って、開演前のアナウンスとかにも
ご本人がなさっていたり、本当に目立ちたがりね・・(笑)と
思う事が多かったのですけど、最近はあまりないような・・。

優香と段田さんの回想シーンから幕が開いたので、
栗原&戸田の夫婦が何かしら「普通じゃない」事は分かりましたが
(役名が無いので俳優さんのお名前で表現するしかないのですが)
この二人のうそ臭さがハンパなく、不気味な程です。
戸田さんの少し甲高い、感情が乗っていない話し方も、
栗原さんのうそ臭いほどの善人っぷりも。 
だからこそ、戸田さんが攻撃性を現した時は怖さが増すってもんです。

それに対して、段田&優香夫婦は極めてノーマルな夫婦に
描かれているように思えます。
奥さんは感情豊かで可愛らしくて、旦那さんは少し気弱だけど優しい。
でも、最後のシーンを見ると、むしろ怖いのはこちらの夫婦
なんじゃないか、と思わずにいられませんし、そう思わせるのが
三谷さんの狙いなんですよね。
旦那が若い教え子と不倫をし、その関係を清算するために199万も
勝手に支払っていた、奥さんは残業だとか言いながら、隣町に住む
不倫相手と密会を重ねている。
お互いにその事実が発覚したとしても「美味しいものでも食べに行こう」
と言って、何もなかった事に出来てしまうこの夫婦の方が異常かも。
振り返ってみれば、戸田さんはある意味病気なだけだし、栗原さんは
単純に奥さんの事を心配し奥さんを守る事に一生懸命だっただけ
なのですからね。

そして、全体にサスペンス風ですが、警察に行ったら栗原さんが
刑事だった・・とか、テンポよく進む所もあって笑いもあります。
優香が凄い変わり身の早さで、旦那を悪者に仕立てるとか。
HPには「これはコメディかサスペンスか、不条理か、
不条理サスペンスコメディか?」ってあるんですけど・・・
これ・・・不条理劇ではないでしょ?。
サスペンスにしては話の展開が大雑把だし、コメディにしては弱い。
サスペンスとコメディの「いいとこどり」なのか、中途半端なのかは
観る人によって受ける印象が違うのかもしれません。
私はどちらかというと後者かなぁ。

全体を通して思ったのは、男性が書いた脚本だな・・と言う事かな。
良し悪しとは関係ないですけど。
確かに、女性同士の「本当は面倒だと思っているけど」表面上
仲良さそうに付き合うとか、実際にありますけど、どうもデフォルメ
されているような感じ観ていて違和感が残ったというか。
男性が「だったら俳句の会に行きたいなんて言わなきゃいいのに」
と思うのは分かります。でも分かりつつ、つい言っちゃうんですよ。
言わなければいけない雰囲気になったりするものだし、多くの女性は
そういう事を本能的にやっているような所があるので、面白く描くのは
いいけど、それだけだと、どうも底浅く思えてしまう。

面白く無かった訳じゃないですよ。
面白く拝見しました。特に優香が良かったなぁ。
「ちかえもん」の演技も良かったけど、あんなに舞台でも思い切りが
いいとは想定外でした。本当に可愛らしいですし、最前列に居たので
客席の前を歩いていく時に、アドリブで色々言ったりしていて
演技を楽しんでいる、っていう感じが好感を持てました。
ただ、三谷さんの書く「本当に面白い舞台」はもっと面白いはず。
辛口なのは期待値の裏返しっていうことで。