一旦コクーンを出てお茶をした後またコクーンへ。
この2本はセットで観たいと思っていましたから。

死の舞踏「死の舞踏 」シアターコクーン 左2列
18:30開演、20:15終演
作:アウグスト・ストリンドベリ  翻案:コナー・マクファーソン
上演台本・演出:小川絵梨子
出演:池田成志、神野三鈴、音尾琢真

【あらすじ】 
舞台は、「小地獄」と呼ばれている孤島。そこに住むのは、退役間近の砲兵隊大尉エドガー(池田成志)とその妻アリス(神野三鈴)だ。二人は銀婚式を三ヶ月後に控えて、普通ならば仲むつまじく、、、と言ったところだが、夫エドガーは、傍若無人、傲慢不遜を絵に描いたような暴君。そして、妻アリスも負けてはいない!辛辣無比、凶暴過激のいわばモンスター化した女。二人は毎日、心底憎み合い毒づき、激しい喧嘩を繰り広げる。そして、この冷め切った家に、アメリカ帰りのアリスの従弟クルト(音尾琢真)が15年ぶりにこの島の検疫所長として赴任してきた。エドガーとアリスは、それぞれにクルトを自分の味方につけようとし、次第に、3人三つ巴の主権争いのバトルが過熱して・・・!クルトを交えたエドガーとアリスの闘いの結末は…。 
 



こちらは、平幹二朗さんが主演される事になっていたんですよね。
池田成志さんは大好きな俳優さんなので、舞台を拝見できる
事自体は嬉しいのですが、平さんで観たかったなぁ・・と
思わずにはいられない舞台です。
本来は第二部まであるけど、第一部のみを翻案したものだそうで。

劇場中央に舞台があり、片方にはバルコニーに続く大きな窓と
大きなカーテンが。
つい数時間前までは全く違うステージになっていて、とても
同じ劇場に居るとは思えません。
ていうか、二つに仕切ってある訳ですけど、私のような
方向音痴人間には、もうこの劇場に入っただけで、方向が
全く分からず、どっち側がロビーだっけ?と頭を抱える始末(笑)。

こういう上演形式にすると、当然ながら集客数は落ちるわけで
(1回あたりの収容客数が減るため)、今回は毎日2公演だから、
結局はいつもと近しい集客数に落ち着くのかもしれませんが、
スタッフの稼働時間は長くなるわけだから、収益率は悪いはず。
よくこれをやろうと考えたな、シスカンパニーとbunkamura。
でも、そういうチャレンジ、観る側からすると嬉しいです♪





 
公式HPに書いてあった文章を引用すると・・・

「死の舞踏」とは、中世後期(14世紀〜15世紀)のヨーロッパで伝えられた寓話であり、「死は誰のもとにもいずれ必ず訪れる」ということを表現したもので、14世紀のフランスの詩によって描かれた、黒死病(ベスト)の蔓延からくる「死」の恐怖を前に、人々が半狂乱で死ぬまで踊り続けたという詩が起源とされている。 

この説明を読んで、なるほど・・と思いました。
心臓に病を抱え、余命わずかなエドガー(池田成志)とその妻の
お話であり、実際に妻が弾くピアノで(曲名忘れた・・)エドガーが
倒れるまで踊ったりしていましたし。
 
舞台は、エドガーとその妻アリス(神野三鈴)の会話から始まります。
何なんだろう、この取りつく島が無いようなやり取りは・・(笑)。
ただ、会話を聞いていると何となく分かっても来ます。
元々アリスは女優だったのだけど、結婚を機にキャリアを中断。
実際はそれほど売れていた訳ではないようだけど、あのまま
続けていれば・・という思いもある。なのに夫に電話も捨てられ
「小地獄」といわれる孤島に閉じ込められたような状態で、
金銭的にも困窮している様子。この家自体が元牢獄だった、というのも
何となくこの閉塞感のメタファーとして使われていた感じです。
隣に住むドクター のパーティーにも呼ばれず、孤立している様子。
そりゃ・・閉塞感しかないでしょうねぇ・・・。 
もうこの二人のやり取りは辛辣で、だったら別れりゃいいじゃん
と思わずにいられない程。

そんな時にクルト(音尾琢真)が島に赴任してくる。
来るとはアリスの従妹で、エドガーとアリスが結婚するきっかけを
作ったいわばキューピット役。でもどうやら、アリスに惹かれて
いたようでもあるんですけどね。
お互いヒマだし、何とかクルトを味方につけようとするんだけど
アリスは・・・すごいです。
色仕掛けあり、クルトの親権が奪われた過去の暴露など、もう
持てるカードを全部使っての取り込み作戦(笑)。

一度は「出て行け」とエドガーに突き放されたアリスは、腹いせに
エドガーを告発しに行き、勝ち誇っていたのだけど、そこで
エドガーの病気は重篤で、死が近いこと
クルトに言った事などは(恐らく酔っていて)覚えていないらしい事
を知り、真剣に動転します。
それまでも、エドガーが倒れると本気で心配する様子が見て取れるので
本当に憎みあっているのだろうか?と思う事もあったのですが
電信機の音が耳に入らないように、エドガーの耳を塞ぎ、エドガーが
自分の告発によって逮捕されないと知って安堵される、その様子に
嘘は無かったのですよね。

そんなアリスをみて、「綺麗だよ」「あなたもハンサムよ」と
話す2人の会話は本当に穏やかで温かい。
「銀婚式は盛大にやろう」とプランを語るエドガー。
恐らく、彼の命はそこまで持たないであろうことを分かって話す
エドガーと、それを理解して聞いているアリスに、夫婦って
当事者でなきゃ分からない事って、あるんですねぇ・・と思わずには
いられませんでした。

それにしても、クルトの当て馬っぷりは気の毒になるほどです。
エドガーとアリスの夫婦は「雨降って地固まる」な感じだけど、
クルトは引っ掻き回されただけだしね。

そして、神野さんってやっぱり色っぽいなぁ。
体つきもですけど、エロい雰囲気が醸し出せる女優さんです。
ちょっとエキセントリックに攻撃する辺りも、さすが!でした。

池田成志さんが「ニャー語」を使わず、シリアスに演じる姿が
大好きなので、そういう意味ではラストの優しい語りにジーン。
ただ、成志さんではちょっと若いなぁ・・と思ってしまいました。
髭をたくわえ、老年期の男性を演じていらっしゃいましたけど
アリスと11歳年齢差があるようには見えなくて、アリスが
「私はあなたと違って若いの!」と言うセリフがどうも実感が
湧かなかったのが残念。ここに関しては平さんだったらなぁ・・・
と思わずにはいられませんでした。


このお宅にも「令嬢ジュリー」の時にあった「伝声管」があったので
当時のお宅には普通にあるものかしら?と思ったり、
料理番の女性が両方とも「クリスティン」だったのでどこかで
繋がっているのかしら?なんて想像が出来たのが面白い。
両方とも女性が男性に「靴にキスして」と強要していたのだけど
(死の舞踏では「靴を舐めて」まで進化していた)この頃の欧州では、
女性が男性に靴にキスさせるのが流行ってたのかしら(笑)とか。

あとは印象に残ったのが「令嬢ジュリー」では「さよなら」は「adieu」
という単語を使い、「死の舞踏」では「au revoir」が使われていた
んですよね。敢えてそこだけフランス語がそのまま使われていたので
その違いは意図的だと思いますし。
そんな違いも続けて観たからこそ、気づけたのかな、と思います。