うちのワンコのご飯を注文しようと、密林に行ったら
「ほれ、こんな本ありますよ」って勧めてくれるので、思わず
ポチってしまいました。密林、恐るべし。

天才と名人「天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎 」
文春新書(2016/2/19)
著:長谷部浩

【内容】
名門の天才坊やとして注目された歌舞伎界のサラブレッド、勘三郎。渋い脇役の家に重い期待を背負って生まれた三津五郎。二人の名役者は、奇しくも同学年に生まれた。生前親交の深かった劇評家が描き出す、宿命の星の下に生まれた二人の物語。







何だか歌舞伎から少し距離が出来てしまっているような気がする
今日この頃。決して興味がない訳ではないけれども、何だか
後回しになってしまっているような状態です・・・。





あっという間に読み終えてしまいました。

まずは最初に、三津五郎さんの勘三郎さんへの弔辞全文を読んで
泣けてしまって仕方ない・・。周りから観たらヤバイ奴ですね(笑)。

2人が生まれる前から、子役時代、若手時代、襲名、円熟期・・と
著者の目と、著者とのやり取りを通して時系列に描かれています。
ちょうど勘三郎さんが襲名された頃から、私も歌舞伎をぼちぼち
観はじめていますので、襲名披露公演の事や、平成中村座の事、
歌舞伎座のさよなら公演、勘三郎さんの療養、勘九郎さんの襲名・・と
自分が知っている出来事と重なるようになっていきます。

並んで踊っていると「フジテレビとNHKが踊っている」と冷やかされ
たというエピソードは、2人を上手く表現したなあ、と思います。
もっとも、今のように元気のないフジテレビじゃあないですけどね。

「野田版 研辰の討たれ」などの舞台裏の話だったり「表に出ろいっ!」
「芭蕉通夜船」など自分も観た舞台についてのエピソードもあって、
面白い反面、刻々と「その時」が近づいていくのが分かるので、
読んでいて、いたたまれなくもなります。

個人的には故人との私信を公表するのは、どうなんだろう・・と
思わなくもないですが、勘九郎君の事を本当に心配していたと
言う事だったり、笹野さんが歌舞伎を演じる事に対する批判に
激しく怒って、雑誌「演劇界」と対立した事、吉衛門さんと
勘九郎君の襲名披露公演で共演した時に「吉さんとの共演が楽しい」
とおっしゃっていたという事など、勘三郎さんらしいなーって
思いながら読みきってしまいました。

言っても仕方のない事だけど、勘三郎さんがご存命だったら
どんな舞台を上演してくれていたんだろうなぁ・・・

やっぱり、もう少し歌舞伎観ようーっと。
そう思った読後でした。