突如ひいた風邪も何とか気合で治し、会社は半日だけで離脱。
15:30開演(15:00開場)なので、フレックス使うよりも
半日休んじゃえ!という事で。

名古屋平成中村座「名古屋平成中村座」夜の部(千秋楽) 19列
13:30開演、19:40頃?終演
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  川連法眼館(かわつらほうげんやかた)
二、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
三、仇ゆめ(あだゆめ)





とはいえ、13時過ぎに会社を出てしまうと、時間が余ってしまい
ゆっくりランチして、職場(栄)から名古屋城までのんびり散歩。
名古屋城のすぐ近くに住んでいたため、名古屋城までの道は
かつての通勤路なので、懐かしくてあっという間でした。
千秋楽だけあって、前回観た昼の部よりは、客席も少し
落ち着いた(観なれた)方が多いような印象です。




一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
 川連法眼館(かわつらほうげんやかた)
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐・・・中村 扇雀
静御前・・・中村 梅枝
亀井六郎・・・中村 萬太郎
駿河次郎・・・中村 虎之介
妻飛鳥・・・中村 歌女之丞
川連法眼・・・片岡 亀蔵
源九郎判官義経・・・中村 勘九郎


今回は事前にキャストをチェックしていなかったので、義経が
勘九郎丈だったのを観て、忠信は誰だろう?と思っていたら
扇雀丈だったのですね。
梅枝状の静御前はもちろんキレイなんですけど、それだけじゃなくて
キリっとしている雰囲気がちょっと意外でした。この静御前は
かなり私好みです。

そして源九郎狐を演じた中村扇雀丈。
私はそれ程歌舞伎を観ていないので、今までの事はよく分からない
のですが、扇雀さんのイメージじゃなくて少し驚きました。
ただ、個人的にはこの役は若手がやる方が好きかなー・・・。
“動けない”という訳じゃないですけど、欄干渡りや百回りとかが
「あ、もう終わり」感がありましてですね・・・。
とはいえ、表情の豊かさは、ベテランならでは、とも思います。


二、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
 浜松屋見世先の場
 稲瀬川勢揃いの場
弁天小僧菊之助・・・中村 七之助
南郷力丸・・・片岡 亀蔵
赤星十三郎・・・中村 梅枝
忠信利平・・・中村 萬太郎
伜宗之助・・・中村 虎之介
日本駄右衛門・・・坂東 彌十郎


この演目は何度か観たこともありますし、以前の平成中村座でも
観たので、弁天小僧菊之助を七之助丈が演じているのも
観たことがあって、そういう意味では意外性は無かったです。
浜松屋で悪事が見破られ、開き直って自分が男だ、というシーンは
観客からも結構な笑いが起きておりますが、本当は男性の役者が
女のふりをしている男を演じるって、やっぱり面白いです(笑)。
亀蔵丈のねちっこい感じの南郷力丸も良かったです。

私は歌舞伎でもミュージカルでも、様式美を楽しむ、という
能力に欠けていて、ストーリー性の強いものを好む傾向があるため
稲瀬川勢揃いの場を「すごいなぁ」と思って観てはいても、
「面白い」と思って観れたことがありません。
でも、今回に関しては全員のキャラクターの違いが割とよく
分かって、興味深く(面白く)拝見することが出来た気がします。



三、仇ゆめ(あだゆめ)
狸・・・中村 勘九郎
深雪太夫・・・中村 七之助
舞の師匠・・・坂東 新悟
揚屋の亭主・・・坂東 彌十郎

私は初見の演目です。

西川鯉三郎がプロデュースした日生舞踊公演が初演だとのことで

当時のキャスト(勘三郎、鯉三郎、松緑、長谷川一夫)に

アテ書きされた、という事ですから、名古屋にも中村屋にも

とてもご縁のある作品という事になるんですね。

実際に御園座で過去2度上演されているようです。

面白くてキャッキャと笑える所も多いのですが、とても切ないお話。

 

深雪太夫が好きな狐が踊りの師匠に化けて、深雪太夫に

アプローチをする狸が勘九郎丈。

茶目っ気があって、ちょっとお調子者っていう感じがお似合いです。

「千両箱が要る」を額面通り受け止めてしまうのは、狸だから

仕方なくもあり、いかにもこの狸らしい、といった感じ。

やけにキレキレのポッキーダンスみたいなの踊ったりもしていましたが

足元がはだけると、毛むくじゃらの足が見えて笑いになったり

心臓がバクバクしているようすや、思わず尻尾が出てしまう様子を

上手く手を使って表現するものですね。

 

師匠に化けた狐にアプローチされ、すっかりその気になった

(もともとお師匠様が好きだったんでしょうね)深雪太夫と

(狸ではない)舞の師匠の真面目な様子がかみ合わないのも

客席は理由が分かっているので、温かく見守ってホノボノ。

 

温かい話ではありますが、残酷でもあるんですよね・・。

実は狸が化けている、と分かって、ボロクソに痛めつけられる狸と

嬉々として痛めつける人間たち。

体の大きな彌十郎丈がウキウキと楽しそうに踊る姿はキュートでは

ありますけど、その姿がキュートであればあるほど、残酷さも

増していくわけで。

 

そして、舞台裏が開くと、まだ夕暮れ時の空が見えます。

(名古屋城は私の席からは見えなかった・・)

ピンク色というか藤色というかのライトが外の木々を照らしていて

とても幻想的です。そこにズルズルと千両箱をひきずりながら

トボトボと歩いてくる狸。

もうこのライトと、トボトボというかフラフラ歩いてくる姿だけで

切なさ満載。それ以前の陽気な姿を見ているから、余計にそう感じます。

でもそんな狸の一途さを深雪太夫が受け止めてくれた事が、本当に

良かったなぁ、と思えるラストでした。

深雪太夫の心の動きも良く伝わってきます。

師匠(実は狸だけど)に言い寄られてウキウキするところ

でも実は狸だったと知って、思わず引いちゃったりするところ。

自分のために命がけで千両箱を引いてきた狸を愛おしく

思うようになる様子・・・。
 

その頃には外はとっぷり暮れてきて、ライトの色が一段と映えていて

その変化も素敵でしたね。

 

最後はスタオベになる大盛り上がりでした。

カーテンコールでは扇雀さんだけは既にスーツ姿にお召し替えになっていて、

勘九郎、七之助、扇雀、彌十郎、新悟の5名の登場でした。

どれだけ先になるかは分かりませんが、また名古屋に来てほしいし

御園座が開場したら、少しでも早く来ていただきたいものです。

 

ただ、平成中村座も勘三郎さんが居らっしゃらなくなってから

東京、大阪、名古屋の3都市を回った事になります。

そろそろ追善公演みたいな雰囲気ではない公演の方向性を出しても

良い頃なんじゃないかな、とも思うのです。

もちろん、勘三郎さんは大好きなので、寂しいんですけどね。