夜はこちら。すみだパークスタジオ倉は初めての劇場です。
小劇場って駅から遠い事が多いんですよね・・。
新国立から移動して、みっちり1時間。少し迷いながらも何とか到着。

怪談牡丹燈篭「怪談 牡丹燈篭」すみだパークスタジオ倉 C列
18:30開演、20:30終演
原作:三遊亭円朝   脚本:フジノサツコ   演出:森新太郎
出演:柳下大、山本亨、西尾友樹、松本紀保、太田緑ロランス、青山勝、松金よね子、花王おさむ、児玉貴志、原口健太郎、宮島健、川嶋由莉、新上貴美、井下宜久






「牡丹燈篭」自体は歌舞伎でも、そうではない舞台でも何度か
観た事がありますが、森新太郎さんが演出するという事と
キャストが私的に魅力的だったので、観るぞ!と決めていました。
 
初めて行く「すみだパークスタジオ倉」。
10列もないんだけど、横幅はかなり広い印象ですし、舞台自体も
結構広いんだな、と思いました。ただ椅子も小さいし、シートピッチ
も非常に狭く、前列の大柄な男性が縮こまって観ていらっしゃって、
気の毒になってしまいました。

舞台は真っ暗で、一枚の布がつりさげられてるだけ。
ヨットの帆みたいな感じに、長い棒に吊るした布が垂らしてあって
それがクルクルと回転する(うまく説明できない・・)だけのセットです。


 
何故か私は「牡丹燈篭」なのに「四谷怪談」だと思い込んでおり
序盤から「新三郎さま」「お露」と言い合っていて、「はっ!」と
自分の思い込みに気づいたおバカさんでした(笑)。

そんな出トチリをした私ではありましたが、本当に面白かった。
歌舞伎や今まで観た作品では「お露新三郎」〜「栗橋宿/お峰殺し」
が中心だったんですが、今回は「発端/刀屋」から描かれています。
そういった経緯なので(笑)、お露(川嶋由莉)と萩原新三郎(柳下大)
が中心の話だと思い込んでおりましたが、こんなに複雑に絡んだ
忠義と仇討の話だったのですね。
誰が主役・・って訳じゃないでしょうが、やはり芯になるのは
孝介(西尾友樹)という事になるのかな。
西尾さんが観たかった私としては、かなり満足度高し(笑)。
アフタートークでも「孝介は描かれないことが多い」とお話が
ありました。今回も省かれていましたが、原作では孝介はお国と
実は兄弟なのだとか。客席からは「へぇぇ」って声が湧いてました。

舞台の照明は終始暗いです。
「今ここで起きている事」ではないような印象を受けるというか。
舞台の中心にある軸を中心に幕がクルクル回っているだけで
他には何のセットもありません。幕は止まっている時もあります。
そのクルクル回る幕に影が映るのですが、幕が動いているので
そのに映る影が大きくなったり、小さくなったりするのも
印象的ですし、幕の動きに合わせて動いたり、幕に煽られながら
演技したり、たった1枚の幕が動いているだけなのに、これだけ
舞台に表情がつくって凄いよな、と思いますね。
役者さんは、次に幕が自分の所に来るまでにセリフを言わねば、とか
プレッシャーが大変だったとアフタートークで仰っていました。

台詞は現代語に置き換えられている訳ではないのですが、
衣裳は着物ではない。お露やお米(松金よね子)は真っ白の
ロングドレスで、特にお露はウェディングを連想させるような
トレーンの長いシンプルなサテンのドレスでした。
それに対してお国(太田緑ロランス)は真っ黒の丈の短めの
ボディコンシャスな色っぽい(恐らく)ワンピース姿です。
孝助はクラッシックなスタンドカラーの白いシャツに黒いパンツと
礼儀正しさが伝わってきて、衣裳がとても象徴的でした。
でも刀は持っている、というアンバランスさですが、それが不思議と
違和感がなかったのですよ。

お露と新三郎の恋愛話、お国と源次郎(児玉貴志)のゲス不倫、
飯島平左衛門(青山勝)と孝介の主従と仇討の話、お峰と伴蔵(山本亨)
の話など、幾つもの話が同時に進み、場面がクルクルと切り替わっていく
のですが、混乱するというのではなくて、徐々に話の繋がりが
見えてきて、らせん階段を下って行くように、ズブズブと話に
引き込まれていく感覚。
「あの100両のはどこから来たの?」と思っていたので、そこも
クリアになってスッキリ。
自分が知らなかったエピソードだという事もありますが、やっぱり
「孝助の槍」の部分が一番印象深かったですねぇ。

もちろん、この作品でも省かれているシーンはあります。
お国が元々女中だったという事は描かれていないし、お峰が
殺された後の伴蔵も描かれていない、志丈も序盤しか出てこない。
私は原作を読んでいないので、新三郎がお露の幽霊に取り殺された
のではなく、様子を見に来た伴蔵に蹴り殺されたというエピソードが
原作通りなのか、オリジナルなのかも分かりません。
(一部脚色した所があると、アフタートークでも仰っていたし)
でも、因果応報、そして何よりこわいのは人間だ、という事が
とても良く伝わってくるお話でした。

役者の皆さんも良かったなぁ。
コミカルな部分も多少あって、観ている方が肩に力が入るときに
ふっとゆるめて貰えるような所もありました。
原作もちゃんと読んでみようかなぁ。
セットはほぼ何もなく、舞台も暗いし、ある意味地味な作品なので
映像とかでは絶対にこの面白さは伝わらないだろうな、っていう
所も良かった(笑)。←すみません、意味分かりませんね(笑)。

ちなみにこの日は松本幸四郎さんと、奥様も御観劇でした。
あとは脚本家の前川知大さんも。前川さんはアフタートークも
最後まで参加なさっていましたよ。
前川さん、好きそうなモチーフですし、実際に「奇ッ怪」で
取り入れていらっしゃいましたよね。
で、終わってロビーに出て来たら、普通にその場で太田緑ロランス
さんと前川さんが立ち話をしており、劇場を出たら通用口近くで
松本紀保さんが立ち話をしていらっしゃって、その自然な感じが
とても素敵に感じたりもしました。


スカイツリー
劇場はスカイツリーの近くです、墨田区なので。
帰り道はライトアップされたスカイツリーがとてもキレイでした。

往路で「ここで曲がって、まっすぐ行って」とキッチリ予習を
しながら劇場に着いたので、帰りは迷いませんでしたっ!(*^∀゚)ъ