今週末は豊橋にお籠りとなりました。
マームとジプシーの「10th Anniversary Tour」を観るためです。

マームとジプシーマームとジプシー 10th Anniversary Tour
「ΛΛΛ かえりの合図 まってた食卓、 そこ、きっと───」
穂の国とよはし芸術劇場PLATアートスペース 2列(自由席)
13:00開演、15:00終演
作・演出:藤田貴大
出演:石井亮介、荻原綾、尾野島慎太朗、川崎ゆり子、斎藤章子、中島広隆、成田亜佑美、波佐谷聡、⻑谷川洋子、船津健太、召田実子、吉田聡子






マームとジプシーは何年か前から興味もありましたし、豊橋にも何度も
来てくれては居ますが、いずれも都合が合わずに見送っておりまして
今回が初めての観劇となりました。

13時開演で自由席だと、12時30分には着いてなくちゃいけないので
ホットヨガのレッスンには行けないのが残念。

ちなみにこの10周年ツアーは、今までの作品(旗揚げの頃に上演
していた作品は1時間未満のものもあったそう)で共通のテーマをもつ
3本ぐらいを再編成して1本に書き直したものを4本連続上演する・・
という企画。(「あっこのはなし」だけは1本で独立していますが)
今まで観たことが無いので、何を選んだらいいのか分からなかったので
取りあえず「行けるものは全部観る」という方向で(笑)。

ちなみにこの作品の共通テーマは「家族・家」。
「帰りの合図、(第56回岸田戯曲賞受賞)」「待ってた食卓、」(2011)を
中心に、「ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。」(2012)のモチーフ
も加えられているのだとか。






大がかりなセットがある訳ではなく、どうやら地方と思われる
駅に向かう姉妹の様子から開幕です。
駅に着き、迎えを待つけどまだ来ていなくて、公衆電話から
電話をしたり、売店でオロナミンCを買ったり。
そして場面が変わって、今度はこの姉妹を受け入れる側から
同じシーンが繰り返されます。

オリジナルの話を知っていれば「上手く繋げてあるなあ」と
思ったでしょうし、実際にこの舞台を観ても、つぎはぎ感があった
という事はありません。
でもどうしても、モザイク感は残りますよねー・・。

そして、これはこの舞台の特徴なのか、マームとジプシーの特徴なのか
については私はよく分からないのですが「リフレイン」というか
繰り返しが非常に多用されています。特に序盤。
耳に残るため、インパクトは残るのですが・・・あそこまで
繰り返されると、正直、ちょっと鬱陶しい。
過ぎたるは及ばざるがごとし、っていう印象かなー。
もしかしたら、それすら製作側の目論見通り、だったりするのかも?ですが。

序盤はどうしてものめり込めなくて、舞台を冷めた感じで観ていた
のですが、中盤以降は徐々に没入する事が出来ました。

姉と妹、弟の兄弟で、姉は実家を出ており、子供を連れて実家に
戻ってきた時に、区画整理で実家のある土地が収用される事を知る。
それまで(父親が亡くなった時など)と、最後の夏を過ごす家族、
そして、家が取り壊された後の物語なんですね。

従妹同士の些細な理由から起きる喧嘩とか、「あるある」で
思わず笑っちゃったし、私も生まれる前からあった実家を数年前に
建て替えましたので「生まれた家が無くなっちゃった」喪失感は
共感が出来るものもありました。(まあ私の場合は建て替えなので
そこまで感傷的ではないのですけど)

ただ、劇場が響きすぎるからか、役者さんに問題があるのか
私の耳が悪いからか分かりませんが、台詞が聞き取れないことが多くて
(何言ってるのか全く分からないレベル)それがかなりストレスでした。
このスペースで、この響きのいいホールでマイク要る?
お名前は存じ上げませんでしたが、「姉」を演じていたロングヘアの
女優さんがかなりのアニメ声で、キンキンしているものだから
尚更、何を言っているのか全く分からなかったりして。
他の役者さんも全体的に、台詞回しとか演技とか苦手な方が多かった。
「演劇やってます」感が強いというか・・。

でもセットというか木の枠を使った演出は秀逸だったと思います。
役者さんが演技をしながら色々に組み替えていく事で、いろいろな
形に替わり、そして家が取り壊された時の表現も見事で、
「わお」と思って観ておりました。

何とも評価が難しいというか、私ごときの理解力では分からない良さが
ある劇団なんだろうな、というのが正直な感想です。
でも、実際に自分で観てみないことには分かりませんからね。
いい機会だったと思います。