今月は観劇に忙しくて、映画がなかなか観られないのですが
今週末だけは時間があるので、映画に行かなきゃ!と思い、
ホットヨガの後にミリオン座へ。

ユダヤ人を救った動物園ユダヤ人を救った動物園
監督:ニキ・カーロ
出演:ジェシカ・チャステイン、ヨハン・ヘルデンベルグ、マイケル・マケルハットン
【あらすじ】
1939年、ポーランド・ワルシャワ。ヤンとアントニーナ夫妻は、ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。アントニーナの日課は毎朝園内を自転車で巡り動物たちに声をかけること。時には動物たちのお産を手伝う程、献身的な愛を注いでいた。しかしその年の秋、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。動物園の存続も危うくなる中、夫のヤンから「この動物園を隠れ家にする」という驚くべき提案をされる。ユダヤ人300名に動物の名を付け園内に匿い、その命を救った、勇気ある女性の感動の実話。《チェコ・イギリス・アメリカ合作》


先週末もガッツリ2本ナチス・ドイツの舞台を観てきたのですが
これもまたホロコーストのお話なんですねー。
思った以上に混みあっていてビックリでした。




シンドラーや杉原千畝のような人の話しかな、と思っていたのですが
本当にそのままでした。

映画の内容も良かったのですが、まあ何よりも驚いたのは
アントニーナ役のジェシカ・チャステインです。
先日「女神の見えざる手」で残酷な程クールで頭の切れるロビイストを
演じていたのを観たばかり(またそれがハマリ役だった)のですけど
そんな事が信じられない程、全く別人のようでした。
すごく思いやりがあり、情緒あふれる、でも芯の強い素敵な女性。
凄い女優さんだ・・・。
冷静に考えればポーランドのワルシャワの話なのに、全員英語を
話している訳ですが(笑)、アントニーナの英語は米語のイントネーション
ではなくて(イギリス英語・・って感じでもない)、話し方まで
全く違うんですよ。

ホロコーストを扱っているので、ゲットーも出てきますし、
ユダヤ人が殺されたり、死んでいたり、戦闘シーンもありますけど、
それらを見せる事で客に残酷な印象を与えようとはしていない。
むしろ「そんな事は、みんな、既に知ってるでしょ?」って
言いたいのかな、なんて思っちゃいます。
アントニーナと娘はどうやって落ち合えたのか、どうやって
生き延びたのか、夫は捕虜となってどのように生きていたのか
その辺りも細かい描写は無く、私たちの想像に委ねられますが
このワルシャワ動物園にフォーカスを当てて、そこがぶれなかった
というのも、スッキリした印象になったのかもしれません。
人の死ぬシーンは思ったよりも少なかったけど、動物が無残に
殺されてしまうシーンは結構あって、それでむしろ戦争という
ものの不条理というか、無益さなんかを感じずにはいられなかったな。

物語は時系列に沿って進み、「1939年」のように何年の出来事かが
表示されるのですが、「ええっと、あと何年耐えたら終戦だったっけ?」
って、こちらまでハラハラしちゃいましたよ。

アントニーナはポーランド人で、キリスト教徒。
でもユダヤ人を「別の人たち」と区別するような事が一切なくて
その差別のない目線に尊敬を覚えました。
ラストシーンは、夫婦が再会出来たことも良かったのですけど
画面全体が明るく「ああ、やっと平和がやってきたのね」と
観ている私も穏やかな気持ちになれました。

とてもホッコリできてよかったです。
それにしても、ヘック役を演じたダニエル・ブリューグの悪者感は
不気味ですらあったな(笑)。