舞台「TERROR-テロ-」を観て、シーラッハの作品に興味を持ったため
何か読んでみよう・・と思って選んだ作品です。

犯罪「犯罪」東京創元社
著:フェルデナント・フォン・シーラッハ 
【あらすじ】
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。─魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を描き上げた連作短篇集。
【本屋大賞翻訳小説部門第1位】



確かに、「TERROR」と雰囲気は重なりますね。
これは色々な経緯で犯罪を犯した人と、その人を弁護する
弁護士のお話です。

誰かを助けるために罪を犯す人や、罪を犯した後で真っ当な
生活を取り戻した人、恐らくプロの殺し屋だと思われる男性。
色々なパターンの「犯罪者」が出てきます。
決して犯人探しのサスペンスではない。
裁かれるべきなのに法に守られて裁かれない人、確かに過去には
犯罪を犯したけど、今裁く必要があるのか?と思われるような人、
そこ(犯罪を犯すという事)に至るのも仕方ないよね、と
同情してしまうような人。

裁くって何だろう、これが正しい結末なのだろうか、と
弁護士自身も疑いながらも弁護を続けているようでもあり・・
これを読むと「TERROR」もシーラッハは「無罪」と
言いたかったのではないだろうか、と思ったりもしました。

面白く読みましたが、やっぱり短編集は、どうしても
のめり込めなくて、苦手傾向でございますね・・