とうとう最後の修羅天魔でございます。
3月に開幕して、これで5回目。よくも通ったものです。

修羅天魔
「修羅天魔〜髑髏城の七人 Season極」
IHIステージアラウンド東京20列
14:00開演    16:00終演
作:中島かずき     演出:いのうえひでのり
出演;天海祐希、福士誠治、竜星涼、清水くるみ、右近健一、河野まさと、逆木圭一郎、村木よし子、吉田メタル、保坂エマ、川原正嗣、三宅弘城、山本亨、梶原善、古田新太   他
【あらすじ】
関東荒野に現れた一人の美女、渡り遊女の極楽太夫(天海祐希)。だが彼女こそは、かつて織田信長に最も信用され愛された凄腕の狙撃手だった。関東では髑髏の仮面で素顔を隠した天魔王(古田新太)が率いる関東髑髏党が髑髏城を築城、関東に覇を唱えその勢力を広げていた。その髑髏党に追われる熊木衆の少女・沙霧(清水くるみ)を助けた極楽は、関八州荒武者隊の頭目である兵庫(福士誠治)の口利きで無界の里に身を寄せる。この無界では、一番人気の若衆太夫・夢三郎(竜星涼)がこの里を盛り立てていた。そこで極楽を待っていたのは狸穴二郎衛門(山本亨)を名乗る徳川家康。彼は極楽に天魔王暗殺を依頼する。だが、彼女に狙われていることを知った天魔王は自ら極楽の前に現れその仮面を取る。極楽が銃口を向けたとき、天魔王は意外な真実を告げるのだった。
  

髑髏シリーズも全部観ましたが、Season風あたりから
「これは今までとどう違うのかな」と言う視点で観てしまって
なかなか素直に楽しめていない傾向があった気がします。
そういう意味では、Season極は全く違うので、比較的真っ新な
状態で観られた作品だと思います。

ただ、新感線作品の中では、色んな意味で小粒感が拭えなかった
というのが正直な感想なので、5回のリピは多かったかなーとも。
(とはいえ、新作なのでチケ取りの段階では分かりませんし)

でも好きな天海さんが好きな新感線に次に出演してくれる機会が
あるだろうか、それも古田さんと共演で、いのうえ歌舞伎で・・
と思うと、チケットを取らずにいられなかったので(同じ理由で
「蒼の乱」の回数も増えたんだけども)仕方ありませんね(笑)。

(千秋楽カテコの様子は別エントリーにて。)





【天海さんについて】
何といっても、カッコいい天海祐希さんが観たいと思っていたので
そういう面では満足出来るところもありつつ、太夫と言うからにはもっと
華やかで美しい天海さんが観られるのでは?と思った面に関しては
ちょっと残念だったかなーという気がします。ファンは欲張りなので(笑)。

初日からどんどんとセリフの発し方や表情や目線の配り方、声の
緩急のつけ方などが変わっていきましたよね。
それは、何となく天海さんの「極楽大夫」の理解の変化のようにも
感じられました。

私が天海さんを好きなのは、この方の凛としたたたずまいや、きっぷの
いい台詞回しはもちろんのこと、細かな表情の違いや視線の送りかた
なんかなので、またこれは映像で再確認できるといいなぁと思います。
回想シーンでは、声の出し方や話し方に若さが感じられていて、
演じ分けをしているんだな、と言う事が分かりました。
あと、何気に目立たないように、少し膝を折るようにして立っている事あり、
それは傍に立つ男性の背が低く見えないよう(自分の背の高さが目立たないよう)
気を配っていたんだろうな、とも思いました。

ただ、天海さんは恋愛パートがなんかねぇ、ピンと来ないというか
イマイチ響いてこないんですよ。(他の作品にも言える事ですが)
信長に対してもつ思いが、「恋愛」からくるものとはなかなか思え
なかったなぁ、私には。崇拝していた上司っていう感じみたいというか。
いや、極楽大夫が信長に対して恋心を持っていた事は分かりましたよ。
でもその「恋心」が物語の大きなキーワードになっている割には、
最後に取ってつけたみたいな感じになってしまった気がします。

普段はあまりアドリブをなさる方ではないと思いますが、無界の里で
ダンゴを売っている荒武者隊の子に対して掛ける言葉は、少なくとも
私が観た回は毎回違っていましたね。
「アナタはちゃんと働きなさい」とか「ヨモギは売れたの?」とか(笑)。
何気に毎回そのシーンが楽しみだった私です(笑)。

衣裳は動きやすさを考えて作られているようでしたね。
最初に登場するシーンの着物は大きくスリットが入っていましたが
ファスナーの金具が見えましたが、着替えのしやすさの為かな?
他のシーンで着ているお着物も、裏地が(本来着物には裏地はないが)
大きなスリットが入っているような状態で、大きく足を開きやすく
なっているようでした。


【天海さん以外のキャストについて】
竜星さんは、普段ドラマを観ない私は全く存じ上げない方だったので
何の先入観も無かったのですが、夢虎として兵庫と争った後で
最後に自分の命を絶つまでの流れは、鬼気迫る程でしたね。
また舞台で拝見出来るといいな。

沙霧を演じた清水くるみさん。
私は「ロミオとジュリエット」で清水さんのジュリエットの千秋楽を
観に行っていましたが、彼女はこの公演の途中で骨折して降板。
涙ながらに「また舞台に立ちたいです」と弱々しく挨拶していた姿が
まるで別人に思えるほど、いい意味で逞しくなっていたと思います。
ただ、シリーズ全体を通して比べても、他の沙霧と大した個性の違いは
感じなかった気がします。

福士誠治さんの兵庫は、制作発表の時にもそんなコメントが
ありましたが、今までで一番男臭い兵庫だったような気がします(笑)。
極楽大夫の顔見世の時に、極楽大夫にボーっとなっている姿が
思わず笑えてしまって、華やかな天海さんが観たいけど、あの
バカっぽい兵庫も観たいし・・と、忙しいシーンでした(笑)。

山本亨さんの狸穴二郎衛門はまさに「タヌキ」ってう感じ(笑)。
好み・・ではないけど(笑)、「食えない」っていう表現が
ピッタリでしたね。
でも最後のシーン、服部半蔵が近くに居るのに「殿!」と言うだけで
助けに来ないんですよね。どうやら怪我をして動けない・・という
設定だったみたいですが、天魔王が殺された後では普通に立って
家康の傍まで歩いてきてるので、「お前が助けろよ!」と密かに
突っ込んでしまった事はナイショです(笑)。

川原さんの演じる清十郎。
兵庫の言動にやきもちを焼いている素振りを見せたりとか、
小芝居してるんですよね。折鶴状態の手裏剣を出す間のテンポとか
天海さんとの息もあってきて、笑いが起きる事が増えてきましたね。
清十郎と極楽大夫の、大人の淡い恋心が個人的には好きでした。

三宅さんのカンテツ。
「タナカ」ネタや、鳩を焼いちゃうとか、親方が死んじゃうとか
アオドクロをそのまま踏襲している感じでしたね。
それにしても、三宅さんも年齢を感じさせないY字バランスや
側転が素晴らしいですね。かつて体操選手だと年齢を重ねても
あんなに運動能力が維持できるものでしょうか。
決してアドリブをしている訳ではないのに、思わず笑ってしまいました。


【アドリブというか日ネタというか】
髑髏シリーズは贋鉄斎が皆、飛ばしていたのに対して、「極」の
逆木さんや三宅さんはアドリブは無いけど、間の面白さで笑わせて
くれる、ってう感じでした。

まあ、一番やらかしてくれたのがサンボちゃんこと河野さん。
最初に髑髏党に沙霧を渡す時の台詞が「少し早いお中元です」
になったり「かさばるから、差し上げます」になったり(笑)。

あとは、およしに握り飯を拒否られた後のぜん三さんが、「何だよあれ」
「あんないい方しなくてもいいべ」とか、ボヤくセリフが毎回微妙に
違っていて、(それが結構響いて良く聞こえてくる)そこがアドリブ
と言えばアドリブ感のある所だったかもしれませんね。

アドリブとは少し違いますが、無界の里で極楽大夫の後ろについて
ひたすら天海さんの動作をマネし続ける、狸穴二郎衛門こと山本亨さんが
毎回毎回笑えて仕方ありませんでした(笑)。


【オリジナルな展開】
今回は「新作」と言う事もあり、初めて観たときは「えーっ」と
何度も心の中で叫んじゃいましたね(笑)。
「天魔王の息子ー?!」とか、「こんなに早く家康ってバラすの?」
とか、「極楽大夫とくっつくのは兵庫じゃないのかー!」とか(笑)。

エンディングはどうするのかな、と思っていましたけど、皆で
沙霧の築城術の知識を活かして、無界の里を作るんだ!というオチは
ベタと言えばベタですけど、ハッピーエンド感が高くて、おお、
そこに着地するのかー、とまたこれも軽く驚きました。

とはいえ天魔王を倒す事で自分の過去を清算した極楽大夫は、
今までの捨之助と重なるな・・と思ったところで極楽大夫が言う
「浮世の義理も、三途の河も、捨之助!」の台詞で「おおお」と
思えるクロージングでした。


5回観たうち、4列目→27列目→2列目→14列目→20列目と色々な列
でしたが、全部センターブロックで観られたのは良かったかな。
ちなみに私の席の3列前には、中島かずきさんがお座りになっていました。
かずきさんにとっても、最後のステアラでしたもんね。

ずいぶん貢がせて頂きましたが(笑)、これだけ観て満足致しました(笑)。
1年ぐらいたてばWOWOWで放送されると思いますので、その際には
天海さんの細かい表情などをまた楽しみたいと思います!
もう、髑髏城はお腹いっぱいですので、あと7年ぐらいは、この作品は
観なくてもいいかな(笑)。


1回目(初日)の感想
ライブビューイングの感想
2回目の感想
3回目の感想
4回目の感想