少し前に観た映画が、映画納めにするにはちょっと・・な作品
だったので、リベンジに無理やり大みそかに映画を観に
行ってきました。

家へ帰ろう家へ帰ろう
監督:パブロ・ソラルス
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ、アンヘラ・モリーナ、オルガ・ボラズ
【あらすじ】
アルゼンチンに住む88歳の仕立屋アブラハムは、施設に入れようとしている家族から逃れ、ポーランドへ向かうための旅に出る。目的は、70年前にホロコーストから命を救ってくれた親友に自分が仕立てた「最後のスーツ」を渡すこと。アブラハムは親友と再会できるのか、人生最後の旅に“奇跡”は訪れるのか…。≪スペイン・アルゼンチン合作



大みそかだって言うのに、開場前からミリオン座に並ぶような
おバカちゃんは私ぐらいかと思ったら、割と他にもいて一安心。
(あまり若い子は居なかったけど)
ただこの作品、予告すら観ていないので、これもイマイチだったら
どうしましょうねぇ・・。




 
若干の不安を抱えての開映でしたが、とても良かったです。

ポーランドで収容所に入れられたユダヤ人が、その時に助けてくれた
兄弟同然に育った友人を70年ぶりに訪ねる、と言うお話です。
基本的にロードムービーって苦手なものが多いし、これもある面では
ロードムービーだと思うのですが、全然平気でした。

まー、この主人公が偏屈で頑固で「うわぁ・・」と思うような人。
それなりに成功している人のようですから、傲慢ともいえる態度。
お金を盗まれた時に娘とのエピソードを話した時には思わず
「リア王かよ」と突っ込みたかったよね(笑)。
ただリア王のコーディリアのような父親想いの娘が出てくるか、
と思ったら、そうじゃなくて密かにクスっとしてしまったけど。

「ポーランド」と口に出すのも嫌、ポーランドに行くためにドイツを
横切るのも嫌、ドイツの駅で乗り換えて、ドイツの地に立つのも嫌って
偏屈なジジイだな、と最初は思ったのだけど、それだけ心の傷が
深いという事だと思うし、ドイツを横切る列車の中でフラッシュバック
が起きて倒れてしまった様子を見ると、あながち大袈裟な話でも
ないんだな・・と切なくなります。

最後、車いすに乗って、昔の家を探しているときのアブラハムの
表情の変化、探し求めていた友人がアブラハムを見て、
「アブラハムが会いに来た」と理解するまでの表情の変化も素晴らしく
このシーンだけで私も周りもグズグズに泣いてしまいました。
何だかんだとアブラハムも魅力的だし、助けに出てくる女性たちも
皆魅力的だったんですよね。

戦争の当事者の感情というのは、そういうモノなんだろうな、と実感するし
だから今でも、隣国との関係もうまくいかないんだろうし、でも
そればかりでは前にも進まないし・・。
映画を観て、最近のニュースと重ねてしまう部分もあり、複雑。
でも、アブラハムはドイツも通ってきたし、ドイツで乗り換えも
出来たし、ドイツ人女性とも話せた。そこに希望が見えた気もします。

うん、この映画で今年の映画を締められて良かった!
そう思える作品でした。