今回の遠征は観劇予定は5本。
よりによって、積雪が予想されている日に遠征が重ならなくても・・
と思いましたが、劇場が駅直結なので、せめてもの救いです。

プラトーノフ「プラトーノフ」東京芸術劇場プレイハウス M列
12:30開演、15:30終演
脚本:アントン・チェーホフ  演出:森新太郎
出演:藤原竜也、高岡早紀、比嘉愛未、前田亜季、中別府葵、他
【あらすじ】
 19世紀末。ロシア将軍の未亡人アンナ(高岡早紀)の屋敷には、大佐のイワン(西岡馬)や、アンナに想いを寄せるポルフィリ(神保悟志)など、さまざまな人が集まってくる。その中でアンナが秘かに想いを寄せるのは、妻子ある教師プラトーノフ(藤原竜也)であった。プラトーノフの妻サーシャ(前田亜季)の弟ニコライ(浅利陽介)は、大学生のマリヤ(中別府葵)に恋焦がれているが、マリヤもプラトーノフに惹かれている。そんな中、アンナの義理の息子セルゲイ(近藤公園)が、結婚したばかりの妻を屋敷に連れてきた。させその相手を見て、プラトーノフの心は激しく揺れ動く。なぜなら、セルゲイの結婚相手は、かつての自分の恋人ソフィヤ(比嘉愛未)だったのだ。アンナ、ソフィヤ、サーシャ、マリヤ、4人の女性の愛が交錯する中、プラトーノフは破滅へと突き進んでいく…。


本当に、東京芸術劇場とは相性が悪くて、真ん中より
後ろの席しかとれないんですが、今回もやっぱり・・・。
でもかなり傾斜のついた八百屋舞台でとても観やすかったです。






プラトーノフ(藤原達也)は元大地主の息子(今は没落し生活に困窮)で
教師をしている。夫の事を無条件に信じ・愛する妻と、幼い子供もいる。
でも彼は、そんな生活に満足していない。
何に満足していないのかは、具体的に述べられていないのだけど
「なんで自分がこんな生活をしなければならないんだ」と
思っているフシがある。自己愛が強いというのかな。

そんなプラトーノフの周りにいる女性は、何故かみな彼に惹かれていく。
未亡人のアンナ(高岡早紀)も、かつて恋人だったソフィア(比嘉愛未)も
男性に興味の無さそうな真面目なマリヤ(中別府葵)も・・。
プラトーノフはそんな女性たちに、言い寄ってみたり、突き放したり。
恐らく、そんなスリルのある関係を楽しんでいたんだと思う。

なのに、強く迫られ、ソフィアの元に走ると、ソフィアはどんどん
プラトーノフにのめりこみ、がんじがらめにしようとする。
そうして初めて「俺はソフィアとは長続きしない」と逃げ出そうとする。
ソフィアとの浮気がばれ、妻には逃げられるが、妻には
「戻ってきてくれ、愛している」と懇願したりする。
もう、この頃にはラクダのモモヒキのような、ロンパースのような下着
一枚になり、体は汚れ、匂いもし、髪はボサボサ。
トイレを我慢し、おしりを押さえて歩いたりする。
いいのか、藤原達也、事務所的に・・・と思うぐらい(笑)。

なのに・・彼女たちはプラトーノフに迫り、抱き付いていく。
・・・臭いんでしょ?と思うのに(笑)。
ただそれを演じているのが藤原竜也なものだから、何となくそんな状況を
受け入れてしまったりするのが、いい事なのか、悪い事なのか。

アンナはそんな状況なのにプラトーノフに自分の所に来いと言う。
プラトーノフは一旦は断るが、「もう少し強く言ってくれたら、受けたのに」
「2週間だけアンナの所に行こうか」と言い出す始末。
「どんだけ〜」ですよ。
何がそんなに魅力的なのかが分からない。だって、汚いんでしょ(再)、
お金も仕事もないし、女たらしだし。
何が良くて、そんな男に自分の人生を委ねようと思えるのか、理解に苦しむ。
(それだけ、プラトーノフが魅力的だという事だと思いますが)
そして、開き直ったように、自分の行動を正当化するプラトーノフの言葉が、
バカバカしく、滑稽で思わず苦笑いしてしまう。
ポルフィリ親子も全てを捨てて親子でパリに行ってしまったり、
なんか全体に刹那的ですよね。

マリヤからには教育委員会に密告され、仕事まで失ってしまい、果ては
ソフィアに撃たれて絶命してしまうという、「アンタの人生は何だったの?」と
思うような幕切れで。女性陣とプラトーノフは何かに踊らされているかのようで、
オルゴールのケースの中でクルクルと回る人形を連想してしまいました。
プラトーノフ以外の男性陣は概ね常識的。女性はみな情熱的で、
それぞれの対比が、より滑稽さを引き立てていた感じでもあります。

マリヤなんて、財産を失うかも?って言う状況にあっても、プラトーノフに
入れあげてるって、ある意味凄い社会だと思うのですけどね。
これを見て、チェーホフって、すごい皮肉屋だったのか、ひねくれた人
だったのかな・・なんて思いを馳せたりしたのでした。
これ、チェーホフの18歳の頃の作品なのか・・・。
なかなか役者の個性が際立たないと、成り立たない難しい作品なのかも
しれないな、と思ったのでした。