朝から筋トレして、ホットヨガもこなして、身支度を整えて
向かったのは豊橋です。今日は豊橋で間違いないっ!

はなにら「はなにら」穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
D列(最前列) 14:30開演、16:20終演
脚本・演出:土田英生
出演:水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、石丸奈菜美、高橋明日香、立川茜、渡辺啓太
【あらすじ】
20年前の天災により、親や子供、妻など大切な人を失った人たち。他人であったはずの彼らは寄り添うように家族になった。たくさんのお父さん。顔もバラバラな娘たち。拒絶、喧嘩、涙、そして笑顔を何百回も繰り返してきたが、今日はあの多くの命が失われてから20年目の記念の日。今、旅立ちの時は来たようだ。



2010年に『赤い薬』を観て以来、劇団本公演では 『うぶな雲は空で迷う』
については地元公演が無かったので観ていませんが、それ以外は全部
観ているようです、MONO。
そんなMONOは結成30周年なんだそうで、劇団員が増えて初めての
劇団公演という事になります。

劇場に入ってセットを見た瞬間「ああ、MONOの舞台だなぁ」と感じますね。





舞台の地は小さな島。静岡沖にあるという想定のようですが
どうやら20年前に山が噴火し、火砕流などが島を襲い、そこで
島民の多くが命を落とし、今の島民の多くも家族を亡くしている。
そんな土地のようです。

たまたま学校の行事があったため、子供たちは火砕流に巻き込まれず
助かった子が多かった半面、親が亡くなった・・というパターンが
多かったようで、遺児を養子縁組して親子として生活をしている
人も居れば、子供を亡くした大人と親を亡くした子供が疑似家族
として共同生活をしていたりして、災害後の20年が過ぎていき、
災害20年の追悼記念の日。

思い込みから来る勘違いと擦れ違いにクスクスするのは、MONOの
得意技ですよね。劇団員が新たに増えた・・と言われても、
過去にMONOの舞台で拝見した事のある方ばかりですので、
とても空気に馴染んでいて、安定感もバッチリです。

教え子を養子縁組して親子として生活する千鶴夫(金替康博)と
歩羽(立川茜)は仲がよく、その仲の良さが親子ではなく夫婦では
ないかと言われるほど。その距離感の取り方に苦しんでいるし、
共同生活をして二人の子供を育てた3人の「父親」たちは、
その子供の一人である野々宮安音(石丸奈菜美)が結婚をし
独立したい・・と言い出し、怒るやら、戸惑うやら・・。

元々子供がいた(災害で亡くしている)野々宮健也(水沼健)は
安音の成長と自立について理解を示し、やや頼りない赤木栄司
(奥村泰彦)は安音の事を考えるというより、自分が寂しい、
自分を頼ってほしい・・と、自分軸での会話ばかり。
災害時に島におらず、今は役場に勤めている駿河茂(土屋英生)は
一歩引いていて、あまり自己主張をしない。

安音も育ててもらった事を感謝はしているが、亡くなった両親を
忘れてしまうようでもあり、素直に疑似家族に馴染めないし、
馴染もうとしない。
安音と一緒に引き取られ、疑似家族で育った三笠明那(高橋明日香)
はこの疑似家族を自分の居場所・拠り所としている。

同じ家で生活していても、それぞれに思う所が違っていて、
安音の自立というきっかけでそれぞれの想いが露わになってぶつかって。
でも・・・そうやってぶつかって、迎えるラストに関しては
本当に心温まるものになってましたね。

家族っていうのは、血のつながりだけではなく、思いやる人が
集まれば、他人の集まりでも十分「家族」と言えるんだろう。
そして、世の中は変わっていくし、それは止められない。
(ハナニラは今では島で咲き誇り名物のようになっているのだけど
それだって昔は咲いていない外来種の花ですから)
島にやって来たアーティスト達とも、いずれ融合して新しい
島も出来ていくんだろうな・・・。

素直に「よかったね」と思えるこころ温まる作品でした。
各地で発生した震災により、この舞台と同じような思いをしている
人がきっと実際にもいるんだろうな・・なんて事に想いを馳せたり
もした2時間弱でした。

来年の劇団公演も観たいのですが、東海圏は四日市のみとか。
ふむぅ・・・。