本当は夜の部が観たかったのですが、それならば昼の部も観て
一日東銀座で過ごしますか!という事で。

四月大歌舞伎「四月大歌舞伎」歌舞伎座3回4列
11:00開演、15:50終演
一、平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)
二、新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)
  座摩社
  野崎村
三、寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ)
四、御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)




あまり歌舞伎に詳しくない私としては、それほど魅力的な
演目かと言うと・・。
でも、平成最後を記念した新作と、藤十郎丈の米寿を祝う
舞踊劇が含まれているという事で、ちょっとスペシャルな
感じのする演目ではあるんですよね。

感想はまた改めて。
今年初の歌舞伎座は平成最後の歌舞伎座となりました。



一、平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)
常盤御前 福助
藤原基房 権十郎
平宗盛 男女蔵
平知盛 巳之助
平徳子 壱太郎
遮那王 児太郎
左源太 男寅
平重衡 吉之丞
右源太 竹松
平時子 笑三郎
建春門院滋子 笑也
鎌田正近 市蔵
平宗清 彌十郎

「「平成」の世を讃え、来る新たな時代への期待も込めた新作」とか。
この事を劇場で知って「ああ、これが平成最後の歌舞伎座かぁ」と
思ったりとか。
うわぁ・・舞踊は苦手だわあ、と思ったのですけど、なぜかこの演目は
眠くなることも無く、楽しく拝見しました。

3階から観ているので遠いのですが、遮那王を演じた児太郎さんが
若々しくて、凛々しくて生命力が溢れていて、素敵でした。
徳子を演じた壱太郎さんも初々しくて、ナイスカップル、という感じ。
どうしても歴史を考える後、遮那王のこれからとか、徳子の運命を
(やっぱり建礼門院として安徳天皇と入水するイメージが強い)思うと
華やかで、希望に溢れているこの人達がいずれは追われ、滅亡していく
という儚さも感じてしまいます。

両花道を使って、源氏の白旗と、平家の赤旗が対比されていて
二人同時の掛け合いや六方など見応えもあり、いいもん観たなー、
という感じでした。内容的にこれはもう観られなさそうですし。
あ、福助さんは以前拝見した時よりもずっと声が出ていらっしゃって
ずっと安心して観られたのも良かったですね。

 
二、新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)
  座摩社
  野崎村
 油屋娘お染 雀右衛門 
 丁稚久松 錦之助
 弥忠太 家橘
 勘六 寿治郎
 山伏法印 松之助
 山家屋佐四郎 門之助
 手代小助 又五郎
   
 久作娘お光 時蔵
 油屋娘お染 雀右衛門 
 丁稚久松 錦之助
 手代小助 又五郎
 百姓久作 歌六
 後家お常 秀太郎

「野崎村」は何度も観た事があり、私は結構好きな演目です。
その野崎村の前の部分にあたる「座摩社」は1979年以来の上演とか。
お人よし感全開の久松は錦之助丈。「野崎村」だけでは分かりづらい
久松のおっとりした感じが、よく分かります。
こういう人ってカモにされちゃうのよね・・というか(笑)。
又五郎さん演じる小助が、ズルい小悪党ピッタリって言う感じで。
でもみんなにちょっとバカにされてるんじゃないの?という雰囲気も
感じさせられて、身分の違いとかで相容れないものがあるのかしらね・・
なんて思ったりもしたのでした。

野崎村は今回両花道がありますので、船と籠とそれぞれに分かれて
去っていく、というのが面白かったですね。
見送る時のお光ちゃんの様子、姿が見えなくなった後で父親に
泣き崩れる様子が、お光ちゃんの個性って言う感じがしますが、
気が強いけど、けなげなお光ちゃん、良かったです。



三、寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ)
 女帝 藤十郎 
 亀 猿之助 
 従者 歌昇
 従者 壱太郎
 従者 種之助
 従者 米吉
 従者 児太郎
 従者 亀鶴
 鶴 鴈治郎

これは当代坂田藤十郎丈の米寿を祝う演目という事ですよね。
米寿かあ・・それで舞台に立ち続けるって凄い事です。
きっとお衣装も重いでしょうから、体力も使うと思いますし。
人は歳を取ると、子供に帰っていくと思いますが、藤十郎丈も
何だか子供のお人形のような雰囲気で、一回り小さくなってしまって
お元気で舞台に立たれている事は嬉しいのですが、ちょっと寂しく
感じてしまったのも事実です。

そして、あまり歌舞伎の屋号に詳しくない私でも、この中に
猿之助さんが入っているのに「ん?」という違和感。
まあ一門しか出てはいけない、という訳ではないんですが(笑)。
でも、やっぱり目が猿之助さんに行ってしまうんですよね。
踊りの上手い下手は分かりませんが、それって凄い事では?
なんて思ったりもしました。
藤十郎丈、いつまでもお元気で。


四、御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)
 白井権八 菊五郎
 東海の勘蔵 左團次
 飛脚早助 又五郎
 北海の熊六 楽善
 幡随院長兵衛 吉右衛門

この演目は久しぶりかなぁ。
勘九郎丈の襲名披露公演で、勘三郎さんと吉右衛門さんが共演
されたのを観たっきり、な気がします。
当時勘三郎さんが演じられた、権八を菊五郎丈が演じており
今回もとても豪華な組み合わせでした。
でも、どうしても勘三郎さんを思い出してしまう演目なので、ちょっと
おセンチな気持ちになってしまった私です(^_^;)。



終演は15:50ですから、めっちゃ長い!
終演して10分後に夜の部が開演で、「納涼歌舞伎かよ!」と
突っ込みたくなるぐらいでした(笑)。
そのまま歌舞伎座に残っていても良かったのですが、ちょっと気分転換に
夜の部の開演まで、外に散歩に出たのでした。